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2020/10/12

リエナクトメントのススメ vol.7【WEB版:オストフロント1944イベントレポート その3】

 

 月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。

 WEB版第7回では、2018年12月に行なわれたリエナクトメント・イベント「オストフロント1944 ~グナイゼナウラインの攻防」における戦闘前の赤軍の様子を紹介する。

 

前回の記事はこちら

 


 

「オストフロント1944」イベントレポート~その3~

 

 

 イベントの設定は、1944年4月13日~14日。クリミア半島セヴァストポリ近郊の町シンフェロポリ郊外で、赤軍(ソビエト軍)とドイツ陸軍の間で起こった戦闘をテーマにしたリエナクトメントで、赤軍の設定部隊は、第279歩兵師団 第1003歩兵連隊 第2大隊 第1中隊であった。

 

写真は服装チェック時に、ピロトカ(略帽)の被り方を指揮官から指導されている兵である

 

 初日の午前中は、イベント会場の整備に費やしたが、午後からは教練を実施した。運用再現を目指すリエナクトメントでは、着装している軍装の出来よりも、着こなしや所作の方が重要視されるので、教練は不可欠と言ってもいいだろう。

 

朝食配給風景

 

 赤軍2日目の朝食メニューは、カーシャ(ロシアの蕎麦粥)の代用として、ドイツ軍と同じくオートミールとし、飲料は紅茶とした。糧食班から運ばれてきた糧食運搬缶より、各自の飯盒の蓋に紅茶が、そして本体にはオートミールが配られた。

 

 

 朝食終了後には、今回のイベントの開会式があり、その後に編成完結式が行なわれた。前日の教練の甲斐もあって、赤軍は迅速かつ綺麗に整列する事ができた。赤軍は装具着装後、互いに被服、装備等をチェックしあってから整列しており、これも教練の成果だったものと思われる。

 

 

 赤軍は編成完結式が行なわれたセーフティエリアから、フィールド内に設定された攻撃開始線まで移動した。歩調をあわせ、隊伍を組んでの行軍である。未舗装道路を、装備を身に着けた状態で歩調をあわせて歩くのは、訓練なしではかなり難しい。これも前日の教練の賜物であろう。この後、赤軍は攻撃開始線手前に設定された集結地点で一旦停止し、いわゆる状況開始と同時に命令下達がなされた。

 

 

 設定上の大隊長から出された中隊前進命令が部隊全員に伝えられる。イベントでは小隊長から各分隊長へ、その後各分隊長が分隊員に説明するかたちで命令下達が行なわれた。分隊長は、小隊長からの命令と戦闘指導をわかりやすく噛み砕いて分隊員に伝える。戦闘に参加する全員に、上級部隊の行動指針、我が部隊の行動、そして分隊の役割を浸透させ、更に各自の任務について理解させる。

 

 

 命令下達が終わり、いよいよドイツ軍陣地に向けて前進を開始する赤軍。情報から敵の存在が確認されているため、警戒をしつつの前進となる。前出の行軍の写真と比べると、その緊張感の違いが一目瞭然だろう。

 

 次回は、いよいよ赤軍がドイツ軍陣地に到達し、激しい戦闘が開始される。小火器だけではなく、迫撃砲による援護が再現された戦闘の模様に、乞うご期待!

 

取材協力:関西ヒストリカルイベント運営事務局

TEXT&PHOTO:STEINER

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