実銃

2022/10/16

【実銃】H&K UMPのクローンを実射検証!

 

UMPクローンの実力

 

 H&K UMPは、1999年にH&K MP5の進化型としてデザインされた軍&法執行機関向けのサブマシンガンである。今回はその.45ACPモデルのクローンの実射レポートを公開し、その性能をお伝えしたい。

 

UMPクローンについてはこちら

 

 

実射で見るその実力

 

 今回の実射は、.45ACP口径SMGというカテゴリーの性格上、どのくらいの距離でいかにヒットできるかという点にフォーカスしてみた。使用アモは、精度テストのみFederal製230グレインHSTで、あとはプラクティス(練習用)アモともいえるMagtech製230グレイン FMJとした。
 まずは20ヤードにおける精度テストだ。テーブルにマガジン部分をレストさせ、10発を撃つ。1発を除いて約1.75インチ(約44mm)に集弾した。バレルはH&Kオリジナルの7.8インチポリゴナルが入っていた。必要充分以上の性能であろう。トリガープルは、ドイツ製ライフルの常として、平均8ポンド(約3.6kg)ある。はっきり言って重くて切れはよくないが、このポリマーを多用したトリガーシステム上、慣れるしかない。

 

ガンオーナーのエレン・ダンスト(Aaron Dunst)。まだ若いが、銃規制の厳しい米カリフォルニア州で、ガンマニファクチャー、フルオートやサプレッサーの取り扱いが可能なライセンスを所有している。映画関係のガンレンタルやブランク(空包)などの製造もしている

 

精度テストに使ったFederal製230グレイン .45ACP(左)と比較用の9mm 147グレイン

 

15ヤード10発のグルーピング。上に飛んだ1発は私のミスだ。必要充分以上の精度を持っているのがわかる


 フルオート射撃は15ヤードからとした。
 エレンは、いわばフルオート射撃に習熟しているので、あまりに良い結果が出てしまい参考にしづらい傾向があるのだが、ここでは客観的に結果を並べていくことにする。
 まずは2連バーストを念頭に1マガジンを撃つ。エレンはマシンガンの常として、ターゲットの下腹部を狙い、どのようにパターンが展開していくかをチェックするようにしている。ターゲットを見てもらうとわかるが、初弾はグルーピングがギュッとまとまっており、2発目が6 ~ 7インチ(約15~18cm)上にばらばらと集まっている。1発のみ右上に飛んでいるのが3発目の弾痕だ。25発のうち、1回だけ3連バーストになったのだ。発射サイクルが毎分600発とそれほど速くないので、トリガーによる発射弾数のコントロールはしやすい方であろう。

 

15ヤードというのはこのぐらいの距離感。SMGでは頻繁に使われる射程となる


 ただしリコイルがきついので、例えば私が撃つと、2発目まではターゲットにかろうじて入ってくれるが、3発目以降は右上方向に大きく外れていってしまう。.45ACPモデルではよほど訓練しない限り、フルオート射撃は意味をなさないといえる。ただしエレンが撃つと、たとえ25発をフル連射しても15ヤード(約13.7m)の距離なら、全弾がターゲット内に入ってしまう。10ヤード(約9.1m)からならほぼ5インチ(約13cm)以内にまとめてしまうのだから恐れ入る。
 我々2人ともが納得したのは、UMPのフルオート時にはドットサイトは役に立たない、という点だ。発射時にサイトをのぞき込んでいると、赤いドットはターゲット内外をあちこち跳ね回っており、ドットサイトゆえの残像もあるので、とてもではないがこれを見ながらUMPを抑え込むことなどできるものではない、という点だ。比較用に持ち込んだB&T APC9では口径が違うとはいえ、147グレインの弾頭を毎分1,080発のサイクルで撃ち出すにもかかわらず、ドットをターゲットに載せておくことができてしまう。

 

エレンによる15ヤード25連射。慣れるとここまでまとまってしまう。筆者が撃つとこの3倍ほどに拡がってしまう

 

比較用に持ち出した“B&T APC 9”(左)。こいつもよくできたSMGだ​​

 

 結果として、よりタイトなグルーピングをいとも簡単にたたき出してしまうB&T APC9の魅力が光るテストとなった。とはいえ、やはり.45ACPのストッピングパワーには惹かれるものがあるのだが。より詳しいレポートは月刊アームズマガジン2022年10月号に掲載されているので、そちらも併せてご覧いただければ幸いだ。

 

TEXT&PHOTO:Hiro Saga

 

この記事は月刊アームズマガジン2022年10月号 P.194~201をもとに再編集したものです。

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