2023/03/15
【実銃】ワルサー PPQ 45 SDその優れた設計と細部のディテールを見る【中編】
Walther PPQ 45 SD
PPQ 45はワルサーが2015年に発表した同社初の自社製45ACPモデルだ。高い評価を得ている9mmのPPQ M2をベースにスケールアップを施し、アメリカンライフルマン誌が選ぶ2017年のゴールデンブルズアイアワードのハンドガン オブ ザ イヤーを受賞している。今回レポートするPPQ 45 SDは、サプレッサーを装着できるタクティカル仕様だ。
PPQ
PPQ 45 SD
- 口径:.45ACP
- 全長:203mm
- 銃身長:123mm
- 全高:147mm
- 全幅:33mm
- 重量:828g
PPQ M2 NAVY SD
- 口径:9mm×19
- 全長:198mm
- 銃身長:117mm
- 全高:135mm
- 全幅:33mm
- 重量:624g
様々なトリガーシステムを送り出してきたP99ではあったが、結局のところフルコックしたストライカーによるSAトリガーを採用するモデルが市場では一般化していった。
ワルサーはP99のスライドやグリップの人間工学デザインを見直し、スライドキャッチをアンビ仕様に変更、トリガーも単純なフルコック状態のSA方式に改め、それをQD(Quick Defense)トリガーと名付け、2011年に発売したのがPPQ(Police Pistol Quick Defense)を発売した。
ワルサーとS&Wの共同ビジネスも収益が大幅に減った事を理由に2012年、両社の協力関係が一部を残して解消することが発表された。2013年1月に新たなWaltherArmsが米国でスタートし、PPQシリーズの成否がこのワルサーアームズの命運を左右することとなった。
PPQのマガジンキャッチはトリガーガードに沿う形のパドルレバー型式であったが、リバーシブルなボタン式マガジンキャッチを要望する声に応え、2013年にPPQ M2を加える。従来型もM1として継続販売されたが、これ以降はM2が中心となった。3.5インチバレルのサブコンパクト、水が内部に侵入しても確実に発火できるようにストライカーチャネル(Striker Channel:日本流に表記するとストライカーチャンネルだが、日本語でいう“チャンネル”とは違うものなのでここはチャネルだろう)に小穴を開けて、ストライカーの前進で水を押し出せるようにしたNAVY、そしてそれにスレデッドバレルを組み合わせたNAVY SD。スレデッドバレルでオプティックレディにしたQ4 TAC、5インチバレルとスライドにオプティックレディを加えたQ5マッチ、そしてQ4とQ5のSF(スチールフレーム)、また.22LRのPPQ22やシングルスタックの薄型PPSなどの派生モデルも加えている。
2015年の夏はPPQの.45ACP口径モデルを発表した。4.25インチのポリゴナルライフリングを採用したバレルと12連マガジンを採用、避けられないスライドの大型化を縦方向に集中させたので全高は上がったが幅や全長はそこまで大きく変化していない。
.45ACPといえば1911系だが同口径のダブルスタックマガジンモデルは少なく、大型で重くなるのでポリマーフレームの軽量さが活きてくる。随分前からあるUSP45(12連)やG21(13連)は大型すぎることで敬遠されてきたが、PPQ 45はスリムさと軽量さを両立させている。
バリエーションにXS F8トリチウムナイトサイトを標準装備したPPQ 45 XS NS、そして今回の4.875インチのスレデッドバレルを備えるPPQ 45 SDがある。.45ACPモデルはPPQになって初めて加わった口径だ。P99プラットフォームで.45口径化したS&Wとの合作SW99でセミダブルスタックマガジンの9連マガジンを使用するモデルを製品化していたが、大型化した割に1911系とそう変化のない装弾数で魅力は薄く、大きく成功する事はなかった(SW99はS&Wの製品)。
Photo&Text:Gun Professionals LA支局
この記事は月刊ガンプロフェッショナルズ2020年7月号 P.6~19をもとに再編集したものです。
※当サイトで掲示している情報、文章、及び画像等の著作権は、当社及び権利を持つ情報提供者に帰属します。無断転載・複製などは著作権法違反(複製権、公衆送信権の侵害)に当たり、法令により罰せられることがございますので、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。