2021/10/10
「自衛隊の銃器」各部の日本語名称とは【小銃編】
「銃床」「規整子」「切換え金」――
自衛隊銃器の各部の名称、知っていますか?
銃器の各部の名称は英語由来のものが一般的ですが、自衛隊では旧軍以来の日本語表記が使用されているのをご存知でしょうか。前回の“「自衛隊の銃器」各部の日本語名称とは【拳銃編】”に続き、今回は自衛隊の制式小銃、89式5.56mm小銃を例に【小銃編】として各部の日本語名称について大まかに記してみました。ちなみに、上に列挙したものでは「銃床」はストック、「規整子」はガスレギュレーター、「切換え金」はセレクター……といった具合です。それでは、見ていきましょう。
※前回の【拳銃編】と、銃の根幹をなすような部品については一部内容が被っていますのでご了承ください。
89式5.56mm小銃
- 【規整子】きせいし
(レギュレーター:regulator)
ガス圧作動方式の銃において、ガスブロックに流入するガスの量を調整する装置。
- 【二脚架】にきゃくか
(バイポッド:bipod)
2本の脚で構成される、射撃時に地面に立てて銃を支える装置。
- 【尾筒】びとう
(レシーバー:receiver)
機関部を内蔵し、銃身などを取り付けられる小火器の基幹となる部位。
- 【用心金】ようじんがね
(トリガーガード:trigger guard)
引き金下部から前部を覆うように備え付けられる部品。引金の誤操作を防ぐとともに、引金を損傷から保護する。
- 【引金】ひきがね
(トリガー:trigger)
射手の操作によって射撃を行なうための部品。
- 【切換え金】きりかえがね
(セレクター:selector)
単射、連射、制限点射、安全などの機能を選択するために用いられる部品。安全装置の切り替えのみに使われるものは【安全子】(あんぜんし)と呼ばれる。
- 【負い紐環】おいひもかん
(スイベル:swivel)
負いひも(スリング)を銃に取り付けるための部品。
- 【肩当て】かたあて
(パッド:pad)
射撃時に肩にかかる衝撃を緩和するため銃床の後端に取り付けられる、軟質素材で作られた部品。滑り止め効果もある。
- 【銃床】じゅうしょう
(ストック:stock)
尾筒後方に接続する、肩付けによって安定した射撃を行なうための部品。
- 【握把】あくは
(グリップ:grip)
銃を保持しやすくするため、引金の後方に取り付けられる持ち手。
- 【照門】しょうもん
(リアサイト:rear sight)
照星と組み合わせて射撃時の照準に用いる。
- 【弾倉止め】だんそうどめ
(マガジンキャッチ:magazine catch)
弾倉を装填位置で保持する部品。
- 【被筒】ひとう
(ハンドガード:hand guard)
銃身部を覆う部品。銃の保持や銃身の熱から手を保護するために用いられる。
- 【照星】しょうせい
(フロントサイト:front sight)
照門越しに標的に重ね、照準を定めるために用いる。
- 【銃剣止め】じゅうけんどめ
(着剣ラグ:bayonet lug)
銃身先端に銃剣を装着するための部品。
- 【消炎制退器】しょうえんせいたいき
(コンペンセイター:compensator、フラッシュハイダー:flash hider)
銃口装置の1種。発射時の銃口炎・反動を軽減する。
以上、自衛隊における小銃の各部日本語名称について、ざっと列挙してみました。慣れ親しんだ英語名称も、日本語名称に直すとこうなるのか! と、なかなか味わい深いものがありませんか? ぜひこの機会に、覚えてみてはいかがでしょうか。
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TEXT:田中建多郎/アームズマガジンウェブ編集部
PHOTO:Arms MAGAZINE
参考資料:防衛省規格 火器用語(小火器)NDS Y0002B