2024/07/26
パリオリンピックの守護神たれ! フランス特殊部隊を取材「ユーロサトリ 2024」
パリオリンピックの守護神たれ! フランス特殊部隊によるデモンストレーションをレポート
パリオリンピックを目前に控えた6月。まさにフランス・パリで開催された国際防衛装備・安全保障展示会「ユーロサトリ2024」にて、フランスが誇る軍・法執行機関の特殊部隊による「ダイナミック・デモンストレーション」が報道陣に公開された。パリオリンピックの警備と、テロ・凶悪犯罪抑止に焦点を当てたこの訓練展示には、フランス陸軍のGCP、国家警察のRAIDとBRI、そして国家憲兵隊のGIGNが参加している。ここでは、とりわけ気になる彼らの現行装備に着目しつつ、デモンストレーションの模様をレポートしていこう。
「パリオリンピック」は無事の開催となるか?
これが読まれる頃は、ちょうどオリンピックの真っ最中だろう。無事に始まり、終わってくれればいいが…。およそ100年ぶりにフランス・パリで開催されることになった「パリ2024オリンピック」は、この執筆時点では開始まであと1カ月ほどだが、パリとその周辺では大規模な工事が続いており交通渋滞がひどい。早く終わってほしいというのが正直なところだ。フランス国民の多くは、バカンスの時期と被るオリンピックをよく思っていない。また、オリンピック開催期間中のバスやメトロ(地下鉄)といった交通機関やゴミの収集など、公共サービスに従事する人々による大規模なストライキも予告されている。交通機関については、オリンピック誘致の際に掲げられた「開催期間中のメトロ(地下鉄)やバスなどの運賃を無料にする」という公約が反故にされ、しかも開催中は運賃を倍にすることが発表されたことも影響しているだろう。
ガザ地区における武力衝突や、ロシアによるウクライナ侵攻に関連して大規模テロも懸念されている。しかし、治安維持に関連する予算が削減されていた影響から、オリンピック開催期間はおろか普段から警察官の数が足りていないという状況が続いているのである。そのため、一定の基準を満たす民間警備会社については警察同様に武装して逮捕できる権限を持たせ、警察官の不足を補うという施策もなされている。
GCP
Groupement des Commandos Parachutistes
ユーロサトリにおける特殊部隊のデモンストレーション
6月に開催されたフランス国防省主催の国際防衛装備・安全保障展示会「ユーロサトリ2024」は、まさにパリオリンピックの警備が焦点の1つとなり、日本を含む62カ国から政府や軍・法執行機関関係者、メーカーやセキュリティ企業など関連各社が参加。来場者は150カ国、約62,000人を数えたという。展示される製品はユニフォームやパッチといった被服から、小火器、車輌、航空機、ミサイルなど様々で、近年注目されるドローンも各社多様な製品を展示。さらに、静態展示だけでなく実際に動かす「ダイナミック・デモンストレーション」も見どころとなっている。
さて、ユーロサトリ2024開催前日となる6月16日、報道関係者向けにフランス特殊部隊によるデモンストレーションが公開された。なお、ユーロサトリは隔年開催のため、この2年間で軍・法執行機関の装備がどう進化したのかを確認できるチャンスでもある。
フランス陸軍の特殊部隊「GCP」
まずはフランス軍のデモから。シナリオは陸軍第11落下傘旅団隷下の特殊部隊GCP(Groupement des Commandos Parachutistes:空挺コマンドグループ)が敵地に降下し、敵の位置を特定するところからはじまる。その後、陸軍第7機甲旅団の歩兵部隊が小型のATV(全地形車輌)ファルディエ・ライダーに牽引された120mm迫撃砲RTを展開し攻撃を開始。続いて、カエサル155mm自走榴弾砲が登場し遠距離から砲弾の雨を降らせる。その後にVBL装甲車、ジャガー装甲偵察戦闘車、VBCI歩兵戦闘車などが続き、敵戦闘車輌を第19工兵連隊により携行対戦車ミサイル、アケロンMPで撃破。その行く手を阻む地雷を除去し、敵の拠点に進撃。最後は第7海兵連隊の海兵コマンド(フランスに独立軍種としての海兵隊はなく、陸軍に所属)が拠点を制圧するという壮大なシナリオで、各部隊ともドローンの活用範囲が広がっていることも感じられた。
TEXT&Photos:Tomonari Sakurai
この記事は月刊アームズマガジン2024年9月号に掲載されたものです。
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