エアガン

2023/03/18

【エアガンスキルアップへの道】みんなでやろうPPS【毛野ブースカに訊く!】

 

LESSON8 みんなでやろうPPS

 

 かのラリー・ヴィッカーズにも師事した経験がある毛野ブースカ指導の下、銃をよりカッコよく、より安全に扱えるシューティングテクニックを学んでいく「毛野ブースカに訊く!エアガンスキルアップへの道」。第8回となる今回は、射撃に必要なあらゆる要素を楽しみながら学べるシューティングマッチ、「PPS」について解説していこう。

 

PPSとは!?

 

 PPSとは「Practice Postal Steel」の略称で、合図でスタートして複数の的を撃ち抜くスピードシューティングの一種だ。基本となる5ステージ月替わりで配置が換わる1ステージ計6ステージで構成されている。全国で統一されたルールのもと記録会が行なわれており、毎月順位表が発表される。上達度合いを目に見える形で確かめられるので、モチベーションの向上にもつなげられるだろう。
 さらに、「リボルバー」や光学サイト付きのハンドガンを使う「オープンガン」、ライフルなどのいわゆる長物を使う「ロングガン」など参加クラスが細かく分かれているのも特徴だ。誰でも自分の好きな銃で、イーブンな条件のもと競技に参加できるというわけだ。
 総じて初心者でも取り組みやすく、楽しみながら技術を向上できる構成となっており、シューティングマッチの入門には持ってこいの競技だと言える。
 それでは早速PPSのルールや全体の流れについて学んでいこう。

 

PPSの基礎を知ろう

 

 PPSでは、射撃や弾の装填(ロードと呼ぶ)など銃の操作はすべて「ボックス」と呼ばれる四角く囲われたエリアの中で行なう。

 

これが「ボックス」。PPSではこの外で銃の操作をしてはいけない

 

ボックス内での正しい立ち位置の例。両足がしっかり枠内に収まっている

 

間違った例。片足がボックス内から出ている。これだとボックス内にいることにならない

 

ボックスの縁を踏んでいる場合、かかとが枠外の地面についている場合はボックス外と見なされる

 

つま先が枠内の地面にあり、かかとが浮いている場合はボックス内と判定される。両足の重心が、ボックス内にあればよいということだ。とはいえ、枠ギリギリの位置に立ってリスクを背負う必要もない。余裕を持って立つ方が射撃にも集中できるだろう

 

 PPSには「レンジオフィサー(RO)」という審判や指導員のような係がボックスの横に控えている。ボックス内への出入りや銃のロードなどはすべてROの指示(「レンジコマンド」という)があってから行なうこと。サバゲーで例えるとボックス内がフィールド、ROはゲーム進行のフィールドスタッフのようなイメージだ。
 ボックス内に入ったら、覚えておくべきルールがいくつかある。まずは何よりも「ROの指示に従う」ということだ。指示のないうちに勝手にロードしたり射撃するのはルール違反なだけでなく、周囲を危険に晒す可能性もある。これは常に意識しておこう。

 

銃口管理の意識が甘いと…

 

ロード時などに銃口がアップレンジに向いてしまう。周囲を危険に晒さないよう注意しよう

 

「あっ、ガス入れ忘れちゃった!」… そんな時もROに指示を仰ごう

 

間違っても勝手にボックスから出たりしないように


 同じく頭に入れておきたいルールが、「180°ルール」と「45°ルール」だ。これは銃口が自分の正面180°、上下45°までしか向いてはいけないということを示している。

 

180°ルールのイメージ

 

45°ルールのイメージ

 

 また、「アップレンジ」と「ダウンレンジ」という言葉もしっかり覚えておこう。「アップレンジ」はボックスの後方「ダウンレンジ」はボックスの前方のエリアのことを指す。銃口は常にダウンレンジ側に向き、アップレンジに向くことがないように注意しておくこと。

 

「ダウンレンジ」「アップレンジ」のイメージ

 

 ちなみに、ベレッタ92Fなどのダブルアクション/シングルアクションの銃を使っているときは、ロード後デコッキングして、初弾をダブルアクションで撃つようにしなければならない。また、ガバメントのようなシングルアクションオンリーの銃ではロード後セーフティをオンにして、コックアンドロックの状態でホルスターに戻す(=セーフティを外してから初弾を撃つ)必要がある。

 

ベレッタ92Fの場合。初弾をロードした後、

 

デコッキングして、

 

ホルスターに戻す。ガバメントなどはロード後セーフティオンにしてホルスターに戻す

 

 では、実際のPPSの流れを写真で確認してみよう。今回はアイアンサイトを使う銃のクラス「リミテッドガン」に、ハンズアップのスタンバイ姿勢でチャレンジしている様子を撮影した。

 まずはROから「シューター○○さん」と呼ばれるので、ボックス内に入る。この時、ボックス内に入っても銃はホルスターから抜かない

 


 ボックス内に入り、ROから「メイクレディ」と言われたら、30秒以内にサイトチェックマガジンロードを行ない銃をホルスターに戻す。焦らず自分のペースで行なっていいのだが、時間をかけすぎない意識を持とう。

 

サイトチェックとはターゲットの位置やサイトの具合を実際に構えて確認すること。もちろん弾を撃ってはいけない

 

ロードする時は「ロードします」などとROに声をかけてから行なうと、安全かつ確実にロードできるだろう(必須ではない)

 

 ホルスターに銃を戻したら、いよいよスタンバイ姿勢を取る。準備ができたらROに「はい!」などと声をかけるとわかりやすいのでオススメだ。

 

PPSのハンズアップ

 ここでハンズアップについても確認しておこう。PPSでは、手首が肩よりも上にくるように上げておく必要がある。またPPSではハンズアップ以外のスタンバイ姿勢(ホルスター内の銃のグリップを握った状態など)も許されているので、自分に合ったものでエントリーするといいだろう。

 

ハンズアップの際は脇を開きすぎず、両手が視界の端に入るくらいの位置に上げておくと自然な姿勢でホルスタードロウしやすくなる

 

 

 ROが「アーユーレディ? スタンバイ…」とコールしたらスタンバイ姿勢のまま、タイマーが鳴るのを待つ。タイマーが鳴ったらホルスターから銃を抜いて撃ち始める。

 

タイマーから電子音が鳴ったら落ち着いてドロウし、

 

ターゲットを撃つ。ストップターゲット以外のターゲットは好きな順番で撃ってよい。最後にストップターゲットを撃つまでのタイムを競う

 

 ストップターゲットを撃ち終えたら銃をホルスターに戻して、再びハンズアップ姿勢を取る。この時、ダブルアクション / シングルアクションの銃はハンマーをデコックする。マガジンチェンジが必要な場合はハンズアップ姿勢を取る前に行なおう。

 

撃ち終えたらホルスターに戻す。銃によってはデコッキングやセーフティをかける必要があるので忘れずに

 

 1ステージにつき3回、この流れを繰り返して射撃できる。3回挑戦したらROが「アンロード&ショークリア!」とコールするので、マガジンを抜き、スライドを後退させてチャンバーをROに見せる。チャンバーを確認したら「ハンマーダウン、ホルスター」のコールがあるのでダウンレンジに向けて空撃ちし、ハンマーをダウンさせてから銃をホルスターに戻そう。最後に「レンジイズセーフ!」とROがコールしたらボックスから出てステージ終了だ。

 



 文章にすると覚える手順が多く大変そうに思えるが、実際にやってみれば流れの中で自然と正しい行動がとれるし、うっかりミスしてしまっても即失格にはならず、ROがやんわりと注意してくれる。同じ失敗を繰り返さなければ大丈夫だ。本文中でも述べた通り、初心者が楽しんで上達できるように考案されたのがPPSなのだ。
 「シューティングマッチに挑戦してみたいけど、なんだかハードルが高そう…。」そう思っている方にこそ、PPSに挑戦してみてもらいたい。きっと新たな世界が広がっているはずだ。

 

PPSブログのルールやエントリー、ランキングなどが確認できるPPSブログはこちら

 

TEXT:ポスカ/アームズマガジンウェブ編集部

監修:毛野ブースカ

撮影協力:フォリッジグリーンときがわ

 

この記事は月刊アームズマガジン2023年4月号に掲載されたものです。

 

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