実銃

2022/08/23

【実銃】FNP-45が魅せる.45口径の威力と手応え

 

FNP-45を実射する

 

 Joint Combat Pistol Programというアメリカ軍制式拳銃であったM9ピストルに代わる新しい軍用サイドアームのプログラムで候補になったFNX-45タクティカル。今回はその原型であるFNP-45の実射レポートを公開しよう。

 

FNP-45についてはこちら

 


 

 

実射

 

 実射した感想だが、まず作動不良が1発もなかった。ここが一番重要だ。しょっぱなから作動不良が起こるようでは、軍用拳銃としては使いものにならないからだ。もっともJCP候補として開発した拳銃なのだから、作動不良が起こるはずもないのだが。

 やはり最初に圧倒されたのはそのファイアパワーだ。.45口径弾を15発リロードなしで撃ち続けられるのは、1911に慣れた筆者にとって違和感すら覚えさせられた。S&W M&P 45の10発ですら、多いと感じたものだ。大口径で装弾数が多いとガンマニアは喜びそうだが、実際には色々と問題も出てくる。撃っていてまず感じたのが、最初と最後の拳銃本体の重量の変化だ。当たり前の話だが、15発装弾されている最初のうちは、グリップ部分がズッシリと重い。しかし撃っていると拳銃がどんどん軽くなっていき、残弾数が5発以下になるとかなり軽くなる。つまり拳銃の重量バランスの変化が大きいのだ。問題ではないのだが、かなりの数を撃ち込んで慣れる必要がある。

 

ブレードテックのホルスターを腰に装着したところ。.45口径弾を15発装填している大型拳銃という重さや違和感はまったくない。M9ピストルのような大型の9mm拳銃と同じような程度の感覚だ。だが、やはりダブルカアラムマガジンなので厚みはある。コンシールドキャリーに適した拳銃ではないだろう

 

発射の瞬間。大きなマズルフラッシュが視認できる

 

 次に感じたのが.45口径弾に対する拳銃本体の軽さだ。軽ければいいというものではない。やはり何事もバランスが重要である。例を挙げると、筆者が所有している1911コマンダー・シリーズ80は、アルミフレームで銃身長が4.25インチと短い。軽くて携帯しやすいのだが、230グレインのフルロード弾を撃つと、反動がきつくて非常に撃ちにくい。最軽量の185グレインだと9mm弾のような感覚で撃てるが、それでは.45口径をキャリーする意味がない。色々と試した結果、200グレインの弾薬、その中でもFederal製LETactical EFMJとの相性がベストと判断した。このように、拳銃にはバランスが何よりも大切だ。
 グルーピングも正直に言うと、ベストではなかった。これは写真を見てもらえばわかるだろう。決して悪いわけではないのだが、以前に紹介したスミス&ウェッソンM&P-45 BTCカスタムと比べると、かなり落ちる。M&Pには挨拶代わりの初弾がドン! とど真ん中に命中する「思ったところに弾丸を送り込める」という命中精度があった。これはSIG SAUER P228を最初に撃った時に感じた感覚と同じである。FNP-45にはそれがないのだ。もっともこの感覚がある拳銃に出会える機会はめったにない。

 

7mの距離で撃った結果。これは最初のグルーピングである。特に慎重に狙ったわけではないが、グルーピングが若干上下に散っている。これは筆者が無意識のうちに.45口径の強い反動を抑えようとしているのだろう

 

7mでもグルーピングをチェックした後は、5mで速射/連射を行なう。230グレインFMJフルロードなので反動は9mm拳銃よりかなりあるし、屋内射撃場だったが大きなマズルフラッシュが確認できた。これは夜間戦闘射撃では問題になるかもしれない

 

 命中精度は軍用拳銃としては問題ないレベルではあるのだが、JCP(Joint Combat
Pistol)を使用する将兵は精鋭部隊のオペレーターだろうから、彼らを満足させられたかどうかは、疑問点が残る。だが頑丈さ、堅牢さではJCPリストの中ではトップクラスだった。この辺のバランスで、JCPが継続されていたとしたら、FNXが採用されていたのだろうか、と色々と想像を掻き立ててくれる拳銃が、今回紹介したFNP-45である。すでに製造中止となっているが、おそらく筆者が手放すことはないだろう。

 月刊アームズマガジン2022年8月号ではこの実銃について筆者の体験を交えつつ、詳しく掲載している。そちらも参考にしていただければ幸いだ。

 

TEXT&PHOTO:飯柴智亮

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年8月号 P.146~153をもとに再編集したものです。

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