2020/08/30
MP41 短機関銃【無可動実銃の魅力】
これが本当のシュマイザーサブマシンガンの姿だ
短機関銃の元祖にしてその後に世界中に影響を与えたシュマイザーは、ドイツを代表する銃器デザイナーの一人に数えられる。彼はドイツの兵器製造企業や銃技師が多く集まる都市ズールに生まれ、幼いころから父親に銃の製造と設計を学び、その父親が勤めていたベルグマンに入社しMP18の開発に携わる。
シュマイザーは後にベルグマンを去り新たにハーネルで短機関銃の開発を続けているが、実はなんと世間一般で「シュマイザーサブマシンガン」と呼ばれたMP40の開発には一切関わっていない。MP40に刻印されたパテントにシュマイザーの名があったことで勘違いされたのだ。しかしその勘違いが元でソ連に連行され、亡くなる前の年までソ連の兵器開発に携わることを余儀なくされた。
そんな波乱の人生を送ることになるシュマイザーは、第二次世界大戦前にはハーネルのチーフ・デザイナーとなっていた。ハーネルではMP18の改良型のMP28が警察や武装親衛隊に採用されていたが、ナチスドイツ軍でのMP38/MP40の採用を受け、部品や弾倉に互換性を持たせた警察用短機関銃として開発されたのがMP41短機関銃だ。
MP41 短機関銃(#6239)
- 全長:861mm
- 口径:9mm×19
- 装弾数:32発
- 価格:¥280,000
マガジンとマガジンハウジング部は当初の目的に沿ってMP40と同型としている
MP40にあったガンポートに引っ掛けるためのバレル・レストはセミオートが撃てるMP41には不要と判断され省略された
トリガー上部にあるボタンがセレクターだ。左右にスライドさせることでセミ・フルの切り替えを行なう
その際、エルマが開発したMP40をハーネルも量産していたことから、MP40を再設計したといわれている。しかしシュマイザーは、自身が開発したMP36を勝手に修正を加えたものがMP40だとして憤りを覚えており、ついにはエルマを相手にMP36の特許侵害として訴訟を起こす。1941年に完成したMP41であったが、MP40の特許部分があったため今度はエルマが特許侵害訴訟を起こす。その結果、ハーネルはMP41を約26,000挺で生産中止としている。
どこから見てもMP40に木製ストックを付けただけの外観が特徴だ。しかし内部はMP28のものを元に別のものが入っており、操作方法やメンテナンスもMP28に近い
MP41は武装親衛隊や警察部隊に配備されたものの円滑な補給が望めなくなってしまったことで同盟国に渡され、ドイツではほとんど見かけることがなくなった。戦時中でありながらお互いに告訴しあう泥試合の煽りを喰らったMP41。名銃になれなかった短機関銃といっていいだろう。
SHOP DATA
●東京上野本店
〒110-0005 東京都台東区上野1-12-7 Theシカゴビル
TEL 03-5818-1123 FAX 03-5818-1124
営業時間 12:00~20:00 年中無休
●大阪店
〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町1-5-14 瓦町一丁目ビル4階
TEL 06-6223-9070 FAX 06-6223-9071
営業時間 12:00~20:00 年中無休
TEXT:IRON SIGHT/アームズマガジンウェブ編集部
この記事は月刊アームズマガジン2020年10月号 P.98~99より抜粋・再編集したものです。