2020/10/05
LCTエアソフト「LK-33A2&A3電動ガン」【毛野ブースカの今月の1挺!】
「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今月はLCTエアソフトの電動ガン『LK-33A2&A3』をご紹介!
台湾に本拠地を置くLCTエアソフトは、AKシリーズの電動ガンをメインにラインアップしている、どちらかと言えば玄人好みのエアガンメーカーだ。筆者は2年前にLCTエアソフトを取材で訪れたことがあり、多くの工作機械に囲まれる中、AKシリーズが続々と製造されていた。そんな同社はちょうど筆者が訪れたその年に、AKシリーズで培ったプレス技術を応用してヘッケラー&コックのG3をモチーフにした電動ガンLC3シリーズをリリースした。LC-3シリーズは、G3という知名度は高いがあまりエアガン化されることがなかった機種であることとリアルな外観から人気を博した。LK-3シリーズが登場してから2年が経ち、G3の兄弟機種であるHK33をモチーフにしたLK-33がデビューすることとなった。
リトラクタブルストック仕様のLK-33A3。実銃がそうだから仕方ないのだが、バットプレートが小さくてスラントしているためか、ちょっと構えにくい
実銃のヘッケラー&コックHK33はM16と同じ5.56mm×45弾を使用し、発射方式はG3シリーズと同じローラーロッキング方式を踏襲。G3をそのままダウンサイジングしたかのような外観となっている。G3やMP5とともに同社のウェポンシステムの一角を形成している。トルコやミャンマーなど海外で多数ライセンス生産されており、それらの中でもアメリカのハ―リントン&リチャードソンで製造されたT223は、ベトナム戦争時にアメリカ海軍特殊ネイビーシールズが使用していたことで知られている。ベトナムマニア垂涎の1挺と言っても過言ではない。その後、湾岸戦争でも特殊部隊で使われるなど西側諸国を代表するアサルトライフルのひとつである。
こちらは固定ストック仕様のLK-33A2。A3のストックに比べて断然構えやすい。ストックは簡単に交換可能だ
LCTエアソフトはLC-3シリーズ同様、レシーバーを実銃と同じ製造方法であるスチールプレスで製造。複雑な形状が見事に再現されている。スチールプレスレシーバーに加えてアウターバレルもスチール削り出しとなっており重量は4,000gに達している。実際に手にすると、いかにもLCTエアソフトが生み出すエアガンらしい質感・重厚感が手に伝わってくる。ポリマー製パーツを多用した現代のアサルトライフルにはないいかにも「鉄砲」らしい雰囲気を漂わせている。パッと見では実銃を区別がつかないほど外観の完成度は高い。セレクターレバーはマガジンキャッチなどの操作系はG3やMP5と共通となっており、熟知している方なら違和感なく扱えるはすだ。
ハンドガードを外すとバッテリーコンパートメントが現れる。アウターバレルはもちろんフロントサイトやコッキングレシーバーも金属製だ
今回紹介するモデルはオーソドックスなスタンダード電動ガン(AEGタイプ)で、電子トリガーなどは非搭載。LCTエアソフト独自のリコイルショックが体感できるEBBタイプが用意されている。バッテリーはハンドガード内に収納。セパレートタイプもしくはスリムタイプリポバッテリーが適している。コッキングハンドルを引くとダミーボルトが後退してホップアップ調整ダイヤルが現れる。電動ガンとしては標準的なスペックとなっている。マガジンもレシーバー同様、スチールプレス製。標準装備のスプリング給弾式のほかにゼンマイ給弾式の連射マガジンも用意されている。
G3やMP5と同様、コッキングハンドルを下げて切り欠きに引っかけて固定できる。そこからコッキングハンドルを叩き込むようにして「ガシャン!」とコッキングハンドルを前進させることができる
バリエーションは固定ストックのA2とリトラクタブルストックのA2があり、どちらもバッテリーの収納位置はハンドガード内となっているのでストックの交換が容易にできる。T223を想わせるスリムハンドガード、モダンなレールハンドガード、バイポッド、スコープマウントベースもオプションで用意されている。オールドユーザーのみならず若い方にもHK33の持つ魅力をこのモデルを通して味わってほしい。ちなみに、パッケージにはロングマガジンを装着したT223と思われるイラストが描かれており、ひょっとしたら製品化されるのかもしれない。
重厚感漂うスチールプレス製のレシーバー。セレクターレバーはS(セーフ)、E(セミオート)、F(フルオート)となっている。
MP5と共通のエルゴノミクスデザインのトリガーグループ。グリップはモーターが内蔵されているにもかかわらず握りやすい
オプションで用意されている装弾数300発の連射マガジン(オープン)。ノーマルマガジン同様スチールプレス製だ
操作系はG3やMP5と共通。マガジンキャッチはボタン式とレバー式のデュアルタイプ。素早い操作には不向きだが、確実に固定されるのが特徴
HK33は今までKSCとクラシックアーミーから電動ガンとしてリリースされただけで、G3と同じく知名度はあるのにエアガン化されないモデルのひとつであった。今回LCTエアソフトからリリースされたことで、ちょっとしたHK33ブームが起きそうな予感がする
[プロフィール]
アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴35年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで24年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。
Twitter:@keno_booska