2023/07/17
【実銃】往年のリボルバー「S&W Model27」と「S&W Model 627-0」の実射性能【後編】
Original
S&W Model 27-2
8-3/8inch Barrel
S&W Nフレームはラージフレームとも呼ばれ、Xフレームが登場するまで、同社最大のフレームであった。1907年の.44ハンドエジェクターに始まるNフレームは、パワフルな大口径アモが撃てることが特徴だ。
1957年にモデル名を番号で表すようになった以降も、モデル20(.38-44)からモデル29(.44マグナム)まで、5種類の口径による10種類のラインナップを揃えていたことからも、その人気ぶりが伺える。中でもモデル27は“6連発のキャデラック”と呼ばれるほどの豪華版だ。
今回はそんな1974年製モデル27-2、8-3/8インチ銃身モデルにスポットライトを当ててみたい。
モデル27実射
今回の実射では、我が家の虎の子である1975年製モデル27と、20年以上に前に“ICORE”というリボルバー競技やスティールチャレンジ用に作ってもらったモデル627の7連発カスタムを撃ってみた。モデル27の方は確か25年ほど前のガンショーで手に入れたもので、今回が初めての実射である。
モデル27はお気に入りのモデルなので、5インチや6.5インチも所有していたが、確か若気の至りでM1A(M14のシビリアンモデル)カスタムとトレードしてしまった。この8-3/8インチは手放す気はないので、撃たないほうが良いのは判っているが、撃ち心地を噛み締めさせてもらうことにした。
モデル627の方は、当時ICOREでは有名人だったバーマンさんというガンスミスにお願いしてカスタムの7連シリンダーをインストールしてもらったモノだ。その頃リボルバーで7発撃てるというのは大変なアドバンテージで、競技中5発目を外してもあと2発もあるという精神的余裕は限りないプラスなのだ。
もう一つのオリジナルモデル627にはアンダーラグ付きのごついバレルが付いていたが、これを精度の高いバレルに軽量化のためのスリーブを思い切り入れてもらい、さらに自分で考えたコンプチャンバーをローカルのガンスミスに掘ってもらってインストールした。
このコンプは初速をあげた軽めの弾頭を使うと結構な利き目で、何はともあれ楽しいガンとなった。特徴的な木製グリップは、あのホーグ社のケン・ホーグ氏にハンドチェッカリングと仕上げをお願いしたスーパーカスタムだ。ただ磨きが良すぎて、チェッカーのない部分が滑るので、自分でチェッカーを入れようとして大失敗の傷跡となってしまった。
まずモデル27では、OLD S&Wリボルバーに敬意を表して、25ヤードと50ヤードでの精度テスト、そして8-3/8インチバレルの初速増加を期待して、1ガロン水ボトル3本に、.357マグナムと.38スペシャル+Pを撃ち込んでみた。
精度テストでは、客観的に見て25ヤードよりも50ヤードの方が、弾痕がまとまってしまったというあまりテストとしては芳しくない結果が出てしまったが、これはかなり強かった風と、50ヤードではターゲットの上端を狙って撃ったため、センターを狙って撃った25ヤードに比べ前後サイトのトップを1直線にしやすく、黒点も見やすかったのが原因だろうと考えている。
弾薬はすべてウィンチェスター.357マグナム 145grシルバーティップを使用した。25ヤードで1-1/4インチ(約32mm)、50ヤードが1-5/8インチ(約41mm)とカスタムオート並みの精度を叩き出した。さらに50ヤードでは、5発中3発が1-1/8インチ(約29mm)に集弾してしまうというおまけまで付いた。あとリコイルテストでは、私がリロードした158gr鉛弾で、初速は1,150fpsあたりというスタンダードな.357マグナム相当というものを使用した。
昔の鉛弾頭は潤滑剤としてワックスを使用しているので白煙がぶわんと出るので、すぐにそれとお分かりいただけるだろう。また、水ボトルテストでは、ウィンチェスター.357マグナム 125gr JHPと、同じく.38スペシャル 125gr+Pでの比較テストとした。
.357マグナムの方はさすがで、1本目のボトルを粉砕して2mほど蹴り上げ、2本目を破壊しながら3本目に破片をお見舞いするという効果のほどを見せてくれた。ジャケットの大きな破片は、2本目で見つかった。それに比べ.38スペシャル+Pの方は期待外れで、1本目は50cmほどのジャンプで原形をとどめ、2~3本目は少しマッシュルーム化した弾頭が突き抜けた程度で終わってしまった。つぶれた弾頭は3本目のジャグの中で見つかった。
それにしても、モデル27から撃つ.357マグナムは、ほとんど心地良いといってもいいほどスウィートだ。長いバレルがマズルジャンプを相殺し、大きなターゲットグリップがリコイルを適度に分散してくれる。練習用に158gr弾頭の.38スペシャルも撃ってみたが、こちらはフロントサイトがすぐに戻ってくる楽々シュートで、いつまでも撃っていられる。
それにしても楽しい実射テストであった。ただ現状で、これらNフレームに使い道があるかといわれれば、その答えはノーだ。悲しい現実だが、いわゆるコレクターズアイテムでしかない。ただし、これをインヴェストメント(投資)として考えると話は変わってくる。
私はどう考えてもこのモデル27に500ドル以上払った覚えはない。調べてみると、このモデルの相場はだいたい1,500ドル程らしいので、まあ買った時の価値はキープしている(何せ25年前ですから)と考えてもいいだろう。今時価値ロスのない買い物などそうそうあるものではないだろう。リボルバー達にはじゅうぶんに楽しませてもらっていると思っている。
Photo&Text:Hiro Soga
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2021年4月号に掲載されたものです。
※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。