2024/04/16
【毛野ブースカのトイガンレビュー】「TANIO KOBA KOBA GM-7.5 SERIES~COLT MARKⅣ SERIES 70~」
撃って楽しめる
発火式モデルガンのマスターピース
85歳を超えた今でも現役バリバリのタニオ・コバ社長の小林太三氏。60年近くにわたってトイガンを設計し続けている、まさにトイガン界のレジェンドである。小林氏とガバメントと言えば、MGC在籍時代に設計したGMシリーズだろう。特に1981年に登場したモデルガンGM-5は今もなおモデルガンマニアの間で高い評価を得ている。
小林氏が生み出すモデルガンやガスガンの特徴を端的に言い表すなら「形状やメカニズムの正確さはそこそこに、おもちゃとしての機能や楽しみを追求した、撃って遊べて壊れにくいトイガン」ではないだろうか。それはGMシリーズのみならず、小林氏が設計に携わったMGC製品全般に当てはまることだろう。現在に比べれば実銃の資料や情報が極めて少なかった時代に、実銃を忠実に再現しようと思ってもできず、デフォルメせざるをえなかったのは事実だ。しかし、もしトイガンに外観のリアルさだけを追い求めるなら、MGCというメーカーが隆盛を極めることは難しかったのではないだろうか。小林氏はブローバックモデルがなかった時代に、トリガーを引くことでスライドを後退させてカートリッジをエジェクトさせる擬似ブローバックメカ(通称タニオアクション)にはじまり、オープンデトネーター式ブローバック、CPカートリッジ式ブローバック、スライド固定式ガスガン(M93R)、そしてアフターシュート式ガスブローバックガン(G17)など、「アクション」にこだわったメカニズムを数多く生み出し、そのいずれもが大ヒットとなった。
小林氏によるGMシリーズは、金属製のGM-1、初のABS樹脂製でストレートブローバックのGM-2、海外仕様の金属製GM-3、GM-2をCPカートリッジ式にしたGM-4、CPカートリッジ式とショートリコイルを採用し、リアルメカ/リアルサイズを謳い文句にしたGM-5、そしてユニークなHARETシングルアクションを採用したスライド固定式ガスガンGM-6まで続く。GM-6以降もMGCではGMシリーズが続くのだが、小林氏のGMシリーズは小林氏のMGC退職とともにピリオドを打つ。小林氏はMGCから独立後、タニオ・コバを設立。他社の製品開発に数多く携わってきたが、製品の多くはガスガンで、自社ブランドからもガスブローバックガンのUSPやVP-70、M4カービンをリリースしてきた。
そんな小林氏が2009年1月、MGC時代から途絶えていたGMシリーズの名称を受け継いだ発火式モデルガン「GM-7」をリリースした。東京マルイのガスブローバックガンM1911A1シリーズのスライドやフレームをもとに、モデルガン専用インナーシャーシやブリーチを開発(ガスガンとの共用はできない)。耐熱Oリングを用いたエキステンデッドオープンデトネーター式を採用し、GM-2で成功しなかった樹脂製カートリッジをグラスアモルファスナイロン樹脂を用いて復活させた。
このGM-7をベースにコルトマークⅣシリーズ70に代表される固定式サイト仕様の「GM-7.5」だ。GM-7はスプリングフィールドやキンバーといった現行モデルが中心で、シリーズ70のようなオーソドックスなコマーシャルモデルはなかった。かつてのGM-2やGM-5を彷彿させるGM-7.5は、小林氏のGMシリーズ本来の姿といっても過言ではない。まさにGMシリーズの王道である。GM-7の特徴を継承しつつフレームやスライドはコマーシャル仕様に新たに製作。シリーズ70特有の刻印が施されたスライドとフレームの表面はブラスト仕上げ、フルチェッカータイプのメダリオン付きフェイクウッドHWグリップが標準装備されている。
ガバメントモデルらしいシンプルな操作性と高い発火性能、耐久性を実現したタニオ・コバのGM-7.5は、発火式モデルガンを初めて手にする方やガンガン発火させて楽しみたい方にお薦めだ。
DATA
- 全長:219mm
- 全高:138mm
- 全幅:35mm
- 重量:666g
- 装弾数:7発
- 価格:¥32,780
- お問い合わせ先:タニオコバ
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TEXT:毛野ブースカ
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