東京マルイ
ガスブローバックガン 89式5.56mm 小銃固定銃床型

昨年末に発表されて以来、多くのトイガンファンが発売を楽しみにしている東京マルイのガスブローバックガン89式5.56mm小銃固定銃床型(以下ガスブロ89式)。本誌でも途中経過を何度かお伝えしてきた。今回、待望の実射可能なサンプルが入手できたので、内部メカニズムを含めた実射インプレッションを中心にお伝えしよう。
ライフルタイプのガスブローバックガンの常識を覆したパフォーマンスを持つ東京マルイのM4A1 MWSシリーズは、高い耐久性を実現するためにZシステムやピストンアブソーバー、フリクションレリーフボルトローラー、バレルクランプ機構などが採用されていた。シリーズ最大の特徴であるZシステムは、ロアレシーバー(ハンマーユニット)内に内蔵されていたが、ガスブロ89式ではボルト前部左側に「ボルトストップダンパー」を設置。マガジンフォロアーによって持ち上げられたボルトキャッチが前進してくるボルトの前方を受け止める構造のため、あえてボルト側に設置したのだろう。マガジン内の残弾がなくなると、ボルトは確実にホールドオープンされる。ボルトリリースはボルトキャッチを押し下げて行なう。
一方、ロアレシーバー内は、フルオートシアやハンマー、トリガー、ノッカーなどが組み込まれた「ハンマーユニット」と、発射弾数を制御する「送り腕」や「カウント板」などを組み込んだ「バーストメカ」に分割されている。3発制限点射(3バースト)は機械式で制御されており、コンスタントな作動を実現。パーツ構成のリアルさを保ちつつ、エアガンとしての実用性・堅牢性が徹底的に追求されている。
アッパーレシーバーとロアレシーバーの分割(テイクダウン)方法は限りなく実銃に近いプロセスを再現している一方、テイクダウンパーツ(リコイルスプリングガイドやテイクダウンラッチがセットになったパーツ)下部にロックピンを追加することで、分割時にテイクダウンパーツが飛び出ることを防いでいる。細かい箇所にも「エアガンとしての実用性」が配慮されている。ボルトアッセンブリーは先ほど述べたZシステム搭載以外にも専用ブローバックエンジン、ロングストロークタイプのボルトキャリアやロッキングラグの形状も再現されている。ガスシリンダーには穴が開いており、ボルトシャフトが前後動する様子が伺える。
※実射シーンとインプレッションはこちらの動画をご覧ください。
実際に手にしてみると、電動ガン89式の3,700gに比べてガスブロ89式は実銃と同じ4,000gと重くなっており、ずっしりとした手応え。さらにボディ全体の剛性感も向上しており、電動ガン89式とはまったくの別物に仕上がっている。実射してみると、M4A1 MWSとは異なる作動フィーリングとリコイルショックが明確に体感できる。3バーストはメリハリがあって小気味よく発射され、3発発射後の初速の低下も極力抑えられている。M4A1 MWSの特徴でもあった命中精度の高さは、ガスブロ89式でも受け継がれており、吸い込まれるように遠距離のターゲットにヒットする。3バーストでも命中精度は高く、ターゲットに対して効果的に弾を送り込める。期待以上の性能を発揮してくれた。
他の追随を許さない完成度の高さを誇る東京マルイのガスブロ89式。手にした瞬間、きっと満足できるはずだ。発売まで今しばらくお待ちいただきたい。
ディティール
新規に製作された亜鉛ダイキャスト製のアッパー/ロアレシーバー。各部の溶接跡などリアルに再現されている
アッパーレシーバー上面には薬莢受けや専用スコープマウントベースを固定するためマウントベースが設けられている
リアサイトはエレベーションダイヤルを回すとピープ部分が収納されるギミックを再現。リアサイト調整ダイヤルには刻印、リアサイトの目盛は白入りとなった
フラッシュハイダーはアルミ切削製。ダブルナット式の固定方法によりバレルに確実に固定されている
バイポッドは実銃同様に展開・折りたたみが可能、バイポッド基部右側にあるレバーを解除すればワンタッチで着脱可能
レールシステムなど付属しない左右分割式のハンドガード。各部のリベットは別パーツで再現されている。実銃同様のプレス加工で、今回かなりこだわった部分でもある
残弾確認孔が再現されたアルミダイキャスト製マガジン。装弾数は35発。表面はセミグロスブラック。同社のM4A1 MWSシリーズのマガジンと互換性がある
エジェクションポート後方にはスライド式ダストカバーが備わる。手動で開閉できるほか、ボルトキャリアが後退すると自動的に開く
アッパーレシーバー左側の刻印は現行の「89R」仕様が再現されている。ボルトストップボタンはライブで作動
標準装備される左方切り替えレバーは右側とはポジションが異なっており、アは3時方向、レは6時方向、3は9時方向、タは12時方向とア⇔レへ素早く切り替えられる
右利きを前提にデザインされた左右非対称のグリップは新規に製作。グリップ底は実銃同様に開閉可能だ
日本人の体型に合わせてデザインされた左右非対称の固定型ストック。バットプレートはラバー製となっている
内部メカニズム
ハンドガード内部を見たところ。実銃同様プレス製ヒートカバー+樹脂製カバーの二重構造になっている
ポップアップの調整はハンドガードを外して行なう。可変ホップアップ調整用ダイヤルはバレル基部左側に設けられている
ボルトキャリアの前後動に合わせて、ガスシリンダー内のガスピストン(銀色のパーツ)が可動しているのが穴から伺える
アッパーレシーバー後部にあるテイクダウンラッチを押しながら前方にスライドさせ、アッパーレシーバーを持ち上げるとテイクダウンできる
テイクダウンパーツ&リコイルスプリング、コッキングハンドルを外すとボルトアッセンブルがアッパーレシーバーから引き出せる
ロングストロークタイプのボルトキャリアやロッキングラグの形状もリアルに再現されたボルトアッセンブリー
ブローバックエンジンは89式専用に開発。ボルト左側には「Zシステム89式Ver.」の要となるボルトストップダンパーが追加されている
ロアレシーバーにはハンマーやシア、フルオートシアが内蔵されたハンマーユニットと、バーストメカが別体で組み込まれている
3発制限点射は「送り腕」と呼ばれるパーツと、発射をカウントする「カウント板」によって制御されており、確実かつ安定した3バースト射撃を実現している
実射インプレッション
電動ガンに比べて重量はもちろん、全体の剛性感も向上している。構えただけでもその完成度が感じ取れる
ハンドガードは滑り止めのテクスチャーなどは施されていないが、スリムでホールドしやすい。バイポッドはハンドガードと一体感のあるデザイン
コッキングハンドルはエジェクションポート側に露出しておりコッキングしやすい。ボルトアッセンブリーはスムーズに可動する
他国のアサルトライフルと決定的に異なる部分がセレクターレバーだ。自衛隊員のように巧みに操作するには訓練が必要だ
M4カービンのセレクターレバー操作に慣れている筆者のような人間には左方切り替えレバーが便利。状況に応じての使い分けもできる
ボルトアッセンブリーをリリースする際は、M4カービンがボルトキャッチを押すのに対して、89式はボルトストップボタンを押し下げる。ハンドガンのスライドストップをリリースするのに似ている
日本人の手に馴染む左右非対称のグリップは、滑り止めなどないが握りやすい。また、トリガーガードは一体なのでハイグリップしやすい
伸縮式ストックが多い昨今では固定式ストックは新鮮だ。日本人の体格に合わせてデザインされているので、違和感なく頬付けとサイティングができる
ボルトキャリアはもちろんフルストロークする。アサルトライフルらしく安定した作動の中に鋭さを秘めたフィーリングだ

20m先にあるA4サイズのターゲットにセミオートで10発撃ち込んでみたところ。弾道は安定しており、電動ガンに匹敵する集弾性を発揮した

次に同じ距離からターゲットに向かって3バーストを5回(=15発)撃ち込んでみたところ。1発外れたものの、この距離からではほぼ外さない感じだ
30m先にあるA4サイズのメタルターゲットをセミオートで実射してみた。10発中5~6発はヒットできる。期待以上の実射性能を発揮した
DATA
- 全長:916mm
- 全高:250mm(30連マガジン装着時)
- 全幅:65mm
- 重量:4,000g
- 装弾数:35発
- 平均値…77.4m/s(0.60J)
- 集弾性:85mm(20m)
- 価格:¥64,800(税別)
- お問い合わせ先:東京マルイ TEL03-3605-3378

| 初速(m/s) |
| 1発目 |
76.8
|
|
2発目
|
77.0 |
| 3発目 |
77.3 |
| 4発目 |
77.1 |
|
5発目
|
77.2 |
| 6発目 |
77.3 |
| 7発目 |
78.1 |
| 8発目 |
77.3 |
| 9発目 |
77.6 |
| 10発目 |
78.1 |
TEXT:毛野ブースカ
撮影協力:サバイバルゲームフィールドHEAD SHOT