エアガン

2021/05/23

稀代のガンスミス、クラレンスの名銃コレクション【ライフル編】

 

 稀代のガンスミス、Clarence Laiは圧倒的技術力と揺るがぬエアガンへの愛で、数多のカスタムガンを作り上げてきた。IPSC(International Practical Shooting Confederation)にエアガンを採り入れることに尽力するなど、世界中にエアガンとシューティングマッチを広める数多くの実績を残している。前回は彼の作品のうち、ハンドガンをピックアップしたが、今回はライフルを紹介しよう。

 

前編はこちら

 


 

NOVESKE N4 .300BLK CUSTOM

 

 

 実銃の世界では.300 BLKのモデルが次々に登場しているが、エアガンの世界ではあまり手付かずだ。そこでクラレンスがWAのガスブローバックM4をベースに作り上げたのが、このNOVESKE N4の.300 BLKカスタムである。アウターバレル、トリガー、ガスブロックはステンレス製だ。

 

SIG SAUERのROMEO3ドットサイトを搭載。ボルトは軽量なアルミ製で、快調に作動

 

クラレンスが得意とするスケルトンスタイルのグリップ

 

Kitty Cat

 

 

 10.5インチバレルのINOKATSU M4とM203を組み合わせ、レシーバー周りを極限までスケルトン加工し軽量化したカスタム。ロアレシーバーなどはメカニズムも丸見えだがきちんと作動する。

 

軽さを追求しドットサイトはSIG SAUERのROMEO3、フリップアップサイトはMAGPULのMBUSをチョイス

 

CHEYTAC M200 CUSTOM

 

 

 日本の刀や鎧のコレクターからの依頼で製作したカスタムで、和のテイストを盛り込んだ一品。製作時に日本の伝統的な武器を学んだ際に鎖鎌に目を付け、レシーバー下部にモチーフとして採り入れている(脱着可能)。ベースガンはSOCOM GEARのガスボルトアクションCHEYTAC M200。本体の軽量化に加え、セラコートでダメージペイントが施されている。スコープはスワロフスキー製の実物ショートスコープを搭載。

 

STONER LMG GBB CUSTOM

 

 

 こちらも上記コレクターのオーダーによるもので、STONER LMGのガスブローバックカスタムだ。この銃は電動ガンしか製品化されていないため、大きなマガジンを活かしてガスブローバックのメカニズムを組み込み、約3カ月をかけて完成させた。LMGである以上は快調な連射とコッキングのギミックは必須であるため、クラレンスの技量をフルに発揮して顧客を満足させる外観と、完璧といえるガスブローバックメカを実現。こちらはレシーバーの随所に鋲をあしらい、パラコードの組み紐のスリングを緒に見立てるなど、日本の兜をモチーフにしている。
 

この大きなマガジンが快調なガスブローバックに貢献。グリップはクラレンスお得意のスケルトン加工が施されている

 

BARRETT M107 CUSTOM

 

 

 SOCOM GEARのガスブローバック、BARRETT M107がベース。作動面が不調だったモデルだが、クラレンスがメカを徹底的にリファインして快調な作動を実現している。こちらは十手がモチーフになっており、ストック周りの形状にそれが見てとれる。手前にあるのはその参考のために彼が入手した古い十手で、この銃と共に前記のオーナーに引き渡された。写真ではわかりにくいが、ストックのチークピース部分には十手の柄と同様エイ革を貼り込んでいる

 

CL PROJECT DESIGN

 

 「AIRSOFT SERGEON」のカスタムは、そのこだわりゆえに少量生産で高価でもあったことから、ごく限られた人しか手にすることができなかったともいえる。
 そこで彼はもっと多くの人の手に届くような製品を手掛けるべく、「CL Project Design」という新たなブランドを立ち上げ、カリスマ的ガンスミスでシューターでもある彼がデザインしたカスタムパーツや各種グッズをリリースしていく。日本ではポストホビーWEBSHOPにて発売されているので、ぜひ試してみていただきたい。

 

東京マルイ製ハイキャパ用のサムレストスライドストップ。親指の置き場を作ることで、安定した射撃を可能にする。ステンレスブロックからのCNC切削により、精度も質感も高い。カラーはクロームとブラックの2種を予定

 

こちらも東京マルイ製ハイキャパ用の強化型シリンダーノズルとピストンヘッドのセット。素材見直しにより耐久性と安定性の向上を図っている

 

クラレンスのデザインによるグッズも展開予定。こちらは持ち手をワンポイントスリングに見立てたトートバッグ

 

 

 前後編に渡り、クラレンス・ライの作品を紹介した。今後彼は故郷香港を離れ、台湾に拠点を移すことになる。彼ならばきっと逆境にも負けることなく素晴らしい作品を作り続けてくれることだろう。さらには新ブランド「CL PROJECT DESIGN」も立ち上げ、これまで彼の作品に触れることのなかった人の手にも届きやすくなる。読者の皆さまも、ぜひクラレンスの作品を手に取ってみてほしい。

 

Text:櫻井朋成(Tomonari Sakurai) 

Photos:Clarence Lai

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年6月号 P.214~221より抜粋・再編集したものです。

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