2021/09/29
「自衛隊の銃器」各部の日本語名称とは【拳銃編】
「握把」「尾筒」「用心金」――
自衛隊銃器の各部の名称、知っていますか?
銃器の各部の名称は英語由来のものが一般的ですが、自衛隊では旧軍以来の日本語表記が多く使用されてきました。上に列挙したものでは、「握把」はグリップ、「尾筒」はフレームやレシーバー、「用心金」はトリガーガード……といった具合に、漢字の意味をよく考えて銃の各部に当てはめてみたら「なるほど!」と理解できるのではないでしょうか。
そこで、今回は【拳銃編】として代表的な9mm拳銃を例に、各部の名称がどこを指すのか大まかに記してみました。
9mm拳銃
- 【尾筒/銃体】びとう/じゅうたい
(フレーム:frame)
銃身およびスライドを保持し、撃発機構および弾倉を収容し、握把が備えられている部品。
- 【スライド】
(スライド:slide)
ここは英語名称と同様だが、旧軍時代に現代の方式の自動拳銃があまり一般的ではなかったためか、自衛隊でも基本的にはスライドと呼ばれているようだ。火薬類の燃焼ガスの圧力又は外力によって動作し、遊底などを作動させる部品で、自動式けん銃では遊底の機能を兼ねる物が多い。
- 【撃鉄】げきてつ
(ハンマー:hammer)
雷管を発火させるために撃針を打撃する部品。
- 【遊底止め】ゆうていどめ
(スライドストップ:slide stop)
遊底を後方位置に固定する部品。
- 【ひも環】ひもかん
(ランヤードリング:lanyard ring)
ひもをけん銃に取り付けるための金属製の輪。
- 【撃発準備解除レバー】げきはつじゅんびかいじょればー
(デコッキングレバー:decocking lever)
撃発準備の状態にされた撃鉄を手動でハーフコック位置に戻す部品。
- 【照門】しょうもん
(リアサイト:rear sight)
照星と組み合わせて射撃時の照準に用いる。
- 【抽筒子】ちゅうとうし
(エキストラクター:extractor)
撃発済みの薬きょう、または不発弾を薬室から排出する部品。
- 【照星】しょうせい
(フロントサイト:front sight)
照門越しに標的に重ね、照準を定めるために用いる。
- 【用心金】ようじんがね
(トリガーガード:trigger guard)
引き金下部から前部を覆うように備え付けられる部品。引金の誤操作を防ぐとともに、引金を損傷から保護する。
- 【引金】ひきがね
(トリガー:trigger)
射手の操作によって射撃を行なうための部品。
- 【握把】あくは
(グリップ:grip)
銃を保持しやすくするため、引金の後方に取り付けられる持ち手。
【弾倉止め】だんそうどめ
(マガジンキャッチ:magazine catch)
弾倉を装填位置で保持する部品。
以上、自衛隊における拳銃の各部名称について、ざっと列挙してみました。次回は小銃についてピックアップする予定ですので、お楽しみに!
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TEXT:田中建多郎/アームズマガジンウェブ編集部
PHOTO:笹川英夫/Arms MAGAZINE
参考資料:防衛省規格 火器用語(小火器)NDS Y0002B