2022/01/25
【実射】MP5クローンで確かめる実射性能
MP5クローンの実力
実銃、エアガン問わず人気があるMP5。今回はその実力を検証すべく、米国では民間人も入手できるMP5A2とMP5K PDWのクローンを用意。フルオートで撃ちまくって検証したレポートを公開する。
今回実射検証のために用意したMP5クローンは、USフェデラル(連邦政府)のファイアアームズ(銃器)製造ライセンスを所有する友人、エレン・ダンスクが市販パーツを組み合わせて自ら組み上げたものだ。前編で解説したように、米国に溢れるMP5パーツを買い集めればこのようなMP5クローンが生み出せる。
用意してもらったのは、MP5A2とMP5K PDWのクローン。この2挺を使って、主にフルオートにおけるコントローラビリティ(操作性)をテストしてみた。弾薬は当初スタンダードベロシティ(初速、装薬量が標準的な)の弾薬でテストしてみたが、発射した薬莢のエジェクト(排莢)がいかにも頼りなく、毎分800発とされる発射サイクルが遅めになってしまった。そこで、より強力なフェデラル製115グレイン+Pを使うことにして、500発ほど用意した。
まず、8.9インチ(225mm)銃身のMP5 A2の方で、25ヤードからセミオートで精度テストをしてみた。5発の着弾はほぼ1インチ以下にまとまっており、短銃身SMGとしては抜群の精度といえるだろう。
次にオーナーのエレンに、15ヤード(約13.5m)から1マガジンをフルオートで撃ち切ってもらう。30発をフルオートで撃ちきるのに要する時間は2秒ほど。結果は、写真を見てもらえばわかるように約8インチ(約20cm)程度に集弾した。これはフルオート射撃に慣れたエレンだからこその結果で、私が撃つとその弾着は倍ほどに広がってしまう。
それにしても、このMP5の撃ちやすさは“断トツ”である。これまでにもIWI UZI、S&W M76、STEN、トンプソンM1A1、M3グリースガンといったSMGの実射を経験させてもらったが、フルオート時のコントロールのしやすさは、やはりMP5が群を抜いている。ローラーディレイドブローバックという優れた作動方式に加え、適度な重量と人間工学的に優れたデザインが、他のSMGに勝る実射性能を与えているのだろう。
まとめ
さて、ここにきてSMGの世界には異変が起きている。少数ながら米軍に制式採用されたB&T APC9をはじめ、SIG SAUER MPXやCZスコーピオンEVO3といった新しいジェネレーションのSMG(あるいはマシンピストル)が続々と登場し、マーケットを賑わせているのだ。しかし、MP5のタイムプルーフされた信頼性と扱いやすさといった魅力は、これらと比べてもまったく色褪せていないと思ってしまうのは、私だけではないだろう。MP5の魅力は月刊アームズマガジン2021年12月号に詳しく解説しているので、そちらも併せてご覧いただければ幸いだ。
Text & Photos:Hiro Soga
この記事は月刊アームズマガジン2021年12月号 P.84~91より抜粋・再編集したものです。