2021/11/06
【実銃】イスラエルのブルパップライフル「IWI TAVOR X95」
イスラエルのブルパップライフル
TAVOR(タボール) X95は、イスラエルのIWIが製造するブルパップ式アサルトライフル、TAVORシリーズのコンパクトモデルだ。今回はTAVOR X95の実銃レポートを公開、その魅力をお伝えしよう。
ヨーロッパでもてはやされたブルパップ
かつてヨーロッパではイギリスのSA80(L85)やオーストリアのステアーAUG、フランスのFA-MASとブルパップ式軍用アサルトライフルが独自に発展していった。ブルパップは通常のアサルトライフルと同等のバレル長を持ちながら全長を抑えることができるうえ、重量バランスがシューターの懐にあることから取り回しが非常によく、しかもリコイルも体で抱えるように抑え込めるとあって、射撃時のコントロール性において非常に優れた方式なのだ。
ヨーロッパに近い中近東のイスラエルにもその影響は及び、旧式化したガリルやM16の後継として独自のブルパップ式ライフル、TAVOR(タボール)が開発され、1999年に初公開された。
イスラエル特有の事情から生まれた銃
イスラエルは兵士の絶対数が少ないため、装備の損耗よりも兵士の被害を防ぐような設計思想をしている。さらに砂漠や市街地での作戦が多いことから歩兵部隊の機械化が進んでいる。これは歩兵が防御力の高い装甲車輌に搭乗して機動し、必要に応じて下車戦闘を行なう、というものだ。そして狭い装甲車輌に乗車する際には、携行する装備品はコンパクトな方がいい。折り畳み式ストックという手もあるが、下車してすぐに戦闘に移行するような場合、ストックを伸ばすというワンアクションは減らせるならそれに越したことはない。その点、ブルパップ式なら固定ストックでもコンパクトだし、車輌から飛び出てすぐに射撃態勢に入れる。そんな背景もあって、イスラエルではブルパップのTAVOR(TAR-21)が採用されることになったのである。
IWI TAVOR X95
FLATTOP 330
- 口径:5.56mm×45
- 全長:580mm
- バレル長:330mm
- 重量:約3,300g
- 装弾数:30発
ブルパップ方式にはたくさんの利点があるが、反面不利な点もある。そのため、ヨーロッパのスタンダードは結局AR15/M4系へと移りつつあるが、現在に至るまでイスラエルではTAVORが確固たる地位を築いている。
次回はこのタボールの実射インプレッションのレポートを公開しよう。
Text & Photos:櫻井朋成
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この記事は月刊アームズマガジン2021年11月号 P.66~73より抜粋・再編集したものです。