2021/04/20
【実射】「いいとこ取り」のアサルトライフル「BUSHMASTER ACR」を実射!!
マグプルが開発したアサルトライフルMASADAは、多様な弾薬に対応したマルチキャリバーデザインで、しかも工具不要で簡単にバレルチェンジできるのが特徴だ。その量産モデルはACR(Adaptive Combat Rifl e)と名を変え、民間向けセミオートモデルをブッシュマスターが、軍・法執行機関向けフルオートモデルをレミントンが生産している。前編では本銃の解説・テイクダウンのレポートをお届けしたが、後編となる今回ではいよいよ実射の模様をお届けする。
シューティングインプレッション
では実際に射撃をしてみよう。インプレッションは主に元特殊部隊員のアレックスにお願いした。経歴は明らかにできないが、実戦経験を持つプロフェッショナルだ。彼は以前紹介したハーネルのCR223を持参していたが、ACRは初めてだという。
フル装填されたマガジンをACRに叩き込み、チャージングハンドルを引いてコッキング。そしてターゲットに向けトリガーを絞ると、ハンマーが落ちた音はしたが弾は出なかった。すかさずアレックスはチャージングハンドルを引くが、慣れないポジションにあるためハンドルから手を離してしまった。すると初弾を排除する前に次弾が送り込まれ、レシーバー内部に残っていた初弾との隙間に次弾が押し込まれる形になり、素手では抜けないほどガッチリ引っ掛かってしまった。これが任務中なら最悪だ。アドリアンが工具で引き抜き、ようやく解決した。
この銃を撮影のために分解し組み立てたのは筆者なので、どこかで間違いを犯していなかったか心配していたが、先に送り込まれた弾薬のプライマーを見ると、ファイアリングピンに叩かれた跡が残っている。つまり、弾薬に問題があったというわけだ。そこでマガジンを入れ直し、コッキングしてセミオート射撃すると、しっかり撃てることが確認できた。これで大丈夫だ。
改めて射撃を開始する。撃ってみると、リコイルが真っ直ぐで、マズルジャンプはほとんど感じられない。そのリコイルも抑制されていて非常に扱いやすく、トリガーのフィーリングも良好。その一方で、AR15 / M4に慣れたアレックスのようなシューターには、高さのあるハンドガードはホールドしづらく、先の例のようにチャージングハンドルの位置には戸惑ったそうだ。ハンドガードの方は、フォアグリップを装着すれば解決できそうで、全体的には好印象とのことだった。
アレックスに続いてアドリアンと筆者も撃ってみたが、感想はアレックスと同様で、初弾の不発以外は撮影を通じてノートラブルだった。
総じて、操作系に若干の慣れが必要なものの、極めて素直な銃という印象を受けた。分解作業の手軽さなどもあわせて、アサルトライフルの「いいとこ取り」らしく扱いやすい、優等生な1挺ではないだろうか。
Text & Photos:櫻井朋成( Tomonari SAKURAI)
Special Thanks :Armurerie FMR Unique
この記事は月刊アームズマガジン2021年5月号 P.140~147より抜粋・再編集したものです。