2023/07/31
【実銃】かの有名なSAAのレプリカモデルである「シマロン ピストレロ.45」その実射性能とは?【後編】
CIMARRON
PISTOLERO .45LCTos
オールドウエストガンには何故か惹かれるものがある。とりわけシングルアクションリボルバーはその筆頭だ。安全性を最大限に高めた現代のシングルアクションも機能的で素晴らしいが、4ポジションのクラシックハンマーはもっと魅力的だ。
テキサスのシマロンは、低価格ながら押さえるべき部分はしっかり押さえたSAAレプリカ。147年前はSAAが最先端のファイティングリボルバーだった。この銃を手に、あの当時、これを手に戦った男達に想いを馳せてみたい。
~ ピストレロ45実射編 ~
それでは、実射編だ。多少の不備には目をつぶりつつ、撃とう。弾はフェデラルのセミワッドカッターHP(225gr)と、詳細不明のリロード弾(セミワッドカッター)を用意。弾不足の昨今、前々から備蓄していた分があってマジで助かった。
多少の不備はあるとはいえ、充分綺麗で撃つのは少々もったいない。何しろ新品。シリンダーの回転スジもほぼ目立たないほどだからねえ。ああ、発火したらブルー仕上げに更なるムラが生じないかと不安。汚れがこびりつかないよう、フォーシングコーン回りやらシリンダーの前面およびチェンバーに油をしっかり塗った。効果のほどは定かではないが、せめてもの気休めで。
構えたバランスは上々。あまりハイグリップにならないよう握り加減を調節し、室内撮影時のハンマートラブルが発生しないことを祈りつつ、発射!
ドバンっと、早朝の野外レンジ(朝9時から撃ってます)に轟音がこだまする。晴れやかなリコイル。片手で撃てば、銃は軽々とカメラのフレームから消えるくらいに跳ね上がる。が、それでいてマグナムとは全然違い、手から血の気が引くような痺れ感はない。わりと乾いた手応え。ツルツル仕上げの木製グリップが良く滑り、上手にリコイルを逃してくれるというのもある。
一発一発、じっくり味わいながら撃ち続けてみる。懸念したハンマーの不調はなし。すべての動きは滑らかでナチュラルだ。タイミング的にも正確な模様。ただやっぱり、トリガーのガチガチなブチ切れ感はどうも面白くない。それと、やや困ったのがエイミングだ。10ヤードの距離から紙ターゲットを撃ったら、狙い処より10cm近くも下方へ着弾するのだ。
超背高ノッポなフロントサイトはセレーションが切ってあるわけでもなく、目測がとても難しい。ほとんど根元近くをリアのノッチに合わせて、やっと良い具合に弾痕が収まり出した。正直、『荒野の七人』のマックイーンのように、フロントサイトを低く削り落としたほうが絶対狙い易そう。
せっかくだからと、ジェームス・コバーンばりの両手撃ちなども愉しみ、緊縮射撃の30発ほどで実射は終了。とても豪快で気持ち良いシューティングでありました。
SAAは、素朴な温かみに溢れた銃である。頑なでもあり、それでいて鋭くたくましい。全鉄製のボディは重くてデカくて弾数もたったの6発で、装填排莢も時間が掛かりSAオンリーだから扱いにくいことこの上ないが、だからこそ気持ちが入るし、心が躍るのだ。暴れ馬を手なずけるように自分の物にしていく過程は、この手の銃の醍醐味だろう。
1873年には、コイツは最先端のスーパーカウボーイガンだった。昔のガンマンは皆この銃で鍛錬を重ねたのだ。扱いにくい分、便利な現代銃に慣れた我々よりも彼らは数段、腕が達者だったに違いない。いや、そうならざるを得なかった。西部開拓の時代なんて、危険で野蛮で不衛生で不便な事ばかりだからタイムマシンがあっても行きたくはないけど、いにしえの時代に思いを馳せつつ銃を慈しむだけなら、こんなにも愉しい。
SAAは、鉄砲好き人間にとっては根源的な感動を呼び起こすもの。コレは疑いようがないと思う。自分が実射撮影に使っている野外射場では、ウエスタンマッチもちょくちょく開催されている。いつもミスっている間にコロナが来てしまった。諸々落ち着いたら、今度こそ覗いてみようと思う。
Text&Photo:Gun Professionals サウスカロライナ支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年2月号 P.156-160をもとに再編集したものです。
※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。