実銃

2025/08/20

イスラエルが生んだ名銃、ミニUZIの無可動モデルを徹底チェック

 

 

この1挺は戦うために作られてきた本物の銃だ。
数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。
発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。
時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。
その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
さあ、今回も無可動実銃のことを語ろう……。

 

 

競争を生き残ったSMG

 

 UZIは、建国間もないイスラエルで開発され、1951年から製造されたSMGだ。それ自体が小型で時代のニーズに合ったUZIはイスラエル以外にも90か国以上の警察と軍隊によって採用され記録的な人気を誇った。しかし時代が進むとより小型のSMGの需要が高まり、本国イスラエル特殊部隊が使用していたアメリカ製のMAC-10クラスのSMGを要望されたことにより、コンパクトバージョンであるミニUZIが1982年に、マイクロUZIが1983年に開発される。

 

銃口上部はガスポートが設けられ連射時のマズルジャンプを抑える役割が持たされているが効果は限定的で、実際にはコントロールするには相当な訓練が必要である

 

ハンドガードは短縮化されているがオリジナルUZIのデザインコンセプトを引き継いでいる。面白いのは銃剣ラグまで継承され装備されているところだ

 

 イスラエル以外でも、アメリカのシークレットサービスなど、世界中の警察、特殊部隊、セキュリティユニットで採用されたコンパクトなUZIは時代が求める声に応えて誕生したモデルだ。3種類の大きさのUZIが揃ったことで多くのニーズに合わせられ、安価なUZIは現在まで生き残った傑作SMGとなっている。90か国以上で採用され、ライセンス生産品や非ライセンス生産品を含め、一大勢力を形成したUZIは世界のスタンダードSMGシリーズとなったのである。

 

 

ミニUZI短機関銃

  • 全長:360mm / 600mm(ストック展開時)
  • 口径:9mm×19
  • 装弾数:20発/ 25発/ 30発
  • 価格:¥275,000
  • 商品番号:【7363】

 

 

UZIシリーズ初のバリエーションモデル

 

 1980年代まではSMGといえばUZIというくらいにメジャーな銃であったが、MP5が登場して以降のUZIはマイナーな銃となってしまった。とはいえ、1976年のイスラエル軍特殊部隊によるエンテベ空港奇襲作戦や、1981年のレーガン大統領の暗殺未遂事件でシークレットサービスが装備していたなど、無骨で独特な外観は現在でもファンを魅了して止まない。もともと短いUZI の全長470mmに対して357mmとさらに短くしたミニUZIは、ボルトの後退量が少なくなり、リコイルスプリングを強化させた結果、連射速度が毎分600発から毎分950発と1.5倍に速くなっており、銃口には連射時のマズルジャンプを抑えるためのガスポートが設けられたが、フルオート時のコントロールは容易ではない。ストックは緊急時の使用を重視して折り畳み式のワイヤーストックを採用し、ワンアクションで瞬時に展開できる。これはUZIの2 段階式の収納ストックよりはるかに早くまた確実な操作が可能で、ミニUZIに課せられた要求に応えたものである。

 

セレクター表記はヘブライ語ではなくアルファベットである。UZIの成功で土台が築かれていたことから世界市場を視野に入れたものだ

 

フルサイズのUZIと同じスタイルのフロントとリアサイト、クラウンコッキングレバーが採用され、UZIのフォルムを残したまま短縮化された

 

 また収納状態ではバットプレートをフォアグリップとしても活用できるデザインとなっており、携行性が重視されている。オープンボルトから発射するブローバック式は砂漠などの劣悪な自然環境の中でも確実に作動し、オリジナルUZIをそのままスケールダウンしたレイアウトとマガジンの統一化は兵站と訓練の両面でメリットを産み出した。2005年に製造元のIMIの小火器部門が民営化され、IWIに改名されたタイミングで、大幅な仕様変更・改修が行なわれて残された。現在はすべてのUZIを統合したUZI Proとなってしまいオリジナルの面影を残したミニUZIは生産終了している。ただ残されたミニUZI達は堅牢な造りを生かしまだまだ使われるであろう。

 

ピストルグリップ内に装填するマガジンは極限状態でも間違えることなく確実に装填可能だ。レバー式のマガジンキャッチがグリップ下部に設けられている

 

スチール製のワイヤーストックは下方にカーブしたデザインで、構えた時にサイトが目線に合う高さにセッティングされている

 

 

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TEXT:IRON SIGHT

 

この記事は月刊アームズマガジン2025年9月号に掲載されたものです。

 

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