2023/02/24
【実銃】実射してわかる「FN P90」の秀逸さ
PDWの元祖
PDW(個人防衛火器)であるP90は特殊部隊の一部に採用されているほか、車輌や航空機の乗員が敵地に取り残されてしまったときに命を守る“個人防衛火器”として今でも採用されている。今回はFN HERSTALでの実射レポートを公開しよう。
良好なフィーリング
いざ射撃ということで、5.7mm弾がたっぷり50発詰め込まれたマガジンが渡される。確かにずしりとした重みは感じるが、とても50発ぶんの重さとは思えない。これも小口径弾の恩恵のひとつなのだろう。そのマガジンを銃の上部に後ろから前へと送り込み、銃とマガジンの給弾口の位置を合わせる。あとは給弾口の上からマガジンを軽く叩き入れてやれば、装填は完了である。他の銃とはまるで違う独特のスタイルだが、数回繰り返せば慣れてしまうくらいの簡単な手順だ。
チャージングハンドルを引き、チャンバーに初弾を装填する。サイト越しにターゲットを睨み、トリガーを絞るとタンッと軽いリコイルを感じた。空薬莢はストック下部から地面に叩きつけるように吐き出される。この排出が目にもとまらぬほどの速さで、地面に落ちた薬莢の金属音で排莢したのがようやくわかるほど。F2000も同じような左右両利き対応のライフルだが、こちらは薬莢を吐き出すというより、銃の前方からボトボトと悲しげに落ちていく感じだ。このあたりが同じメーカーのブルパップでも対称的で面白い。
今回はサプレッサーも使って射撃してみた。なにせ銃器だけでなく弾薬も製造しているFNのお膝元の射撃場なので、弾薬も通常のFMJ(フルメタルジャケット)のほか、トレーサー(曳光弾)とサプレッサー用のサブソニック弾も用意してくれていた。サプレッサーを使うにあたり、サブソニック弾をマガジンに詰め直す。専用のサプレッサーはフラッシュハイダーの上から簡単に装着できる。が、せっかくフロントが短いシンプルなスタイルをしているP90が前方へにょきっと突き出したカジキマグロのようなシルエットとなってしまい不格好この上ない。正直早く外してやりたいとすら思ってしまった。とはいえ、サブソニック弾のおかげもあって射撃音は非常に静かだ。静音性が求められる任務には非常に有効だろう。
ところで、ブルパップ式の銃はストック内で射撃の反響音やメカニカルノイズが響いてくるのが難点の一つだが、P90ではそうしたノイズはさほど感じられなかった。これは地味に嬉しいポイントだ。
P90は知っているが、このスタイルが今ひとつ気に入らない…なんて方にこそ、P90を手に取って構えてもらいたい。なぜこんなユニークなスタイルをしているのか一瞬で理解できるはずだ。誰が持っても正しく構えることができて非常に心地よい。もしも叶うのであれば、フルオート射撃も体験してみてほしい。そうすればもう、確実にP90の虜になってしまうだろう。P90は「特殊部隊が使った~」なんてステータスもさることながら、純粋に撃っていて楽しい銃なのだ。
より詳しいレポートは月刊アームズマガジン2023年2月号に掲載されている。気になる方はチェックしていただければ幸いだ。
Special Thanks to FN HERSTAL : https://fnherstal.com
Photo&Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
この記事は月刊アームズマガジン2023年2月号 P.226-233をもとに再編集したものです。
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