エアガン

2018/09/08

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?【2018年10月号掲載】

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

 

 今、世界はグロックワールドだと言える。もっともポピュラーとなったアサルトライフルがAK47であるならば、もっとも普及している現役のオートマチックピストルはグロックシリーズだからである。米国だけで考えても、法執行機関での採用シェアは65%となり、米国のガンショップに必ず置いてあり、どこの店でもベストセラーなのがグロックシリーズである。それを反映するように射撃場やシューティングマッチに行けばグロックユーザーを多く目にする。

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

 

 グロックピストルが誕生したのは1980年。当時、映画の中で「金属探知機に反応しない」とかいう台詞があり、それにマスコミが飛び付き、大きなセールスプッシュにもなったりした。実際にはスライドを含む多くのパーツが金属製であり、ポリマー製のフレーム内にもシリアルナンバープレートとスライドレールがモールドされており金属探知機に反応する。グロックが成功した理由は特徴的なポリマー製フレームを持つという外観から簡単にわかる点だけではない。グロックはダブルアクション/デコッキング機能を持たない、独自のトリガーメカニズム「セーフアクション」による撃発機構を完成させ、マニュアルセーフティもデコッキングレバーもない。マガジンに弾を込め、チャンバーに弾を送り込み、トリガーを引くだけで弾が出る。撃った後はトリガーから指を離せば自動的に安全機構がかかるこのシンプルな機構は大きな利点である。

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

 

 すべての銃が「引き金を引かなければ弾は出ない」ことが前提となっている。逆に言えば「引き金を引けば確実に弾が出てくれる」ことが良い銃なのである。この前提をベースとして完成されたのがグロックである。グロックは複数の安全装置を内蔵し、高い位置から落としても衝撃では絶対に撃発はしない。しかしトリガーを引けば確実に撃てる。マニュアルセーフティやデコッキングレバー等、手動で行なう安全装置は安全性を人の行為に依存する。錬度が低ければ、これら手動の安全装置があってもNDは起こるし、さらに引き金を引いても弾が出ないということだってありえる。グロックを安全に取り扱うための注意点は「撃つ時まで引き金に触れない」だけで済み、このことに訓練を集中できる。多くの法執行機関において、シンプルなグロックを採用することは訓練時間の短縮に繋げられる。これはグロックの価格の低さとともに大きなメリットであり、米国における法執行機関の65%がグロックシリーズを採用している理由でもある。

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

タクティカルトレーニングの開祖であるケン・ハッカーソン氏。1911ガバメントの信仰者として知られるが、世界でもっとも一般的なグロックを使いこなせなければ本物ではないという

 


 

グロックのサイズバリエーション

 

 最初のグロックピストルであり、オーストリア軍の正式サイドアームとなったGlock17は、9mm×19弾を17+1発装填するモデルである。Glock社ではGlock17のメカニズム、デザインをそのままに、様々な口径(9mm×19パラベラム /10mm AUTO /.45ACP /.40S&W /.380ACP /.357SIG /.45GAP)、サイズのバリエーションを生み出していった。

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

もっとも一般的なフルサイズモデル(グロックではスタンダードカテゴリーに属する)であるG17
(DATA)口径:9mm×19/全長:202mm/重量:705g(空マガジン含む)/装弾数:17発

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

G17をベースにロングスライドが付属したG17L
(DATA)口径:9mm×19/全長:242mm/重量:755g(空マガジン含む)/装弾数:17発

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

G34は競技用に開発されたセミロングスライドモデル。IDPA/IPSCのサイズ規定に対応するサイズに抑えられている
(DATA)口径:9mm×19/全長:224mm/重量:735g(空マガジン含む)/装弾数:17発

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

G26はシングルカアラムマガジン仕様のスリムライン以外でもっとも小さいサブコンパクトモデル
(DATA)口径:9mm×19/全長:165mm/重量:610g(空マガジン含む)/装弾数:10発

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

.357SIG弾を使用するG32はG19と同じサイズのコンパクトカテゴリーに属するミッドサイズモデル
(DATA)口径:.357SIG/全長:202mm/重量:690g(空マガジン含む)/装弾数:15発

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

写真上が.45ACP弾仕様のG21、写真下がG17。両銃とも基本的なデザイン/メカニズムは同じだが、G21のほうがひと回り大きい

 

GLOCK WORLD 世界のピストル市場を席巻するグロックの特徴とは?

スライドの厚みの比較。写真左がG17、写真右がG21。G21は明らかに大きいのがわかる。ちなみにG21の全長は205mm(G17:202mm)、スライド幅は28.5mm(G17:25.5mm)、空マガジンを含む重量は830g(G17:705g)となっている

 

 

TEXT&PHOTO:SHIN

 


この記事は2018年10月号 P.56~61より抜粋・再編集したものです。

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