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2020/09/23

リエナクトメントのススメ vol.6【WEB版:オストフロント1944イベントレポート その2】

 

 月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。

 WEB版第6回では前回に引き続き、2018年12月に行なわれたリエナクトメント・イベント「オストフロント1944 ~グナイゼナウラインの攻防」を紹介する。

 

前回の記事はこちら

 


 

「オストフロント1944」イベントレポート~その2~

 

 

 前回に引き続き、2018年12月に行なわれたリエナクトメント・イベント「オストフロント1944 ~グナイゼナウラインの攻防」から、2日目朝の戦闘前のドイツ軍の様子を紹介する。

 

 本イベントの設定部隊であるドイツ陸軍第336歩兵師団は、元々西ヨーロッパの占領軍として動員・編制されており、1941年まではフランスに進駐していたが、1942年には東部戦線の南方軍集団に派兵された。当初こそ後方部隊として用いられたが、1943年になると戦闘に投入され、ドネツ、ミウスと転戦。メリトポル経由でクリミアまで撤退して、クリミア半島の防衛線に従事した部隊であった。

 

写真は各自の飯盒とコップに朝食を支給している状況を撮ったものである

 

 今回の状況設定は継続した後退戦の最中であるため、製パン中隊の活動は難しい。朝食には現地調達も可能であり、フィールドキッチンが無くても鍋があれば作ることができる、オートミールと代用コーヒー(コーヒーとのミックス)を支給した。

 

中隊本部で朝食を摂っている中隊長と小隊長

 

 今回は既に損害を被り、後退中の部隊である設定のため、中隊長は少尉、小隊長は曹長が務めている。中隊長は本来であれば大尉、小隊長は少尉か中尉の職務であるが、戦死や戦傷などで当該階級の者がいない場合は、次席の者が代行した。

 

分隊毎に朝食を摂るドイツ軍

 

 イベントでは初対面の者同士が同じ分隊に配属されることもある。イベント参加者には、初日の陣地構築作業(前回参照)や夜の懇親会、朝食などの時間を共にするなかで、誰が分隊長で誰が同じ分隊員かを覚えてもらい、部隊の一員としての自覚を促している。

 

写真は編成完結式の再現で、整列した部隊に写真右端の中隊長がこれから訓示を行なう場面である

 

 軍隊には部隊の定数を定めた「編制」と、その作戦に応じて必要な場合に行なわれる「編成」がある。編成完結式は、編成作業が完了した事を中隊長に報告し、中隊長より訓示を受けるために行なわれる。

 

 

 後退戦の最中、既に補給組織の大部分が脱落した同部隊は、まともな温食給与は困難だったと思われる。また、昼食は警戒中の陣地内で、交替しながらの喫食が予想されるので、本来は、行軍時に支給される携行食(半食)を昼食メニューとした。この携行食(半食)の内容は、ツヴィーバック250g(日本の乾パンに似た物)と、内容量が200gの肉の缶詰で構成されていた。
 

行軍用飲料を水筒で受領する第2分隊の擲弾兵達

 

 昼食には前記の携行食と行軍用飲料を支給した。この行軍用飲料というのは、水に塩とクエン酸を加えた飲料で、甘味を添加した物もあった。今回支給したのは甘味としてサッカリンを添加したタイプで、スポーツ飲料のような味の物である。
 

取材協力:関西ヒストリカルイベント運営事務局

TEXT&PHOTO:STEINER

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