実銃

2024/05/18

【実銃】HERA ARMSが誇るドイツらしい高品位なAR「SRB16 & 7SIX2」【中編】

 

HERA ARMS
 SRB16 & 7SIX2 

 

 

 ARクローンが市場に溢れている今、それぞれの製品から特徴を見出すことは難しい。そんな中、ドイツのHERAアームズはかなり個性的でエレガントな製品を展開している。外観だけでなく、製品品質や加工精度も極めて高く、注目に値する存在だ。

 

前編はこちら


 

SRBと7SIX2

 

HERA ARMS 7SIX2 2020
口径:.308Win.
全長:94.5”/103.5cm
バレル長:16.75” 1/11”
重量:3,848g
これは市販型そのままの仕様となっている。ちなみに価格は2,599ユーロで日本円にすると約34万円だ

 

 

単体で見ると判り難いが、SRBと並べると一廻り大きい。AR -15とAR-10の違いだ。撮影用にHAWKEのスコープを取り付けたが、ターゲットライフルというわけではない。トリガーはスタンダードでごく普通の感触だ。ヨージ氏に手を加えられたSRBの方がはるかにスムーズなトリガープルを持っている。今回7SIX2は実射できなかったが、カスタムバレルを装着してマッチトリガーを組み込んだSRBの方が圧倒的に高い射撃精度を叩き出すだろう

 

 ここでご紹介しているHERA ARMSのロアレシーバーをご覧いただきたい。

 マガジンハウジング部にファンネルマグウェル加工がなされ、そのままの幅でトリガーガードに繋がるデザインだ。そのマガジンハウジングの前後には独特のチェッカリング加工が施されている。

 

HERA製の.308用純正HCC(Hera Competition Compensator:HERAコンペティションコンペンセイター)。5/8×24tpiマズルスレッドに対応する

 

HERA製ロープロフィールアジャスタブルガスブロック

 

 セレクターの操作角度は45°。ピストルグリップはグラスファイバーで強度のあるオリジナルで、もちろんドイツ製だ。握った感触からシャープな感触が伝わる。

 アッパーレシーバーも直線を組み合わせたデザインで、5.56mmモデルのボルトフォワードアシストボタンの周りはケースディフレクターと一体のデザインだ。これらの多くはレシーバー全体の強度を確保するためのデザインでもある。


 アクセサリーメーカーから始まっただけあり、レシーバーだけでなくハンドガードもストックも多くのパーツがHERAアームズの自社製品で構成されている。但し、すべてが自社製ではなく、.223口径のボルトなどは社外品だ。

 

7SIX2のロアレシーバー。AR-10のレイアウトを踏襲しているが、アッパーレシーバーを繋ぐピンの周りに補強が入るなど、HERA独自のデザインとなっている

 

7.62×51mm(.308Win)の場合、ボルトを前進させるスプリングはかなり強力で、ボルトの不完全閉鎖はほとんど発生しないため、ボルトフォワードアシストは必要ない。アッパー、ロアレシーバー共に素材が7075-T6アルミニウムだ


 一頃流行ったガスピストン方式ではなく、ダイレクトガスインピンジメント方式を採用している。両方式には一長一短があり、どちらを選ぶかはメーカーの判断だ。過酷な環境で長期間クリーニングなしで使用するなら、汚れに強いガスピストン方式が有利だが、普通の環境で使用するスポーツ用ARであるなら、ダイレクトガスインピンジメント方式の方が高い射撃精度を出せる。


 HERAアームズがこちらを選んだ理由は不明だが、そういった部分も考慮しているのではないだろうか。
 今回ご紹介するモデルの口径.223Rem仕様は、HERA SRB(Special Rifle Build:スペシャルライフルビルド)。それをヨージ氏が微調整してカスタムを施した特別仕様だ。それに加えて今回は.308Winモデルも撮影させて頂いた。HERA 7SIX2 AR10だ。

 

樹脂製ダストカバーが開くと、HERA製ボルトが顔を出す。ダストカバーはStrike Industries製だ

 

現状ではHERAアームズは7.62mmのAR用マガジンをラインナップしていない。これはMAGPUL PMAG 10rd Gen M3だ

 

 口径に併せた一廻り大きいレシーバー。手に取ると明らかに重い。SRBに800gプラスだ。モデル名のSIXを数字にすれば“762”となる。
 7SIX2はオリジナルAR-10と同様、フォアードアシストはない。こちらはカスタムではなくHERAアームズ製品のままだ。多くの市販型.308 ARは、アサルトライフルと言うよりセミオートのターゲットライフルという位置付けで、トリガーも最初からマッチトリガーが組み込まれていることも多い。

 HERA 7SIX2も同様だ。あとはユーザーが好みの味付けをしていって楽しめるようになっている。

 

現状HERAは.308用チャージングハンドルのオプションパーツを展開していない。従って7SIX2のチャージングハンドルはごく普通のノーマル仕様となっている

 

ストックはHERA CCS(Collapsible Carbine Stock)で、プッシュボタンを押すことで引き出すことができる

 

ファンネル加工されたマガジンウェルからトリガーガードへ繋がるラインはHERAのAR-15、AR-10ロアレシーバー共通のデザインとなっている

 

右からハンマー&ディスコネクターコンペティションスプリング、ピカティニーレイル、MPSS(マルチパーパスセイフティセレクター)が付属品としてついてくる。コンペティションスプリングはトリガープルを1.5kg-2.5kgに変更するためのもので、MPSSはセイフティセレクターの操作角度を90°に変えるためのパーツだ

 

HFGAグリップはマルチポジションフロントグリップで尺取り虫のようにその装着角度を変更可能だ

 

HFG(HERA Front Grip)はハンドガードに装着するバーチカルフォアグリップだ。これも滑り止めパターンは“H”の文字が多数組み合わせたものだ

 

Photo&Text:Tomonari SAKURAI
撮影協力 : Farkas Arms Kft./József Farkas GIS Technologies

 

この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2022年3月号に掲載されたものです

 

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