実銃

2020/03/29

技術を結集して開発された傑作銃G36CV【無可動実銃の魅力】

 

今ある最良の技術を寄せ集めて開発した傑作銃

 

G36CV【無可動実銃の魅力】

 

 90年代初頭、H&Kでは西ドイツの次期制式採用銃としてケースレスライフルG11の開発が佳境を迎えていた。しかしそのころに冷戦が終結、東西ドイツが合併したため西ドイツ政府の制式採用計画自体が流れてしまう。加えて新生ドイツ軍では東西でバラバラだった装備を統一する必要が生じた。

 

 そこでH&KはNATO標準弾を使用するアサルトライフルの開発に舵を切った。そうしてトライアルを勝ち取ったのが後のG36である。

 

G36CV【無可動実銃の魅力】

 

G36CV 自動小銃(複数在庫品、#85-031421)

  • 全長:720mm500(mm)(実測)
  • 口径:5,56mm×45
  • 装弾数:30発
  • 価格:¥650,000

 

 G36シリーズは、これまでの革新的なアイディアや技術を使用しない、手堅くまとめられた印象のアサルトライフルだ。それまでケースレスライフルG11の開発に傾注していただけに、G36の開発期間が短くやっつけ仕事のようにも思える。しかし設計にはコンピュータが使われ、プラスチックフレームやユニット化されたグリップフレームなど、G11の開発過程で培ったノウハウの蓄積があったからこそ短期間で開発できたのである。

 

 また、ヨーロッパ圏で多く採用されていたブルパップスタイルではなく、あえて標準的なアサルトライフルのスタイルが取られたのも、ブルパップの発展性と操作性の難しさをG11から学んでいたためだ。

 

 とりわけ発射機構に関しては、H&Kを代表するローラーロッキング方式を捨ててまでポピュラーなガスオペレーション方式を採用している。凝ったシステムにこだわるより既存の信頼性の高いシステムを導入した方が、コストとメンテナンスの両面で有利だったからだ。本体の大部分に強度の高いプラスチックを多用し、生産性に優れ、軽量化にも成功しただけでなく、世界中のあらゆる環境での使用も可能にした。

 

G36CV【無可動実銃の魅力】

ショートストロークガスピストン方式は、ピストンとボルトグループがそれぞれ独立しており、発射ガスで押し出されたピストンがさらにボルトグループを蹴り出す仕組みだ。作動に必要なエネルギーや反動が小さくて済むという利点を持つ

 

 これらの合理的な判断が功を奏し、G36はドイツで制式採用されたことを機に、さまざまな国で採用が相次いだ。特に欧米とは違う銃器形態を持つヨーロッパ諸国での人気が高く、軍や警察関係を中心に多く使用されるなどH&Kの根幹を支える1挺にまでなった。

 

G36CV【無可動実銃の魅力】

ストレートグリップデザインはMP5譲りだが、セレクターレバーの形状など使いやすさはより進化している

 

 さらに近年、ドイツ軍の次期制式小銃にG36からM4スタイルでショートストロークピストン式を引き継いだHK433アサルトライフルが選定されるなど、G36シリーズが果たした役割は大きく、G3やMP5シリーズと同等の傑作銃といえるだろう。

 

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TEXT:IRON SIGHT/アームズマガジンウェブ編集部

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年5月号 P.98~99より抜粋・再編集したものです。

 

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