2022/11/22
【実銃】トルコ製の挑戦的なサブマシンガン「UTAS UT9-M MINI」
トルコの銃器メーカー、UTASはアメリカの大手銃器メーカーのOEMで培った技術を活かし、AR15のメカニズムを継承したサブマシンガンを完成させた。果たしてその実力はいかがなものだろうか。今回はその実銃について解説したレポートを公開しよう。
海外の狩猟事情
銃規制の厳しい日本にいれば想像もつかないことだが、銃の所持というのは多くの国で意外なほど簡単に許可されている。特に銃を使った狩猟というのは、日本でいえば釣りぐらいの感覚でカジュアルに行なわれている。盛んな地域のスーパーでは、他の商品と並んで散弾銃などの弾が売られている。場所によっては、手軽な価格の散弾銃そのものまで買えてしまうのだ。
そうした事情が示す通り、散弾銃というのは(申請から許可を得るまでに時間のかかるピストルやサービスライフルと比べ)簡単に所持・購入することができる。簡単に買えるということはつまり、メーカーにとっても売りやすいということで、そういった点からかトルコの銃器メーカーは大量に散弾銃を製造している。今回紹介するUTASというメーカーは早くからアメリカの銃器メーカーのOEMを担当したり、時には共同で開発を行なったりと精力的に活動してきた、正統派のブランドだ。彼らはショットガン、UTS-15を発表。またそれだけでなく、AR15のクローンも数多くラインアップしている。その種類は.223レミントン対応から.308ウィンチェスター対応まで様々だが、今回はその中でも9mm対応のSMGタイプであるUT9-M MINIを紹介する。
UTAS UT9-M MINI
- 使用弾:9mm×19
- 全長:322mm(フラッシュハイダー含まず)
- バレル長:155mm
- 重量:1,350g
- 装弾数:33発
UT9-M MINIはAR15のインターフェースを踏襲しつつ、専用設計のレシーバーを持つ意欲作だ。9mm口径であることから作動方式はシンプルブローバックとし、ストックパイプ内のリコイルバッファーを廃止している。それに合わせてボルトは重量のあるものへと変更された。リコイルスプリングに繋がるバッファーはラバー製で、これのおかげでリコイルがかなり軽減されている。ボルトとリコイルスプリングがレシーバー内に収まっているおかげで、ストックパイプ内は完全にフリーとなった。そのため、折り畳みストックやストックなしでの運用も問題なくこなせる、自由度の高い設計となっている。
この通りAR15とは別物のシステムとなっているのだが、チャージングハンドルやトリガー、ハンマーはAR15のものをそのまま採用している。これにはAR15の操作に慣れているユーザーが戸惑わずに使用できるのと、製造コストが削減できるというメリットがある。マガジンがグロックのものを流用できることも合わせて、商業的なことまでしっかり考えて設計されているようだ。しかしセレクターはアンビとするなど、ユーザビリティも抜かりなく追求されている。
この実銃の実射の様子は月刊アームズマガジン2022年11月号に掲載されている。気になる方はそちらも併せてご覧頂ければ幸いだ。
Special Thanks to Le cercle de tir de Wissous:https://www.youtube.com/c/LecercledetirdeWissous/featured
Photo&Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)
この記事は月刊アームズマガジン2022年11月号 P.206~213をもとに再編集したものです。