2019/04/07
カスタムで再現!「特殊作戦群のハンドガン」
心を揺さぶるカスタムガンは人それぞれにあるが、それが必ずしも製品化されているわけではない。例えばたった1枚の写真からその銃の背景を探り同じものを造ってみることもカスタムなのだ。ここでは有名、無名にかかわらず気なった銃を製作、紹介したい。
特殊作戦群のハンドガン
特殊作戦群は陸上自衛隊唯一の特殊部隊だが、活動はモチロン存在すら秘密のベールに包まれている。数少ない記録では平成16年から2年半に及んだイラク派遣で要人警護などを行なった実績を残している。その際、普通科部隊との派遣前合同訓練では、生身の隊員を的の両脇に立たせ、特戦群隊員は10m以上離れた場所を移動しながら拳銃射撃で的に命中させ実力を示した。ここまでの実力をつけたのはアメリカの対外軍事援助プログラムによるところか、隊員が休暇を利用して自費で参加するタクティカルトレーニングなどで得たノウハウによるところであろう。アメリカ軍特殊部隊と同様に拳銃が重要な武器になると考える特殊作戦群はいくつもの拳銃を採用している。
■USP 9 TACTICAL
SNS上で写真が流出したことで一気に有名になったのがUSPタクティカルだ。まさか自衛隊がサイレンサーやマイクロドットを搭載した拳銃を使用しているとは想像できなかったが、装備調達リストにも陸上自衛隊向けに特殊拳銃としてH&Kが載っていることから使用していたことは間違いないだろう。USPタクティカルには.45口径と9mmの2種類あるが、海自の特別警備隊やSATのUSPが9mm仕様なのでUSP 9と想定。ベースガンは東京マルイのガスブローバックガンUSP 9を使用して日本版SOCOMを作製した。
14mm正ネジが付いたDETONATOR「USP9mmタクティカルタイプサイレンサー対応アルミアウターバレル」(¥8,316 問エンテン)、タニコバ製レールアダプターをチョイス。フロントサイトはサイレンサーの使用を前提としたハイプロファイルだ
特殊部隊用のハンドガンを象徴させるハッシュパピーをイメージしたコブレイのサイレンサーを装備させた
フライスを使ってフロントセレーションをオリジナルで追加した
マイクロメータータイプのアジャスタブルリアサイトはKSCのUSPのものを流用。取り付けにはスライドとブリーチに加工が必要になる
■P226陸自改修版
軍事援助プログラムでは武器の譲渡も許可をしている。初期の特殊作戦群ではシールズからMK24を譲渡されたようだ。ただし酷使された銃が渡された可能性が高く、故障や修理も必要になるだろう。これはあくまで憶測だが9mm拳銃の製造を行なっている新中央工業にパーツの補修を相談をし、そしてもし新中央工業が本気で取り組んだら和製P226が誕生したかもしれない。そんな想像をめぐらして可能な限り9mm拳銃に近いP226を作製。東京マルイP226Rをベースに刻印の変更、フロント/リアサイトの変更、スライドトップの角の面取りなどの加工が中心となっている。
可能な限り9mm拳銃に近づけるためにレールもオミットした。アンダーレールの溝をプラリペアで埋めてから再成型を行なう
セレーションは前方に移動させ、スライドトップの角をフラットに削る。9mm拳銃は多角形が特徴になっているので角がダレないように仕上げを行なう。リアサイトは社外品のアーリータイプに交換
外装式のエキストラクターも埋め、エジェクションポートの角にはRをつけた
スライドトップにあるスロープも再現した
TEXT:IRON SIGHT
この記事は月刊アームズマガジン2019年5月号 P.94~95より抜粋・再編集したものです。