2021/11/07
【実銃】実射でわかるタボールの実力
イスラエル特有の事情から生まれたタボール
TAVOR X95はイスラエル特有の事情から、一時期ヨーロッパで全盛となるも今や衰退しつつあるブルパップ方式を選んだ。今回はそんな事情を盛り込んだブルパップ式ライフルの実射レポートを公開。その魅力をお伝えする。
TAVORのインプレッション
今回射撃をしたのはオーストリアのウィーン近郊に位置するエーデルワイス・アドべンチャー。ここは主に軍・警察向けの射撃訓練施設なので、ステアーAUGに慣れたスタッフも多い。射撃後、彼らにTAVORの感想も聞いてみた。
ちなみに、今回撃つTAVOR X95はセミオートモデルで、マイクロタボールと呼ばれるコンパクトモデルの最新改良版である。ブルパップなので当然マガジンはグリップの後ろに挿し込む。操作性を高めるためマガジンキャッチはグリップ側、トリガーを引く人差し指で操作できる位置にも設けられている。ボタンからロッドを通してマガジンにアクセスする仕組みだが、指ひとつで軽く操作できるほど優秀な感触。さらにもうひとつ、ハウジング付近にもマガジンを掴みながら人差し指、あるいは親指で操作できるマガジンキャッチがある。逆にこれはもう固くてびくともしない。個体差だろうか?
AR15と共用のマガジンに30発フルロードし、マガジンハウジングに叩き込む。そしてチャージングハンドルを引いて装填し、トリガーに指をかける。いよいよ実射だ。
射撃をしてみると、頬付けした真下あたりで爆発が起こり、空のケースが排出される。それがポリマーのフレームを通じて「バイ〜ン」という残響がくる。ステアーAUG、FN2000などでも同じことが起こるので、ブルパップライフル特有の現象なのだろう。
構えた懐に重心があるため、スタンディングでの射撃ならばリコイルが抑えられて左右に振りながらの射撃がしやすい。これもブルパップの利点と言えよう。銃に振り回されるのではなく、きちんと自分のコントロール下に置いて射撃できる。また、エーデルワイスのアンドレアスが左に持ち替えたりプローンをしてみたところ、やはり排出されたケースが当たりそうだった。この辺りはブルパップの宿命なのだろう。しかし、エジェクションポートを意識した構え方を習得すれば左右どちらに構えてもしっかり射撃できる。
今回のTAVORはIWIから供給されたものということでアクセサリーもイスラエル製だった。ショートバレルのような出で立ちだが、ブルパップらしくバレル長は充分とられ、バイポッドを装着して精密射撃にも対応可能とアピールされていた。だがこのバイポッドが曲者で、ちょっと触れると伸びたり縮んだり、閉じたり開いたりと使い勝手が悪い。他のドットサイトやレーザーデバイスは優秀だっただけに、ここは筆者的には少し減点となった。
しかしながら、TAVORという銃そのものは非常に優れていると改めて感じられた。ブルパップというスタイルへの好みこそあるだろうが、開発から今に至るまで常に第一線で戦い続けてきた「一流」のブルパップライフルであることは間違いない。
さらに詳しいレポートは月刊アームズマガジン2021年11月号に掲載されているのでぜひご覧いただければ幸いだ。
Text & Photos:櫻井朋成
EDELWEISS ADVENTURE : https://www.edelweiss.world
GIS Technologies L.t.d : http://www.gistactical.com
この記事は月刊アームズマガジン2021年11月号 P.66~73より抜粋・再編集したものです。