2024/05/17
特殊部隊SATと銃器をクローズアップ 日本警察のリアル
我々の生活の安心・安全を守る警察。制服を着て巡回する姿、高速道路で取り締まりをする姿、交通安全の啓蒙活動をする姿など、我々は常に警察官を目にしているが、特殊部隊SATや拳銃などは、まず見かけることはない。だが、それは映画や小説の中の話ではなく、リアルに存在している――。
ここではホビージャパンMOOK「日本の警察」より、SATと銃器をクローズアップする。
警察特殊部隊SATとは?
日本の警察は、自治体ごとに警察本部を置いて、地域の安心・安全を守っている。東京都を守る警視庁だけは別格であるが、他の警察本部においては、「大阪府警察」や「神奈川県警察」など、自治体名を冠している。
警察本部には、警務部、総務部、生活安全部、地域部、刑事部、警備部、公安部など各部が編成されている(警察本部により異なる)。この中の警備部は、治安警備や災害警備を担当する。そうした任務を執行するため、集団警備力を誇る機動隊を有している。
そして、その機動隊員の中から能力の高い人材を選抜し、通常の警察力では対処できないテロや凶悪事件を専門に取り扱う特殊部隊が編成されている。それが、SAT(Special Assault Team)だ。
SATはまず警視庁、大阪府警、北海道警、千葉県警、神奈川県警、愛知県警、福岡県警に編成された。続いて、2005年に沖縄県警にも編成され、トータル8隊体制となった。
装備はH&Kの機関けん銃MP5Fをメインウェポンとし、拳銃はH&K USPやグロック19、SIG SAUER P226など(いずれも9mm×19弾)。隊員の輸送だけでなく、装甲車として乗ったまま警備実施にも使われる銃器対策警備車など数種類の車輌も配備されている。
当初は完全なる秘密部隊であったが、2002年のサッカーW杯以降、報道公開されるようになった。これは、あえて訓練等を公開することで練度の高さを見せつけ、犯罪抑止につなげる「見せる警備」へと考え方を改めたからだ。
諸外国の法執行機関特殊部隊と比べてもSATの実力は高く、これまでいくつもの事件を解決してきた。
日本警察の銃
日本警察にも各種拳銃が配備されている。先進国の中では銃器犯罪が少ない国ではあるが、警察官は必ず拳銃を携行している。
警察署や交番に勤務する制服警察官の代表的な拳銃が、リボルバー(回転式拳銃)である。警察創設以来、一貫してリボルバーを配備している。
第二次世界大戦後、日本に警察が復活した頃は、アメリカから供与されたM1917やS&Wミリタリーポリス、そして戦中からの南部十四式拳銃などを装備していた。これに続いて、同じくアメリカから供与されたM1911も数を増やしてきたが、.45口径と大型である点、威力が強すぎる点などから、一般警察官用の主力拳銃はリボルバーに決まった。
1959年よりS&W M36チーフスペシャルの配備と並行して、新中央工業がニューナンブM60を開発。ここから1990年まで、この銃の生産は続いていった。なお、ニューナンブM60には、2インチモデルと3インチモデルの2つのバージョンがあることは、当誌読者ならご存知かもしれない。
1997年からは、チーフスペシャルやニューナンブM60の後継としてS&W M37エアウエイトの配備も開始。そして2006年からS&W M360Jサクラが配備されていく(いずれのリボルバーも.38スペシャル弾を使用)。
この他、刑事警察を中心にSIG SAUER P230が配備されているほか、警備警察を中心にH&K SFP9などのオートマチック拳銃が配備されている。
TEXT&PHOTOS:菊地雅之
この記事は月刊アームズマガジン2024年5月号に掲載されたものです。
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