2024/08/10
【ナイフダイジェスト WEB版】03 INTERVIEW:伊藤飛翔(’23JKG大賞受賞者)インタビュー & 「JKGナイフコンテスト」作品募集中
こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいているのですが、ちょっと珍しい「刃物専門編集者」としての日々を、あれこれ書いていこうと思います。
国内最高峰のナイフコンテスト
「JKGナイフコンテスト」というコンテストがある。その名の通り、公募型のナイフコンテストである。
詳細は下記のリンク先をご覧いただきたいが、「ハンドメイドナイフ(プロ、アマチュアを問わず個人自作の国内外での未発表作品)」が条件。要するに誰でも応募できるのである。
今年も「第39回JKGナイフコンテスト」が開催される。2024年9月1日 ~9月10日必着である。
’23年の大賞を受賞した新進作家
昨年(2023年)の大賞受賞者は、伊藤飛翔さんだった。北海道在住の新進作家である。
伊藤さんの応募作は、多徳のポケットナイフ。
産業革命以降の英シェフィールドでつくられていた、世界最高峰のラグジュアリーナイフ、通称「クリスタルパレス」をベースにした作品である。あまりにも圧倒的なクオリティだった。応募した時点でメイキング歴約5年というキャリアの短さにも驚かされた。
ナイフメイキングを始めたきっかけは、趣味の釣りで使うナイフが欲しかったから。
せっかくだから、と自作したことが始まりだった。
無事完成して問題なく使えたが、ナイフメイキング自体に興味がわいてきた。
「1本目はネットショッピングでヤスリとボール盤を手に入れて始めましたが、そこからはナイフを作るための作業環境づくりをはじめました。2年くらいかかりました」
ベルトグラインダー、バンドソー、フライス盤、リューターといった電動工具を時間をかけて買い揃えていった。
自分のペースで進める、と決めていたから、時間がかかることは苦にならなかった。
設計図は、雲型定規などもつくった手書きも試した上で、本業で習得したCADを使う方法で描くことにした。
折りたたみのポケットナイフも、ナイフのことを調べていく中で、魅力を感じてつくり出した。SNSなどを通して、先輩作家たちが声をかけてきてくれたことで、資料や知見が集まったことが、とても大きかったという。
「自分がつくりたい作品を、自分のペースでつくり続けていきたいんです」
受賞してからも、本業の傍ら、よりクオリティを上げた作品づくりを続けていくという伊藤さん。今や世界から注目を集めている伊藤さん。コンテストに応募したことで、新たな出会いも増えたという。
「多くの方々とお会いして貴重なお話やアドバイスをいただいています。コンテストは自分の作品を発表する絶好の機会です。多くの方々に見ていただくことで、ナイフメイキングに限らず、ものづくりの奥深い世界に目を向けさせていただくような出会いにも恵まれるのではと思います。メイキングをされている方々は、ぜひ一度、応募してみることをお勧めします」
そう語る伊藤さんのホームページでは作品のアーカイブも閲覧できるようになっている。
ぜひご覧いただきたい。
9/1〜10に事務局必着。急げ!!
伊藤さんに限らず、JKGナイフコンテストをきっかけとして、今では世界で活躍している作家も数多い。受賞後もペースを保って、本業のかたわら佳作を生み出している作家も数多い。ナイフメイキングに親しんでいる方は、気軽に、ぜひ応募していただきたい。
ナイフメイキングに興味を持ったらぜひ参考にしていただきたい一冊。伊藤さんへのインタビューもあります
ホビージャパンMOOK『アウトドアナイフの作り方 改訂版』
And more!
今回のインタビューのフルバージョンは以下に掲載している。
刃物専門編集者の憂鬱 その19「作家インタビュー: 伊藤飛翔」
こちらも併せてお目通しいただければ幸いである。
*ナイフはルールを守って安全に使用しましょう。
TEXT:服部夏生
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