装備

2025/09/17

エアガンをより楽しむための講習会「第14回 RT ゆるーいタクトレ」

 

 

 初心者から上級者までが楽しめるタクトレ 

 

 2025年5月25日、千葉県山武市にあるサバゲフィールド「サバゲーパラダイス」のトレーニングエリアで“RT ゆるーいタクトレ”が開催された。このイベントは、各地で行なわれるエアガンを使ったタクティカルトレーニングとは少し趣が異なり、エアガンやサバイバルゲームへの敷居を下げているところが大きな特徴である。14回目を迎えた今回も、初心者から上級者、スポーツ系から装備系プレイヤーまでといった多種多様なレベルとジャンルの人たちが集い、撮影を楽しみながらエアガンのトレーニングを行なった。

 

普段はサバイバルゲームや各種競技に参加する各ジャンルのユーザーが、撮影と射撃を楽しむために全国から集合した

 

ヘルメットとプレートキャリアとベルトキットを装着して参加した装備系プレイヤーと機動性を生かすことが重要視される軽装な競技系プレイヤーが参加して、それぞれのジャンルで必要となる射撃テクニックを磨いていた

 

講師を務めるのは、サバイバルゲームやエアガンを使ったゲームイベントを数多く主催するリーパーさん(右)とネリネさん(左)である。会場では、みんなが楽しみながらエアガンの基礎や技術を身に着けるように丁寧な指導を行なっていた

 

 

Training for AIR SOFT Guns

 

 

 “RT ゆるーいタクトレ”のトレーニング内容は初心者も参加しやすい、とはいえ内容は本格的。講師自身が好きなタクティカルシューティングスクール“VTAC(Victorian Tertiary Admissions Centre)”や“RONIN TACTICS” 等で行なわれるトレーニングをエアガン向けにアレンジしているのだ。よって、エアガンを扱ううえでのルールや、サバイバルゲームで生かせる技術を学ぶことができる。
 午前中のブリーフィングで、マズルコンシャス、ファーストライン(腰に装着するベルトキット)とスリングの役割等が説明された。マズルコンシャスは「銃口管理」と訳されることからもわかるように、自分が手にした銃の銃口がどこを向いているかを自覚する心構えを指す。エアガンのみならず実銃の世界でも重要視される取り扱い方法である。
 このマズルコンシャスを順守できない場合、大きな事故につながる可能性がある。講師からの指導を最初のブリーフィングで行なうことで、初心者は知識として学び、経験者は改めて安全管理について認識をすることができたことだろう。

 

参加者はブリーフィングやレクチャー中は真剣に講師の話を聞き、時に質問をして自身のスキルアップを模索していた

 

 

Shooting Practice

 

 

 ブリーフィングのあとは、ターゲットを使ったシューティングとなった。今回のトレーニングでは、マガジンの残弾がゼロになるまで弾を補充してはいけないというルールが設定されていた。射撃の基礎姿勢を確認するために5mの距離の立射からトレーニングはスタート。狙った場所に必ず当てるための、正しい姿勢とグリッピングなど重要な要素を確認しながら射撃を行なった。ハンドガンを使ったホルスタードロウに続き、スリーポジションドリルとリロードドリルの練習が行なわれた。

 

立射、膝射、伏射で行なわれるスリーポジションドリルでは、それぞれの射撃姿勢で的確にターゲットに当てる練習が行なわれた。それぞれの姿勢に移動する際の銃口の向きを意識しつつ身体を動かすことの難しさを体感し、実際にゲームで使う装備を装着した状態で動くことで、装備のバランスやセットアップについても確認ができる

 

ハンドガンとライフルによるウェポントランジションと、ライフルを用いたショルダートランジショントレーニングも行なった。初心者たちはテクニックを教えてもらいながら実践するのみならず、講師や上級者たちの自分の体格に合わせた個々のテクニックを目にすることもできた

 

リロードドリルは、スタートの合図から銃(ハンドガンやライフル)をターゲットに向けて規定数(規定は様々だがだいたい2発)を発射、マガジンをリロードして、さらに規定数を発射するトレーニングである。タイマー計測で射手にストレスを掛けながら行なう場合が多いが、確実な操作を身に着けるために時間よりも確実な動きを身に着けることが最初は重要視される。マガジン交換時の射手の目線は銃とマガジンに向ける

 

 

午前中のトレーニングが終了して昼食となった。講師と参加者は、休息をとりつつ午前中のトレーニングで体験したことや学んだことを談笑していたが、この会場で初めましての参加者たちも共通の課題をこなした仲間として交流をしていた。昼食後に開始した午後のトレーニングは、ブリーフィングから射撃訓練となった

 

 

VTAC 9-Hole Rifle Drill

 

 

 午後の射撃トレーニングでは、アメリカ陸軍特殊部隊デルタフォース元隊員で現在はタクティカルシューティングトレーニング企業である“バイキングタクティクス(VTAC)” を主宰するカイル・ラムによって開発された“VTACバリケード”を使った“VTAC 9-Hole Rifle Drill(通称9ホール)”が行なわれた。
 9ホールは、ライフルの照準が自然に定まらない時に、どのようにして安定した射撃姿勢を確立するかを見つけ出すために最適なトレーニングである。
 段差のある特徴的な形状と形状や大きさの異なる穴が開けられたVTACバリケードは、長方形型の従来のバリケードとは違い、車や建物、壁やフェンスの隙間など、戦場で遭遇する可能性のある様々な遮蔽物や射撃できそうな隙間を想定して設計されている。射手がストレスを受けつつ、VTACバリケードで完璧に射撃が行なえるようになると、マズルとドットサイトやスコープといった照準器との間に生じるパララックスを意識して撃てるようになり、遮蔽物などを誤射してしまうことが防げるようになることから、様々な射撃条件において射手が最も適した射撃姿勢を見つけることもできると言われている。

 

 

Shooting on the Move

 

 “Shooting on the Move”は、移動しながら射撃を行なうトレーニングである。移動しながら正確に射撃するには、重心移動や上体の維持など複数の要因を正しく機能させることが重要となる。基礎をマスターして初めて可能になる射撃テクニックである。

 

バリケードシューティングとしては無理な体勢での膝撃ちや、モディファイプローンでバリケードの隙間から射撃する。日本の剣術に着想を得てできたモディファイドプローンは、腰を落とし片足を伸ばして車輌の下などから射撃する場合の姿勢である

 

横方向に移動しながらの射撃は、軍特殊部隊や法執行機関の職務遂行において重要とされる射撃テクニックだ

 

Team Training

 

 

 チームトレーニングとなるツーマンセル・クリアリングドリルとチームブリーチ&クリアリングドリルが実施された。簡単なブリーフィングの後に参加者は室内でのトレーニングを開始。
 ツーマンセル・クリアリングドリルでは2人一組のチームとして、チームブリーチ&クリアリングドリルでは4人一組のチームとして、スタート地点からゴール地点まで室内掃討作戦を行なうトレーニングである。参加者にはターゲットの位置を教えずにお化け屋敷のようなドッキリも設けていたので、チームによっては時々悲鳴が聞こえてきたが、全員無事にトレーニングが終了できた。

 

 

プレートキャリアのチェストパネルのポーチに筆記用具を収納していた参加者。トレーニングは実技もあるが、ブリーフィングにおける座学やトレーニング中に気が付いた課題など重要事項をメモ書きしておく

 

タクティカルギアと私服を組み合わせたスタイリングは、海外のタクティカルトレーニングでは定番である。今回のようなトレーニングで改善点を見つけ出し、タクティカルギアと私服を組み合わせたスタイリングでも動けるように工夫するプレイヤーが増えてきている

 

 

 サバイバルゲームを仲間たちとともにより楽しむ!! 

 

 “RT ゆるーいタクトレ”は、サバイバルゲームの楽しさと、スキル向上の真剣さをミックスしたイベントだ。サバイバルゲームではエアガンの射撃テクニックが重要視される。このイベントのように、エアガンの操作方法や射撃テクニックを同じ趣味の仲間と切磋琢磨することで、趣味としての幅を広げられると思う。新しい仲間との出会いもあるので、このようなイベントが開催された折には、ぜひ参加してみてほしい。

 

 

TEXT&PHOTO:Ghost(Ghost in the Dark)

日付:2025年5月25日(日)
主催:リーパータクティカル
講師:リーパータクティカル永瀬 優希 
開催場所:サバゲーパラダイス(千葉県山武市大木470-1)

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年10月号に掲載されたものです。

 

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