2025/02/25
Springfield Armory 1911-A1 Loaded ミドル・クラスの1911
Springfield Armory
1911-A1 Loaded
―ベテラン・メーカーによるミドル・クラスの1911―
Text and Photos by Terry Yano
Special thanks to Tsuki-san and Nelson Vaugher.
Gun Professionals Vol.4 (2012年7月号)に掲載
1911スタイル・ハンドガン
日本では「ガバメント(または略してガバ)」の愛称で親しまれているコルトM1911(A1を含む)と民間向けのガバメント・モデルは、アメリカではそのクローンも含めて“1911”(ナインティーン・イレブン)と呼ばれることが多い。
第一次大戦では、コルトのほかにもスプリングフィールド造兵廠や、レミントン・アームズUMCもM1911を製造した。第二次大戦では、コルトに加えてレミントン・ランドやイサカ・ガン、ユニオン・スイッチ&シグナルやシンガー・マニュファクチャリングが製造したM1911A1が納入されている。
コルトは戦後、M1911A1のコマーシャル・バージョンであるガバメント・モデルを発表し、アメリカはもちろん、世界中で.45口径自動拳銃の代名詞となった。戦後のハンドガンは、ダブル・アクションやハイ・キャパシティ・マガジン、アルミ合金製や合成樹脂製フレームなど、デザインや材質などで様々な発展を遂げるが、1911の基本デザインは今日も健在であり、クローン・メーカーも多い。誕生100周年となった2011年には、多くの銃器メーカーがアニバーサリー・モデルを発表したほか、新たに1911をラインナップに加えたメーカーもある。数あるハンドガンのなかでも、1911ほど多くのメーカーや国々で製造されているモデルはない。今後、ハンドガン界に驚くような技術革新があるとしても、1911のデザインが完全に時代遅れとなることはないだろう。

SFAのモデル管理はややこしい。手元のSFAのカタログでは、「ローディッド」という仕様で分類された1911-A1の1群(11種)があるほか、チャンピオン(4インチ)にも3種、ウルトラ・コンパクト(3. 5インチ)に1種、マイクロ・コンパクト(3インチ)にも2種、名称に“Loaded”という言葉を含むモデルが存在する。ここでは、その中から8種のローディッドをピックアップして紹介してみよう。
Images From www.springfield-armory.com








SFAの1911
今日のスプリングフィールド・アーモリー社(Springfield Armory、SAと省略/表記したいところだが、「シングル・アクション」の頭文字との混乱を避けるため、このリポート内では以後SFAと略す)は、かつての国営スプリングフィールド造兵廠(1777~1968)とは、直接の関係はない。同造兵廠が1968年に閉鎖された後“、Springfield Armory”は民間で商標登録され、銃器の製造/輸入/販売を行う会社の名称となった。
近年のSFAは、クロアチア製のXDシリーズの充実に力を入れている。XDは改良されてXD(M)となり、SHOT SHOW 2012では.45口径キャリー・ガンのXDSが発表されたことは、本誌でもリポートされたとおりだ。
かつてSFAは、クオリティの高い1911の供給源として知られていた。カスタム・ガンのベースとしては本家コルト製の人気を上回り、SFAがスポンサーとなったプロ・シューターのロブ・レイサム(Robert Leatham)氏の活躍もあって、特に競技射撃分野で成功したのだ。1998年には、FBIのホステジ(人質)・レスキュー・ティームが、SFAカスタム・ショップの製造するPROFESSIONAL MODEL(プロフェッショナル・モデル)を採用し、LE業界でも認められている。

その頃、カスタム・ショップ・モデルと普及モデルの間には、仕様や価格に大きな格差が存在した。SFAより先に、そのニッチに目を付けたのはキンバー(Kimber Mfg. Inc.)で、いわばファクトリー製セミ・カスタム1911で大成功を収めている。MIM(Metal Injection Molding、金属粉末射出成型法)を多用し、リーズナブルな価格で発売されたキンバーの1911シリーズが市場に与えた影響は大きい。その後、S&WやSIGも独自ブランドの1911を発表し、2011年にはスターム・ルガーまでもが1911マーケットに参入した。
他の大手銃器メーカーも1911市場に参入したことや、次々に発表されるXD系ハンドガンの影に隠れてしまった感は否めないが、SFAの1911バリエーションは現在も豊富だ。サイズでは、スタンダードな5インチ銃身のフルサイズを筆頭に、6インチ銃身のロング・スライド、4インチ銃身のチャンピオン、3.5インチ銃身トップエンドとコンパクト・フレームを組み合わせたウルトラ・コンパクト、3インチ銃身トップエンドとコンパクト・フレームのマイクロ・コンパクトが用意されている。また、グリップ幅短縮のために15のパーツを再設計して完成されたEMP(Enhanced Micro Pistol)の宣伝文句は、“The Smallest 1911 on the planet”(地球上でもっとも小さい1911)だ。



