2021/07/22
ドイツ軍の食事を再現する!【リエナクトメントのススメ vol.21】
月刊アームズマガジンにて連載の「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。
WEB版第21回では、2017年10月7日・8日に行なわれた、Kaspar Lueder u. Pohi主催のイベント「Lueders Kaserne」から、ドイツ軍の糧食再現の様子をレポートする。
ドイツ軍兵営体験イベントレポート ~その1~
「糧食再現」
2017年10月7〜8日に、Kaspar Lueder u. Pohi主催のドイツ軍兵営体験イベント「Lueders Kaserne」が、静岡県御殿場市の乙女森林公園キャンプ場で実施された。
設定は、1939年の第VII軍管区、第7歩兵師団、第19歩兵連隊、第19訓練大隊内に設置された訓練中隊内での新任兵教育を想定した。今回はこのイベントでの糧食再現を紹介する。
朝食:Morgenkost
第VII軍管区は旧オーストリアを除くとドイツ最南端に位置するミュンヘン:Münchenを中心とした地域だったので、糧食メニューもこの設定を意識した内容とした。
ドイツ陸軍の営内の朝食は、「軍用パン:Kommissbrot」と「コーヒー:Kaffee」が基本となる。営内では軍用パンは一日当たり750gが支給された。
軍用パン:Kommissbrot
南ドイツは比較的小麦粉比率の高いパンが多いが、今回のイベントでは、「キプフ:Kipf」というライ麦比率60%のパンを使用した。ドイツでは、パンの材料である小麦とライ麦の比率によって、パンの種類を分類しているが、キプフは「ローゲンミッシュブロート:Roggenmischbrot(ライ麦50%以上90%未満のパン)」に分類される。
昼食:Mittagkost
朝・昼・夕の3食中、唯一温食が支給されるのが昼食であった。昼食メニューは主菜である肉料理と添えのジャガイモ、サラダとスープで構成されていた。ジャガイモは多くの場合、「塩茹でジャガイモ:Salzkartoffeln」にして供された。
今回のイベントのメニューは、スープが「野菜スープ:Gemüsesuppe」、サラダは「キュウリのピクルス:Gewürzgurken」、主菜は「ビーフグーラシュ:Rindsgulasch」と添えに塩茹でジャガイモを用意した。
野菜スープ:Gemüsesupp
営内では、一日の食事の中で野菜を摂取するのは昼食のみのため、野菜料理はサラダとスープが用意された。サラダは生野菜に限らず温野菜が供されることもあったが、特に効率的に野菜を摂取できるスープは、具沢山のスープであることが求められていた。
写真のスープは、塩茹でジャガイモを作った煮汁にブイヨンを加えたものがベースで、キャベツ、ニンジン、カブ、ネギなどの具材を入れ、ジャガイモと小麦粉でとろみを付けている。
夕食:Abendkost
営内の夕食は、「軍用パン:Kommissbrot」と「スプレッド」、「飲み物:Getränke」とタンパク質系の一品で構成されていた。
スプレッドには「豚のラード:Schweineschmalz」「バター:Butter」「マーガリン:Margarine」のいずれか一品50gで、飲み物は「コーヒー:Kaffee」「お茶:Tee(ハーブティーか紅茶)」「ココア:Kakao」のいずれかに、「砂糖:Zucker」50gが付くことがあった。タンパク質系の一品には、「蓄肉製ソーセージ:Fleischwurst」「豚バラ肉のソーセージ:Speckwurst」「レバーヴルスト:Leberwurst」などのソーセージ類100gや、「チーズ:Käse」類100g、「卵:Eier」3個、「オイルサーディン:Ölsardinen(缶詰1缶)」などが付いた。
TEXT&PHOTO:STEINER