2021/07/31
FN Minimi【無可動実銃ミュージアム】
この1挺は戦うために作られた本物の銃だ。数奇な運命に導かれ、今はこの日本という平和な地で静かに眠っている。発射機構を排除され魂を抜かれても、その銃の魅力が廃れることはない。時代と共に歩んだ歴史を、培われた技術体系を銃はその身を持って示してくれる。その姿は銃に魅了された我々に新たなる知見をもたらすことだろう。
今回紹介するのは、20世紀最強の軽機関銃「FN Minimi」だ。
分隊支援火器は現代戦の要
現代の戦闘において機関銃は必要不可欠な兵器である。運用方法によっては1挺でライフルマン数人分の火力を発揮することから、歩兵クラスの火器としては最も重要視されるのだ。機関銃の理想は弾丸を休むことなく発射し重厚な弾幕を張ることだが、実際は耐久性や補給の観点からそれは不可能だ。そこで重機関銃・軽機関銃などにカテゴリー分けして技術的に対応している。そのカテゴリーの中で最も歩兵寄りなものが分隊支援火器(SAW)だ。
SAWには小銃の弾薬と互換性があること、小型かつ軽量であることなど多くの要素が求められる。だが実際にそのような銃器を開発することは難しく、このジャンルを代表するSAWはミニミをおいて他にない。
世界中の多くの国で採用されたミニミはFN以外にもライセンス生産され、日本でも住友重工で生産されるなど我々にも馴染み深い機関銃となっている。
FN Minimi (US M249 PARAモデル #081099)
- 全長:910mm(750mm)
- 口径:5.56mm×45
- 装弾数:30発/またはベルト給弾
- 価格:¥1,650,000
時代の要請に応えたSAW
ミニミを開発したFNはベルギーの銃器メーカーで、第二次世界大戦中にベルギーがナチス・ドイツに占領されたことでドイツ軍の兵器製造に協力させられた経緯を持つ。その際にドイツ流の技術を獲得し、戦後には一流銃器メーカーに成長。アサルトライフルのFALやドイツのMG42、アメリカのBARを参考にした汎用機関銃MAGなどを開発している。
特にMAGは西側陣営で車輌搭載型から携行型まで使われるベストセラーとなったが、その大きさと重量は兵士1人で常時運用することが難しく、イギリス軍SASの依頼を受けて軽機関銃の開発がスタートしたのである。
ミニミがSAWの傑作と呼ばれる理由はバランスの良さであろう。他のSAWの多くは重い、装弾数が少ないという問題を抱えていた。その点ミニミは本体重量が7kg以下でありベルトリンク方式にて100発から200発の弾薬をBOXマガジンで携行することができた。このバランスの良さがSAWに求められる核心部分であり、ミニミが最初にクリアした機関銃であった。
20世紀最強の軽機関銃
1986年に最初のミニミMk1がM249軽機関銃として採用され、湾岸戦争で初陣を飾る。射撃精度と信頼性の高さが評価されたミニミはその後何度かの改修を受け、その中でいくつかのバリエーションモデルを生み出す。その中でも代表的なものが、短銃身と収納式のストックを持ったパラモデルだ。本銃の完成を持ってミニミは当初の要望を満たすことができた。
現在、陸軍内でも老朽化したM249を近い将来更新することは計画されているが、次世代型SAWの本命がないことからまだまだ使われるようだ。2010年には近代化改良を行ない、特殊部隊用のMk46や7.62mmに対応したMk48が開発されるなど、ミニミは軽機関銃の傑作機といって間違いないであろう。
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TEXT:IRON SIGHT/アームズマガジンウェブ編集部
撮影協力:HEADSHOT
この記事は月刊アームズマガジン2021年9月号 P.216~217より抜粋・再編集したものです。