エアガン

2020/09/06

東京マルイ「FNX-45 タクティカルブラック」【毛野ブースカの今月の1挺!】

 

「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今月は東京マルイのガスブローバックガン『FNX-45タクティカルブラック』をご紹介!

 

前回の「今月の一挺」はコチラ

 


 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

 

 ベルギーに本拠地があるFNハースタルはハンドガンからマシンガンまでラインアップする総合銃器メーカーだ。実は総合銃器メーカーとして活動している銃器メーカーはFNハースタルとHヘッケラーKコックしかない。特にマシンガン(HMG、LMG、SAW)に関しては実質的にFNハースタルが100年近くに渡って製造しており、ほぼ市場を独占している。小銃はかつてはFALやFNC、最近ではSCARやF2000が知られており、PDWとして誕生したP90も同社を代表する銃器だ。

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

同社のポリマーフレーム&ハンマー露出式ハンドガンFNXをベースにデザインされたFNX-45タクティカル。FNPからの流れを汲むスライドデザインが特徴だ

 

 一方、ハンドガンはブローニングM1910やブローニングハイパワーが有名だが、近年はP90と同じカートリッジを使用するファイブセブンピストル以外はあまりパッとしない。グロックやヘッケラー&コック、スミス&ウェッソンといったメーカーのハンドガンの陰に隠れてしまっている印象が強い。そんなFNハースタルのハンドガンの中でも存在感を示しているのがFNX-45タクティカルだ。

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

実銃の口径は.45ACP。一時期、特殊部隊で.45ACPに回帰する傾向が見られたが、グロック19やP320など9㎜×19弾仕様のハンドガンが採用されていることからも、その傾向はなくなったものと見られる

 

 FNX-45タクティカルは2005年にアメリカ特殊作戦軍U S S O C O Mが行なった特殊部隊向け次世代拳銃を選定するためのプログラム「Joint Combat Pistol(JCP)、通称USSOCOM JCP」用に開発したものだ。FNハースタルからはFNX-45タクティカル、ヘッケラー&コックからはHK45が提出されたが、結果的にプログラムは中止され、どちらも制式採用されることなく終わってしまった。FNX-45タクティカルは軍・法執行機関で制式採用されていないが、サイレンサーやウェポンライト、マイクロドットサイトが装着できるなど、現代のタクティカルハンドガンに求められる要素がすべて盛り込まれており、その後の同社のハンドガンに強く影響を与えた。

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

マイクロプロサイト搭載を前提としたスライドにあわせて新設計のオーバルピストンを採用。ブローバックアクションは快調そのもの

 

 東京マルイからはすでに実銃と同じカラーリングのFNX-45タクティカル(ここではわかりやすくするためにタンカラーモデルと呼ぶ)がリリースされており、ここで紹介するオールブラックモデルは実銃には存在しない。いわば東京マルイ独自のカラーバリエーションだ。特徴はタンカラーモデルを踏襲しており、実銃同様にマガジンキャッチやスライドストップ、セーフティ/デコッキングレバーといったコントロールレバー類がすべて完全アンビ化されている。実は完全アンビ化されているハンドガンは少なく、このモデルのアドバンテージでもある。左利きシューターだけではなく、持ち替えたり片手で撃たなくてはならないシチュエーションで重宝するはずだ。
 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

マズルプロテクターを外すとネジが現れる。ネジは専用規格となっており東京マルイのタクティカルサイレンサーが装着できる

 

 実銃同様にアウターバレルはサイレンサーが装着可能なスレーデッドタイプを採用。サイレンサー装着時でもブローバックアクションに影響が出ないようにセッティングされており、素材も金属製となっている。スライドはマイクロドットサイトが装着できるようにデザインされており、それにあわせてハイプロファイルタイプのフロント/リアサイトが採用されている。JCP発足当時から特殊部隊はマイクロドットサイトの有用性に着目しており、FNX-45タクティカルはいち早く対処している。

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

シングル/ダブルアクションのトリガーにアンビタイプのマガジンキャッチ、スライドストップ、セーフティ/デコッキングレバーのコンビネーション。コントロールレバーが完全左右対称のハンドガンは少ない

 

 実際にFNX-45を手にしてみると予想よりも大きい。実銃は.45ACP弾を15発装填できるフルサイズ・ハイキャパシティーオートであり、コンシールドキャリーには不向きなサイズだ。しかし、滑り止めのストラクチャーがしっかりしたグリップはサイレンサーやウェポンライトなどのアクセサリーを装着した状態でも安定してホールドできる。バックストラップは交換可能で、自分の手にあったサイズに調整できる。前後バランスもよく、撃ちにくいとは感じないはずだ。マガジンの装弾数は29発となっており、同社のハイキャパ5.1ガバメントモデルに次ぐ装弾数の多さだ。

 開発当時は話題を呼んだFNX-45タクティカルだが、今となってはコンサバティブな印象を受ける。逆に言えば時代が追い付いてきたとも言える。ライバルのHK45に比べると派手さはないが機能は充実している。プライマリーウェポンとしても活用できるオールラウンドハンドガンだ。

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

やや角ばったデザインのグリップ。表面に施された滑り止めのテクスチャーは痛いほど手に食いつく。バックストラップは交換可能だ

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

リアサイト前方にあるカバーを外すと東京マルイのマイクロプロサイトが無加工で装着できる。マイクロプロサイトを装着した状態でもアイアンサイトを使ってサイティングできる

 

東京マルイ「FNX-45タクティカルブラック」

実銃は.45ACP弾が15発装填できるマガジン。BB弾の装弾数は29発

 

TEXT:毛野ブースカ

 

 


[プロフィール]

 

アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴35年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで24年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。

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