実銃

2024/10/21

.44マグナムの普及に一役買ったスタームルガー社「RUGER .44MAGNUM」【前編】

 

RUGER .44MAGNUM

 

RUGER .44MAGNUM

 

 .44マグナムといえばS&Wモデル29が真っ先に思い浮かぶ…のは日本での話だ。米国のシューターにとって、.44マグナムといえばスタームルガーとなる。スーパーブラックホークやレッドホーク、さらには.44マグナムカービンなど、幅広い製品を展開して.44マグナムの普及に努めたのは、スタームルガーだからだ。

 

 


 

 ガンプロフェッショナルズ2022年2月号のテーマは.44マグナムアモの存在を世界中に知らしめた映画『ダーティハリー』(Dirty Harry)公開50周年記念というではないか!筆者がこの映画を見たのは米国に入って間もない頃だった。スミス&ウエッソン(S&W)モデル29が主演に近い重要な役割を演じた映画であり、ハリーキ・ャラハンの有名な台詞は、あれから50年を経た今日でも語り草となっている。

 

Redhawkパックマイヤーグリップ付き
Redhawkパックマイヤーグリップ付き

 

 スタームルガー製品と”Dirty Harry” .44Magnumにどんな関係があるのか?といぶかる読者もおられるかもしれない。確かに映画とは関係ないが、.44マグナムといえば、スタームルガーは忘れてはならないメーカーなのだ。“Dirty Harry”のおかげで.44マグナムに注目が集まり、それがスタームルガー製品の売り上げを押し上げたという側面も持っている。

 

ニューモデル ブラックホーク部品展開図
ニューモデル ブラックホーク部品展開図
シンプルだが、シングルアクションリボルバーの安全性能を極限まで高めている

 

 あの映画以後、世間の話題をさらった.44マグナムだったが、あの時点で口径.44マグナムはS&Wモデル29だけの専売特許ではなかった。S&W以外のハンドガンメーカーも既にシングルアクションではあったが.44マグナムリボルバーを製造販売していたからだ。それが新興銃器メーカーであるスタームルガー社だった。しかしながら、ダッジシティ時代じゃないのでシングルアクションでは公用リボルバーとして映画登場はありえないだろうし、知名度からいっても適役はS&Wモデル29だったことは間違いのないところだ。

 

Super Blackhawak Hunter+Leupold M84×Extended Eye Relief
Super Blackhawak Hunter+Leupold M84×Extended Eye Relief
1980年代のピストルスコープで、StoneyPointのカスタムノブを装着したもの

 

 現在、センターファイヤーマグナムリボルバーハンドガンカートリッジの中で、もっとも普及し、リローディングされているのは.357、.44マグナムではなかろうかと思う。そしてマグナムリボルバーとなれば、今やスタームルガー社は種類、製造数共に世界のトップメーカーとなっている。

 

 実銃のハンドガンが民間市場にない日本では、.44マグナムといえばS&Wであり、モデル29なのだろう。これはこの半世紀の間も不変だ。しかし、米国では.44マグナムといえば、それは普及率からいってスタームルガーなのだ。その数はS&Wを確実に超えている。

 

RUGER.44MAGNUM

 

 “But since this is a .44Magnum, the most powerful handgun in the world…”(世界最高の威力を持つ44マグナム…)と1971年に映画の中でハリー・キャラハンに言わしめた.44マグナムカートリッジだが、実際のところ、当時すでに最強ではなかった。

 

 .44マグナムが登場してからわずか3年後、これを上回るパワーの.454 CasullをDick Casull(ディック・カスール)が開発、1959年に雑誌で公開している。但し、このアモはワイルドキャットで、市販されたのは1997年になってからだ。従って、法執行機関用アモとしてなら、1971年の時点で.44マグナムが最強口径であったということは間違いない事実だ。現在、.44マグナムに勝るパワーを持つハンドガンカートリッジは数多くある。.454カスールの他にも.450マーリン、.500S&Wマグナム、.460S&Wマグナム、.500ラインバー、.475ラインバー、.475ウイルディマグナム、.50アクションエクスプレスなどだ。しかし、これらを法執行機関で使用している例は聞いたことがない。

 

Super Blackhawak Hunter+Leupold M84×Extended Eye Relief

 

 筆者がテキサスに移り住み着いたのは1972年末のことだった。その頃、筆者の住む地域のポリスオフィサーの大半はS&Wモデル27、モデル19等の.357マグナムリボルバーを保有、一部がコルトガバメント.45ACPを標準携帯モデルとしていた。オフィサー携帯モデルはポリスデパートメントによって違ったガイドラインが設けられていたが、今日のような9mm×19に統一し、数機種の中から選ぶというのはなく、口径、銃の種類の選択も比較的自由だった。

 

 その中には少数ではあったが、モデル29 .44マグナムを携帯するポリスオフィサーも存在した。これは別に映画の影響ではなく、映画公開以前からそうだったのだ。田舎に行くほど大口径志向は強く、.45ACPのコルトガバメントや、所轄署によってはトンプソンSMGまでもが現役だった。
 

 

Photo&Report:Gun Professionals テキサス支局

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2022年2月号に掲載されたものです

 

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