エアガン

2021/09/05

【実射】SFP9の最新バージョン「H&K SFP9 OR」をハンガリーで実射!!

 

 ストライカーファイア/ポリマーフレームピストルのカテゴリーはグロック17やSIG SAUER P320など強豪がひしめいている。その中でH&Kが放ったSFP9/VP9は自衛隊の新たな拳銃として採用が発表され、にわかに注目を浴びることになった。今回はそのSFP9の最新バージョン「SFP9 OR」をハンガリーで撮影、実射したレポートをご覧いただこう。

 

「H&K SFP9 OR」のレポートはこちら

 


 

 

ハンガリーでSFP9を撃つ

 

 このSFP9を撃つ機会がようやく訪れた。ハンガリーの首都ブダペストから200kmほど、セルビアやクロアチアに近い南部の街ペーチュ。この街で、元ハンガリー陸軍特殊部隊員を中心に新たなトレーニング請負企業が設立された。その撮影をしていたところメンバーの1人がSFP9を使っているのに気がつき、お願いしてみたら撮影だけでなく撃たせてもらえることにもなったのだ。

 彼のSFP9はドットサイトを搭載できる最新のオプティクスレディモデル、SFP9 OR(Optics Ready)だ。このモデルはスライド後部上側のパネルを外してマイクロドットサイトをバレルに近い位置に搭載できるのが特徴だ。

 

このトレーニング施設では、自国のLE(法執行機関)職員の訓練を中心に行なっている。いずれ本誌でも改めて紹介したい

 

SFP9のインプレッション

 

 実際に撃ってみるとSFP9の個性が見えてくる。ストライカーファイア方式はトリガーでストライカーを後方に押し込んでいく構造上、トリガーフィーリングの味付けが難しく、ダブルアクション的なフィーリングになりがちだ。グロックはそれが顕著で、お世辞にもトリガーにキレがあるとは言い難い。ところがH&Kは、SFP9に極上のトリガーフィーリングを与えていた。引いてみるとマッチトリガーのように繊細なモノではなく、コンバットシチュエーションで操作しやすい節度のあるトリガートラベルで、キレのあるフィーリングはハンマー式のピストルと同レベルの仕上がりといえる。

 ただし、グリップのテクスチャーは今ひとつ手に食い付かず、射撃の度にわずかなズレを感じる。射手によってはグローブ着用や滑り止め加工など自分の手にフィットさせる必要はありそうだ。

 

マガジンはスチール製。射撃のトラブルの多くはマガジンが原因と言われるが、スチール製のマガジンは熱での変形も少なく信頼性が高い

 

SFタイプのトリガーはマッチトリガーとは言わないがハンマー式、それも良質なファクトリーメイドに近いレベル。シアの切れる瞬間がよくわかり、トリガーリセットも短すぎず長すぎずちょうどいいバランスでダブルタップもやりやすい。グリップはやや滑りやすいので、素手の場合はテープを巻くなど対処しておくとよさそうだった

 

メタルプレートのターゲットは命中の判定がしやすい。発射音からちょっと遅れて、金属を叩く甲
高い音が響きわたるのが心地よい

 

まとめ

 

 このように筆者が見てきたSFP9/VP9は、ほかのグロックコピーとは異なる細かい配慮がなされ、あらゆる条件下でタフに活躍できる銃に仕上がっていた。他社のストライカーファイア/ポリマーフレームピストルと同様のものだが、ニーズに合わせることは商業的に当然だし、各国の警察や自衛隊が採用した実績からもわかるように完成度は高い(ただし、一部ドイツ警察納入モデルでサイトやマガジンが脱落するトラブルがありリコールとなった)。とにかく、SFP9/VP9は優れたストライカーファイア/ポリマーフレームピストルのひとつだと評価したい。

 

Text & Photos:櫻井朋成(Tomonari Sakurai)

Special Thanks to GIS Technologies L.T.D:http://www.gistactical.com

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年9月号 P.52~59より抜粋・再編集したものです。

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