2020/04/29
ステンMk.V ~崖っぷちから誕生したスーパーSMG~【無可動実銃の魅力】
革新と伝統が融合したブリティッシュSMG
あらゆる銃器において高い射撃精度を重視するイギリス陸軍の伝統もあって、長くイギリス軍はサブマシンガンに興味を持っていなかった。ところが、第二次世界大戦初期のダンケルク退却において多くの軍需物資を失ったイギリス軍は、安くて製造が容易な兵器が必要となり、それを満たすべく開発された銃こそステンである。
ほとんどの部品が単純な金属パイプで寸法の公差が大きくシンプルな構造であったステンは、急造兵器でありながらも効果は高く、とって代わる兵器もなかったことから戦後もそのまま使用されている。
ステン Mk.V 短機関銃
(複数在庫品、#00440)
- 全長:762mm
- 口径:9mm×19
- 装弾数:32発
- 価格:¥180,000
その簡素な造りと一部粗悪品が混じったことでステンには悪いイメージが常に付きまとうが、北アフリカ戦線で実施したトンプソンとの評価試験では、特に劣悪な環境での耐久性や集弾性に優れた結果を示した。
突貫で製造されたステンは充分な開発期間もなく採用された、イギリス軍銃器の中では特異な存在だ。これまでの優雅ともいえる造りのよい銃器に馴染んでいたイギリス兵には不評であったが、1941年から45年までのわずか4年の間に生産されたのは400万挺以上で、これはドイツのMP40の生産数100万挺を大きく上回る。そうして急造兵器としての目的を完全に達成した稀有なSMGとして歴史に残る銃となった。
ボディは筒状のパイプでいくつかのブロックに分かれたプレスパーツが組み合わさった効率重視な構造になっている
Mk.Vになるとフロントサイトはリー・エンフィールド小銃と同一のものに変更され銃剣の装着を可能にした
ほぼ垂直の角度を持つピストルグリップの採用によって、サブマシンガンとして完成された形状となった。丈夫なウォールナット材がストレスによりクラックが入るほど酷使されていたようだ
それまでのステンが木製パーツを廃止した先進的な構造だったが、Mk.Vで既存のスタイルに戻したのは経費削減のため、一般兵と同等の装備を空挺隊員に流用させ、制式小銃のリー・エンフィールドの部品を流用することで合理的にバージョンアップを行なうためであった。
ステンMk.Vは1944年に登場し、1960年代初頭までイギリス軍で使用され、朝鮮戦争やインドネシアでの戦闘でもその姿は確認されている。その後は後継のスターリングSMGに換わってしまったが、ステンの製造設備で生産できることが条件だったので基本構造は引き継がれることになった。
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TEXT:IRON SIGHT/アームズマガジンウェブ編集部
撮影協力:東京サバゲパーク
この記事は月刊アームズマガジン2020年6月号 P.110~111より抜粋・再編集したものです。