2025/03/01
90年代のカスタム1911
銃を追い求めて生きてきた自分にとって、90年代はノスタルジックな時代だ。当時の市場を賑わした1911カスタムをオークション等で見つけると思わず手に入れたくなってしまう。今回はそんな懐かしさを感じる、かつての最先端1911を集めてみた。
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“流行は繰り返す”と言われるが今年も1月に米国ラスベガスで開催された世界最大の銃器展示会SHOT SHOW 2025には、多くの2011、つまり1911をダブルスタックマガジンが使えるようにして多弾倉化した改良モデルのバリエーションが大小様々なメーカーから新製品として登場した。
2011のアイデアはStrayer-Voigt, Inc.(ストレイヤー・ヴォイト:SVI)によって1994年に完成されたもので、あれからもうに30年が経過、決して新しいものではない。銃器メーカー各社がポリマーフレームを持つストライカーファイアハンドガンの開発に躍起になり始めてからもすでに20年以上が過ぎ、飽和状態となった市場はどれも似たような“グロック的な何か”で溢れる状態となっている。
そんな銃器市場にここ10年程の間に新たにエントリーした消費者の皆さんの目には、“2011はグロック的な何かとは明らかに違う新しい銃”に見えるのだろう。これが“流行が繰り返す”理由なのかもしれない。
もう一つの“繰り返す”理由として、“ノスタルジア”(nostalgia:過去を懐かしむ気持ち)という要素もあるだろう。長年銃器を追い求めて生きてきた私や、同程度のキャリアを持つ友人にとって、多感な20代を過ごした90年代は特別な時代なのだ。その結果、仲間内では当時のカスタム1911をガンオークション等で見つけては買い集めるのが流行している。Gun Pro読者の皆さんも同世代は多いはずだ。そんなわけで、今回は90年代に生まれた複数のカスタム1911の中から、私がノスタルジアを感じて手に取った数挺を紹介したい。

Kimber Custom Shop Combat Carry

Kimber/キンバーは1979年に米国オレゴン州に設立され、90年代に入ると1911スタイルのピストルの製造を始める。すでに複数のメーカーが1911のクローンを製造している中で後発のキンバー製1911クローンが注目されたのは、ガンスミスがカスタム加工を行なったタクティカルスタイルの1911を、当時最新のMIM製法を応用する事によって、”値ごろ感のある価格”で市場に投入したからだ。
キンバー製品のユニークな点は、ベーシックなモデルであっても、実用的な1911には必須と言える数々のカスタムフィーチャーをファクトリーモデルの段階で含んでいる事にあった。それ以前であればガンスミスによる追加工が必要な(当然、時間とかなりの費用が掛かる)レベルのカスタム1911を、箱出しの状態で提供していたのだ。現在では同様のラインナップを持つメーカーは非常に多いが、90年代のキンバーはいち早くそれを行ない、その中に少数のスペシャルなモデルをキンバーカスタムショップ製として加えていた。そんなキンバーカスタム1911は当時の憧れでもあった。



リアサイトとフロントサイトはHEINIE(ハイニー)製に交換している。スライド後部のメルトダウン加工がかっこいい。グリップはHogue(ホーグ)だ。

Kimber Custom Shop Elite Carry


スライドとフレームに大きくメルトダウン加工が施され、マルッとした独特のシルエットができ上った、

