エアガン

2020/06/07

アクションアーミー「AAP01アサシン」【毛野ブースカの今月の1挺!】

 

「月刊アームズマガジン」編集部の毛野ブースカがおくる『毛野ブースカの今月の1挺!』 。今月はアクションアーミーのガスブローバックガン『AAP01アサシン』をご紹介!

 

前回の「今月の一挺」はコチラ


 

 

 おそらく2020年、いやここ数年で最大のヒット作になる予感が漂うアクションアーミーのガスブローバックガンAAP01アサシン(以下アサシン)。そのヒットの理由は単純に言って「カッコよくて機能的」だからではないだろうか。アクションアーミーはオリジナルボルトアクションライフルAAC T-10シリーズで一躍有名になった台湾のトイガンメーカーだ。T-10もアサシンも両モデルに共通している特徴は同社のオリジナルモデル、つまり実銃には存在しない、いわゆる架空銃であることだ。

 

スタームルガーMk1をモチーフにしたかのようなフォルム。実際に持ってみると意外と大きく、一般的な9㎜口径のオートマチックピストルくらいのサイズ感だ

 

 商標等の問題から、特に海外メーカーを中心に実銃にありそうでないオリジナルデザインのエアガンが多数リリースされている。ひと昔前だとリアルではないものは人気が出にくい傾向があった。しかし、近年はリアルさよりもカッコよさや、自分が欲しいものを求める方が増えてきた。そんな背景の中で登場したのがアサシンなのだ。全体のフォルムはスタームルガーMk1やルガーP08、あるいはオールドユーザーには懐かしいマスダヤのアセンブリーG-1やデタッチャブルに似ている。これらの銃はいつの時代でも人気があり、ある意味で普遍的なフォルムなのかもしれない。

 

フルート入りアウターバレルやスクエア断面のレシーバー、グロックタイプのグリップなどアクションアーミーのオリジナルデザインとはいえ実銃にありそうな雰囲気だ

 

 これら先達たちのオーソドックスなフォルムを取り入れつつ、フレームやグリップのデザインはグロック17をモチーフにしている。グロック17の影響が色濃いセーフティ付きトリガー、左右に入れ替え可能なクロスボルト式セーフティ、ボルトキャッチはアンビタイプ。マガジンキャッチは左右に入れ替え可能など、モダンオートの要素がしっかり取り入れられている。グリップのデザインも凝っており、見た目もよくて握りやすい。マガジンは海外メーカー製のグロック用マガジンがベースになっており、東京マルイ製を使う場合はガスルートパッキンを交換しなくてはならない。

 

マズルカバーを外すとアウターバレルと一体になった14mm逆ネジ仕様のアタッチメントが現れる。サバゲを意識した装備がデフォルトで備わっているのがこの銃の特徴

 

 見た目以上に心躍るのがセミ・フル切り替えができることだ。セレクターレバーはボルト後部裏側に配置されており、パッと見た目ではわからない。ちょっとした秘密兵器的な雰囲気があり、アサシン(暗殺者、刺客)というネーミングを裏切らない。切り替える場合はボルトをホールドオープンして行なう。バレル先端のマズルカバーを外すとサイレンサーやトレーサーが装着できるのもイマドキっぽい。

 

左右に入れ替え可能なクロスボルト式セーフティはトリガーフィンガーで操作できる。ロープロファイルなボルトキャッチ、操作しやすい幅広のマガジンキャッチなど、使い勝手もいい

 

 スタームルガーMk1と同じくボルトだけがブローバックするため、一般的なオートマチックピストルに比べるとリコイルショックなど物足りなさを感じるかもしれない。しかしブローバックスピードは速く、連射しやすくコントロールしやすい。サバゲの道具として考えた場合はこのほうが正解だろう。インナーバレルは固定式で、サイレンサーやトレーサーを装着してもブローバックアクションに影響がない。見た目以上に実射性能に優れており使い勝手もいい。

 

複数のパターンの滑り止めが施されたグリップ。全体の形状はグロック17をモチーフにしている。下側の三角形の部分はくり抜かれている

 

 ある意味で原点回帰ともいえるフォルムを絶妙にモダナイズドしたアサシン。架空すぎるとオモチャっぽくなってしまうし、実用性を追求しすぎると色気がなくなって面白くない。実銃にありそうだけど実際にはない。でも、もしかしたらエアガンが実銃になるかもしれない。そんな妄想と遊び心、サバゲでの実用性を併せ持つアサシンは、これからのエアガンの方向性を示した秀作と言っても過言ではないだろう。

 

前後サイトには色違いの集光ファイバーがインストールされており狙いやすい。スタームルガーMk1と同様ボルトのみがブローバックする

 

ボルト裏側に設けられたセレクターレバー。このあたりがマニア心をくすぐるニクイ演出だ。言われなければこの銃がセミ・フル切り替えとは思わないだろう

 

レシーバーとフレームは工具なしで分解できる。カラーバリエーションはブラックとFDEがあり、組み替えて楽しむことができる

 

TEXT:毛野ブースカ

 


[プロフィール]

アームズマガジンの編集ライター。エアガンシューティング歴35年。数多くの国内シューティングマッチ入賞経験に加えて、1999年、2000年に開催されたIDPAナショナルズ参戦、シグアームズアカデミーや元デルタフォース隊員のラリー・ヴィッカーズのタクティカルトレーニングを受講するなど実弾射撃経験も豊富。今まで23年、280冊以上のアームズマガジンと関連MOOKの制作に携わる。

Twitter

RELATED NEWS 関連記事

×
×