エアガン

2020/06/22

クラレンス作、華麗なるカスタムガンシリーズ

 

 カスタムガンの天才にて、「AIRSOFT SURGEON CHAMPIONSHIP 2020」の主催者、クラレンス。前回は彼の美学が光るカスタムされたハンドガンを紹介した。今回もそれを掘り下げ、彼のカスタムしたアサルトライフルもご紹介していこう。

 

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 彼のカスタムガンに対する情熱と技術は、彼の精力的な活動を通して知れ渡っていくこととなる。『ダブルタップ』(2000)、その続編『トリプルタップ』(2010)は、IPSCのトップシューターである警察官と犯罪者の闘いを描いた香港アクション映画だ。ここでクラレンスは銃の監修や、IPSC競技のアドバイザーなどを務めた上、レンジ・オフィサーとしてスクリーン・デビュー。香港映画のトップスター、ルイス・クーとダニエル・ウーとの共演を果たしたのだった。

 

 

 クラレンスが手がけるカスタムの最大の魅力は、実銃のカスタムガンと同じ、あるいはそれ以上のクオリティ。それに尽きる。こちらの銃のベースはINOKATSUのガスブローバックM4。INOKATSUのモデルは、ボルトもスチール製なのが特徴だ。M4をカスタムにするときに何か特別なことはできないか? と考えて思いついたのはカットモデルのようにしたシースルーデザイン。実銃を知る彼が手がけたカスタムエアガンの切れ味やトリガートラベルは正に実銃のカスタムガンのそれに近しい。それだけのクオリティを備えた、まさに「アート」な逸品だ。

 

 

 こちらのモデルもINOKATSUをベースとしている。タクティカル系で人気の10.5インチバレルのカットアウェイモデルは、ちょうどMP5の重量と同じ。セラコートによるタンカラー仕上げで、競技用に特化したカスタムが施され、セミオートオンリーとなっている。その代わりにセレクターは45度とし、特に初弾のセフティオンからの射撃でコンマ数秒のタイムを稼いでいる。

 

 

 Domanator製のポンプアクションM870。かつてこれほどタクティカルなショットガンがあっただろうか? 見た目だけでなく、正確で安定した作動も重要視するクラレンスのカスタム。そのためカッタウェイが非常に困難で手間のかかった逸品だ。全体のバランスを整えるためにロングマガジンに変更している。「2019年に作ったモデルの中、もっとも大変だったモデル」と本人も言うだけの苦労をした結果、これだけ美しいモデルとなった。

 

 

 クラレンスはピストルのカスタムばかりと思われがちだが、アサルトライフルからショットガン、そしてこのスナイパーライフルまで幅広く挑戦している。こちらのベースはタナカのM700で、マグプルのストックを合わせている。外観にクラレンスらしい華やかさはないが、実銃用のストックをエアガンに合わせることは並大抵ではない。高い技術と知見を持つ彼だからできるカスタムと言えよう。

 

 クラレンスはこれらの作品に満足せず、さらなるカスタムガンの製作に勤しんでいる。毎年3月ドイツ、ニュルンベルクで行なわれる銃の見本市IWAでは自ら出展する傍ら、会場の進化するクラレンス・カスタム隅から隅までを見て歩き、自分の目で新しいものを探し回る。また2018年には、イタリアのADC(ARMI DELLERA CUSTOM)を訪れ、実銃ならではのデザインやアイデアを交換したという。常に実銃に目を光らせているのが彼らしい。

 世界中に名の知られたガンスミスでありカスタムビルダーのクラレンス・ライ。そんな彼の世界は、月刊アームズマガジン7月号で存分に掲載されている、是非、お手に取ってその世界を味わっていただければ幸いだ。
 

Text & Photos: 櫻井朋成

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年7月号 P.142~149よりウェブ用に再編集したものです。

 

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