2025/05/08
米・中・印の3か国空軍アクロバットチームも招待され曲技飛行を披露!「タイ空軍創設88周年記念エアショー」
タイ空軍創設88周年記念エアショー

6機のJ-10CY/SY戦闘機による「八一飛行表演隊」。カラースモークを多用し、派手な曲技と共に美しさも併せ持つ。大型の機体であるため、迫力も十分
東南アジア有数の軍事大国であるタイにて、2025年の今年、空軍が創設から88周年を迎えた。それを記念し、大々的にエアショーを実施。それぞれの思案渦巻く米・中・印の3か国空軍アクロバットチームも招待され、曲技飛行で如何に多くの観客を魅了するかの熱き戦いが繰り広げられた!!
2025年3月7日及び8日、タイの首都バンコクにあるドンムアン空軍基地において、タイ空軍創設88周年記念エアショーが開催された。この場所は官民共用の空港となっており、民間側のドンムアン空港は、かつてはタイの玄関口であり、東南アジアのハブ空港であった。しかし手狭になったため、2006年に、バンコク市街地から30kmほど離れた場所にスワンナプーム空港を開設。それ以降、ドンムアン空港は、主としてLCC航空会社専用空港となった。
タイ空軍は1937年に創設された。「8」という数字が無限大を表すことで、縁起が良いことから今年創設記念エアショーを開催することになった。
タイ空軍機が飛び交うだけでなく、アメリカ、中国、インドからアクロバットチームを呼んだほか、地上展示のみとなったが、シンガポールもやってきた。
また、小規模ではあったが、軍事見本市も兼ねており、車両や小銃火器なども陳列され、軍関係者や国内外のトレーダー、そしてタイ国民まで広く見学できる貴重な場となっていた。
エアショーは、前述した各国が基地上空で、アクロバット飛行をする華やかなステージとなっていた。それも台湾海峡で睨み合う中国とアメリカを呼ぶという、まさにタイお得意の全方位外交が見事体現された。
そこにさらにインド洋にてお互いを牽制し合うインドと中国という顔合わせ。
まさに複雑怪奇な呉越同舟となった。

9機のBAEホークMk.132で編成された「スリヤ・キラン」。ヒンドゥー語で“太陽の光”と言う意味。そこで旭光をイメージした機体のカラーリングとなっており、日本人にはどことなく馴染みがある

米空軍のF-35Aによるアクロバット飛行チームも参加。ソロでの曲技なれども大迫力。何より最新鋭のステルス機ということで、観客の注目を集める存在となっていた


中国は6機のJ-10戦闘機で編成された「八一飛行表演隊」が参加した。最近はこうして中国国内を出て、海外のエアショーへと参加する機会が増えており、中国軍のPR活動を積極的に行っている。
アメリカはF-35Aのデモチームが参加。単機でのアクロバット飛行ではあるが、スピードを生かした曲技の数々は大迫力だ。インドは9機のBAEホークMk.132で編成された「スリヤ・キラン」が参加した。
地元タイ空軍は、SAAB社のグリペンCによる各種飛行展示が行われた。その内の1機の尾翼には88周年記念に因んだ特別塗装が施されていた。タイ空軍では第701飛行隊のみがグリペン飛行隊となっており、今後も調達していく計画がある。それを見越し、SAAB社は、軍事見本市の会場にて、最新のグリペンEの売り込みを行っていた。
また、現在のタイ空軍の主力戦闘機であるF-16A/Bも飛行。もはやレガシー機とも呼べる初期型ではあるが、派手なフライトに観衆の目は釘付けだった。
そしてデモフライトは行わなかったものの、2024年より配備を開始したAT-6THが地上展示された。単発ターボプロップ機であり、アメリカではパイロット育成用の練習機として配備。“テキサンⅡ”の名前を与えたが、第2次世界大戦当時からあるT-6テキサンとは全く異なる機体である。タイ空軍では対ゲリラなどの軽攻撃機として使用する。
空軍だけのイベントではなく、国家行事として挙行しており、7日にはラーマ10世であるワチラロンコン国王も観覧された。








Text & Photos:菊池雅之
この記事は月刊アームズマガジン2025年6月号に掲載されたものです。
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