2024/09/21
軍や法執行機関などの専門家を中心に聖書やアパレルの販売を行なっているタクティカルギアメーカー「Valley Operations Group LLC」
Valley Operations Group LLC
About Valley Operations Group LLC
アメリカの銃器メーカーやタクティカルギアメーカーのデザイン、商品名などにはキリスト教に関連したものが多く用いられている。オーナー兼オペレーターのルースターによって2019年に創設されたタクティカルギアメーカー「Valley Operations Group LLC(バレー・オペレーションズ・グループ)」もそのひとつである。
同社は、キリスト教の始祖であるイエス・キリストの信仰を広く布教するために、軍や法執行機関などの専門家を中心に聖書やアパレルの販売を行なってきたほか、アメリカ合衆国憲法を推進し、防衛と愛国心のスキルを身につけることを目標としてトレーニング事業を展開している。その精神に賛同した有名なアメリカの装備メーカーやタクティカル系デザイナーとのコラボレーションアイテムは、世界中の現役、退役の軍人や法執行機関職員、銃器愛好家やハンターなどに広く認知されている。
Military Chaplain & Holy Bible
アメリカ軍兵士たちの信仰に応じて、キリスト教や仏教、イスラム教などの「ミリタリーチャプレン(従軍聖職者)」がそれぞれ従軍している。その中でキリスト教は、アメリカ合衆国人口の約60%と、複数の宗教信仰者がいるアメリカ軍の中でもっとも信徒が多い。そしてキリスト教における聖書は、世界で最も販売された人類最大のベストセラー書とも言われる。
Military Chaplain
従軍聖職者はそれぞれの信仰する宗教に基づいて信仰を持つ多くの兵士や関係者の手助けを行なっている。従軍聖職者の歴史は古く、ローマ時代には存在したという。従軍聖職者は本国の基地のみならず、派遣先の基地や有事の緊迫した状況下でも活動し、過酷な環境下に赴く兵士たちや関係者の心のケアを行なう重要な役目を担っている。そのため心理攻撃の一環として狙撃目標にされることもあり、危険な職種ともいえる。
Holy Bible Military Edition
アメリカ軍兵士向けに出版された聖書は、ペーパーバック(表紙が柔らかい冊子)が多く、BDUのポケットに入れてもかさばらない。表紙はカモフラージュパターンが印刷されているため、派遣先で読む際にも目立つことはない。兵役に就く兵士向けに聖書の中の言葉をまとめたページが追加された聖書もある。
Field Bibles
バレー・オペレーションズ・グループのフィールドバイブルは、彼らのフラッグシップアイテムである。そのため、彼らのバイブルはコラボレーションアイテムとしても人気で、過去にはアメリカのタクティカルデザインアーティストとして活動をするHouse of Wolves/Gypsy Waltersや、奇抜なアパレルや装備を作り出しているQilo Tacticalとのコラボレーションモデルが発売されたことがある。アメリカで印刷されたフィールドバイブルは基本的には、NIV(新国際版)翻訳によって新約聖書に箴言(しんげん)と詩篇(しへん)が掲載されている。写真のTiger Field Bibles(KJV)は1,000冊限定販売だったが、発売開始後すぐに完売したアイテムだ。彼らが作るタクティカルな聖書は、世界中から注文が可能である。
フィールドバイブルのサイズは2.8×0.4×4.38インチ、重さが3オンス以下となっている。そのため、あらゆるキットスペース、カーゴショートのポケット、バグアウトバッグに収納可能だ。
磨耗や破損に耐える頑丈な素材を表紙に使用することで、耐久性と耐水性を備え、ラフな扱いにもヘタらない仕様になっている。写真のFlecktarn Field Bibleは表紙に500Dコーデュラファブリックを使用。素材のカラーバリエーションを生かしている。
Valley Operations Group LLC Apparel
Caffeine Cap(Americana)
バレー・オペレーションズ・グループはグループの表現活動の一環としてアパレルを展開をしており、デザインセンスも評価されている。写真のモデルが着用するキャップ「Caffeine Cap(Americana)」は、「Wake up with Valley.(ゴルゴダの丘で復活)」とサブタイトルが付く。正面の絵柄には、太陽とタクティカルヘリが刺繍されており、背面ストラップでサイズ調整が可能。背面には「Valley Operations Group」と刺繍が入っている。
Crucifix Ball Cap
「The final sacrifice.(最後の犠牲)」とサブタイトルが付くキャップは、新約聖書に書かれているエピソードである「キリストの磔刑」において用いられた3本の釘を表すマークが前側に刺繍されており、背面には「Maranatha(マラナタ)」と入っている。釘が交差したデザインはタクティカルテイストでカッコイイが、その意味は深いものがある。
Maranatha Patch
「Patiently awaiting His return.」というサブタイトルが付くパッチに記載されたMaranatha(マラナタ)という言葉は、イエス・キリストが生きた時代のアラム語の「主よ、来たりませ早く」という意味で、新約聖書の中にも出てくるキリスト再来を願う言葉である。
Valley Operations Group LLCTraining
バレー・オペレーションズ・グループは「トレーニングであれ、アートワークのデザインであれ、日々の生活であれ、私たちはすべてを通して自らを厳しく律することで心の弱さを克服する」という方針で活動をしている。アメリカ合衆国憲法を推進し、防衛と愛国心のスキルを身につけることを目標とするトレーニングを通して、正しい武器の取り扱い方とその心構えを指導している。
Valley Operations Group LLC Styling
バレー・オペレーションズ・グループの公式Instagramで提示される写真は、装備好きの読者に大きな影響を与えることだろう。そのスタイリングは、装備好きならば参考にしたくなるカッコよさがあるからだ。バレー・オペレーションズ・グループのメンバーによる不動の信念に基づいたそのセットアップは必ずや参考になるだろう。
TEXT:Ghost(Ghost in the Dark)
PHOTO:Valley Operations Group LLC
SPECIAL THANKS:Valley Operations Group LLC
この記事は月刊アームズマガジン2024年10月号に掲載されたものです。
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