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2025/12/11

オールド・モデルガン・アーカイブ:オールドファンを夢中にさせた金属ガバ7選【Part.1】

 

オールドファンを夢中にさせた 金属ガバ7選 Part.1

 

1911オート、モデルガンファンの間では「ガバメント」または縮めて「ガバ」と呼ばれることが多いオートマチックピストル。とても人気が高く、モデルガンが誕生して間もない頃から各社で競作され、2度3度と作り直しているメーカーもあるほど。そんな中から、発禁となって久しい金属モデルガンのガバを7機種、厳選してご紹介したい。

 

 

 

CMC コルトガバーメント45(1966年)

 

CMC製コルトガバーメント45

 

CMC完全オリジナル本格モデルガン第1号

 

 1962年に最初の純国産モデルガンが発売されてから4年、江原商店がCMCと改名して本格的にメーカーとしてスタートする最初のモデルガンとして選んだのがコルトガバーメント45(当時のCMCの表記)だった。完全オリジナルの、リアル志向本格モデルガン。
 手動ながら「分解から操作まで実銃どおり」という謳い文句。構造もほとんど実銃と同じで、バレルはショートリコイルするし、グリップセーフティもあり、残弾がなくなればスライドはホールドオープンする。
 ただ、安全対策だったのか、最初は火薬を使わないダミーカートリッジ仕様で発売された。しかし直後にMGCからリアル志向の発火式ガバーメントが発売され、すぐに前撃針式の発火モデルに作り替えられた。結果、仕様としては、CMCのガバもMGCのガバも同じようなものになってしまった。
 同じ仕様の同じガバ。しかし印象は微妙に異なる。原型製作は六研の六人部登(むとべのぼる)さんで、参考にされたのはミリタリーモデルだという。当時は自衛隊やアメリカ軍基地で実銃の取材が可能だったとされる。
 初めてのリアル志向モデルガンは大ヒット。MGCと人気を二分したガバメントだった。

 

マガジンはベースプレートがピン留めの、ちょっとレアなタイプが再現されている

 

誰が考案したのかわからないが、板ばねを使うシンプルなマガジンキャッチ。機構的にはMGCのVP-IIにその原形を見ることができる

 

リアサイトはVノッチのように見えるが、一般にガバメントのサイトはUノッチまたはスクエアノッチとされているので、Uノッチなのかもしれない

 

メインスプリングハウジングはアーチタイプのチェッカリングパターンが再現されている

 

 DATA 

材質:亜鉛合金ダイカスト、ABS(グリップ)
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングブロック
カートリッジ:ソリッドタイプ(初期型はダミーカートリッジ)
使用火薬:平玉紙火薬1〜3粒(初期型は無発火)
作動方式:ショートリコイル、手動
全長:21.5cm
口径:.45
重量:1.1kg
装弾数:7発+1(薬室内)
発売年:1966年
発売当時価格:4,500円(カートリッジ7発付き)

 

※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。(2025年現在)
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 

※このモデルガンの写真はすべてPhoto by Keisuke.K

 

 


 

MGC ガバーメント・モデル1911A1(1966年)

 

MGC製 カバーメント・モデル1911A1

 

人気を二分したMGCスタイルの本格発火モデル

 

 MGCは、構造やサイズ、操作方法などを実銃どおりにしたリアル志向本格モデルガンとして、1965年にブローニング380を発売、大ヒットさせた。続く第2弾がガバーメントモデル1911A1(当時のMGCの表記)だった。

 ところが、狭い業界のこと、CMCでも同じような仕様のガーメントの製作が進行中であることが判明。設計を手がけた小林太三(こばやしたぞう)さんは、バッティングしないよう、急きょ、コルト社が1946年から販売したコマーシャルモデルで行くことにしたという。ところが、結果的にCMCはミリタリーモデルを取材しながら、刻印はコマーシャルモデルに準じたものにしたので、パッと見は似たような印象になってしまった。

 MGCのガバはRMI社を通して輸出もされたので、RMI社の要望に添ってマガジンが実銃に使えないように、わずかに短くされた。そしてスライドはカットしてコマンダーモデルを作りやすくするため、細部を微妙に変更しているという。
 MGCのガバは、CMCのガバよりちょっと遅れて発売された。しかし何より発火モデルであることと(すぐにCMCも発火モデルを発売したが)、カートリッジ込みでもCMCより1,000円ほど安かったこともあり、遅れたハンデをものともせず大ヒット。コマンダーやターゲット、第二次世界大戦記念モデルなどのバリエーションも作られた。

 

マガジンのベースプレートは一般的なスポット溶接タイプ。実銃に使えないようわずかに短めにしてある

 

発火は、安全対策で、カートリッジ全体を押すファイアリングブロックを使う方式。使い込むと折れることがあったので、オプションでスチール製のものも用意されていた

 

ほぼ同時期に設計されたCMCのガバとMGCのガバの両方共が、モデルガン独自の板ばね式マガジンキャッチを備えていることに驚かされる

 

バレルブッシングは実銃ほどタイトに作られていなかったので、手で簡単に回すことができた

 

 DATA 

材質:亜鉛合金ダイカスト
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングブロック
使用火薬:平玉紙火薬1〜3粒
作動方式:ショートリコイル、手動
カートリッジ:ソリッドタイプ
全長:215mm

重量:950g
口径:.45
装弾数:7発+1(薬室内)
発売年:1966年
発売当時価格:3,200円(カートリッジ別売)、コマンダー 3,500円(セミカスタム)、
GMターゲット 3,500円(1969年発売、セミカスタム)、カートリッジ12発 400円
別売:ウォールナットグリップ 500円、マッチタイプグリップ(ターゲットグリップ) 700円、マウントグリップ 300円、スチールブリーチ 500円

 

※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。(2025年現在)
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

MGC ガバメント・ブローバック(1971年)

 

MGC製 ガバメント・ブローバック・モデル

 

金属製ブローバック・ハンドガン第1号

 

 MGCが開発したデトネーター方式のブローバックシステムは、もともとは映画用のプロップ(小道具)として開発したものだったという。MGCは創立以来、映画の撮影にいろいろと協力していた。そして『007は二度死ぬ』(1967年)の日本ロケでは、PPKのほかにも、手作りのMP-38、ベレッタM1934、ガバメントの各ブローバックモデルを提供したという。
 そして、映画用のプロップガンを一般にも扱いやすいようにアレンジした市販モデルが開発され、ブローバックモデルの第1号としてMP-40が1968年から1969年にかけて発売された。ハンドガンの第1号がガバメント(当時のMGCの表記)だった。発売は1971年。
 使用するカートリッジは、MP-40用の9mmエキストラ・ロング(9.5mm×27)弾。銃本体のベースは1966年に発売されたガバーメント(GM1)で、スライドや固定式のバレル、9mm用に絞ったマガジンなどは新規設計された。
 大ヒットになると思われたものの、発売から数ヶ月後に1971年の第1次モデルガン法規制が施行され、銃口が閉塞されてしまったため、デトネーター方式の最大の敵である汚れがたまりやすくなり、快調作動しづらくなった。その結果、わずか1年足らずで製造中止。それ以降は手動式のガバメント・スタンダード(GMスタンダード)として、第2次モデルガン法規制まで販売が続けられた。

 

ブローバックモデルのベースとなったGM1にはディスコネクターがなかったので、後付けでディスコネクターが追加された

 

.45口径マガジンを9mmカートリッジ用に絞っている。実銃用でも.22口径用やダブルスタックの.38スーパー用などで似たような形式のものがある

 

ブローバックにするため、スライドとかみ合わないようにした新型バレルと、やや強めのリコイルスプリングが採用された

 

オープンタイプの9.5mm×27エキストラロング・カートリッジ。サブマシンガン用に開発されたものだ

 

 DATA 

主材質:亜鉛合金
撃発機構:シングルアクションハンマー
発火機構:前撃針/ファイアリングピン
使用火薬:平玉紙火薬
作動方式:デトネーター方式ブローバック
カートリッジ:オープンタイプ 9.5mm×27エキストラロング
全長:215mm
重量:950g
口径:9mm
装弾数:7発
発売年:1971年
発売当時価格:10,000円( カートリッジ別売:1発35円、20発入り1箱700円)

 

※販売目的の所持禁止。違反すると一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処せられます。(2025年現在)
※寸法などのデータは当時のメーカー発表によるもので、実測値ではありません。また価格は発売当時のものです。

 


 

※モデル名などは、基本的にはメーカー表記に準じていますが、メーカー自身の表記にも揺らぎがあるため、本稿ではその時に参考にした資料に従って表記し、あえて統一していません。
※拳銃型の金属製モデルガンは、1971年の第一次モデルガン法規制(改正銃刀法)以降に販売されためっきモデルであっても、経年変化等によって金色が取れると銀色と判断されて規制の対象となることがあります。その場合は黄色や白色、または金色の塗料を塗るなどの処置が必要です。

 

 

TEXT&PHOTO:くろがね ゆう

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年12月号に掲載されたものです。

 

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