実銃

2020/12/27

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】

 

敗戦が生み出した効率重視の汎用機関銃

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】

 

 MG42を語るには、原型となったMG34の存在が欠かせない。

 第一次世界大戦後、敗戦国のドイツはべルサイユ条約によって新たな自動火器の開発が制限されてしまう。そこで、ドイツのラインメタルはスイスのゾロターンをダミー会社として、連合国管理委員会の監視の目を逃れ新型機関銃の開発を行なう。そしていくつかのモデルを経て、第二次世界大戦直前にMG34が完成。大々的に兵器の開発ができない状況と兵器保有数の制限がドイツの汎用機関銃の礎となり、傑作銃が生まれたのだ。

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】

 

MG42 汎用機関銃(#4987b)

  • 全長:1,220mm
  • 口径:7.92mm×57
  • 装弾数:ベルト給弾
  • 価格:¥400,000

 

 汎用機関銃とは兵士が単体で使用する軽機関銃、三脚に載せた重機関銃、対空用三脚に載せた対空機関銃、車輌に搭載した車載機関銃と用途を限定せず使用する機関銃のことだ。つまりこのシステムが開発される背景には、当時の敗戦国ドイツが置かれた状況が大きく関わっていたのである。

 MG34は完成された高性能な汎用機関銃であった。しかし第二次世界大戦の勃発で実戦投入されると、その複雑で精密な構造がアダとなり、泥や埃などの悪状況による作動不良が多発。また使用する資材の量や生産工程の複雑さから高いコストが掛かるなど非効率的でもあった。これらの問題点や不満を解消すべく、MG42には性能を落とさず効率を上げることが要求された。

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】
ボルトヘッドの左右に円形のローラーを配したローラー・ロッキング方式は、異物混入を防ぎ高い信頼性を実現させたばかりか毎分1,200発の速い発射速度を可能にした。原型はポーランドともいわれているが、完成させたのはドイツの技術力でありこの経験が戦後のH&Kにも生かされている

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】
コッキングハンドルは確実な操作を実現させるためにT型に変更された。後部にあるボール状の窪みはコッキング操作によるレシーバーの変形を防ぐリブだ

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】
ストックは魚の尾ひれのような形状で滑り止めの溝がストックに直接刻まれている。資材不足に陥ったため多くのストックが木製になったが、この個体は初期に作られたベークライト製ストックを装備している

 

 MG42では切削部品を極力減らし、プレス加工を多用することで生産性の向上と生産時間の短縮を実現。MG34で312マルク必要だったコストも250マルクにまで抑え、当初の目的を達成した。しかしそれも戦局を変えるほどではなく、ついに敗戦を迎える。

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】
バレルジャケットの片側が大きく空いているのは素早いバレル交換を行なうためだ。高速射撃はバレル寿命を極端に縮めてしまうため、数本の銃身を400発程度で冷却のために交互に交換しながら射撃する必要があった

 

MG42 汎用機関銃【無可動実銃の魅力】
フィードカバー裏側には、ボルトの前後運動と連動して給弾機構を左右に動かす役割を果たすカバーが設置されている。アメリカ軍のM60機関銃にも影響を与えた部分だ

 

 MG42は戦後の西側再興にあたって使用弾薬を7.62mm NATO弾に改め、部分改修型であるMG1、MG2、MG3と変遷してヨーロッパを中心に使用され続けており、80年近くたった今も現役の座にあるといえる優れた汎用機関銃なのだ。

 

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TEXT:IRON SIGHT/アームズマガジンウェブ編集部
撮影協力:東京サバゲパーク

 


 

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この記事は月刊アームズマガジン2021年2月号 P.112~113より抜粋・再編集したものです。

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