2025/02/17
2012年から2024年に登場した新型ミリタリーライフル
2012年から2024年に登場した新型ミリタリーライフル
Satoshi Matsuo
Gun Professionals誌が創刊した2012年から紙媒体で発行され続けた13年間に、多くの主要国で軍用ライフルの更新がおこなわれた。それは1960年代から90年代までの間に採用配備された各国の軍用アサルトライフルが老朽化、あるいは陳腐化し、更新すべき時期に至ったことが一つの理由だが、それだけではない。
1990年代初頭に冷戦が終結したことにより、主要国間での大規模戦争が勃発する可能性が低下、軍用ライフルを用いる局面は非対称戦に移行した。その結果、銃に求められる機能は大きく変化したものの、その状況もここ数年でまた違う方向に向かっている。かつてより緊張感は高まっており、各国とも有事への備えは疎かにできない。そのことからも莫大な予算を必要とする軍用ライフルの更新が進んでいる。
フランス軍 HK416F-S, HK416F-C、FNH SCAR-H PR
2016年9月23日、フランス国防省(Ministère de la Défense nationale:2017年よりMinistère des Armées:軍事省)の装備総局(DGA:Direction générale de l’armement)は、フランス軍の次期アサルトライフルをドイツのHK416Fとすると発表した。
従来のFAMASは1979年6月にFAMAS F1として採用されたので、FAMASの時代は約37年ということになる。そんなFAMASは2011年の段階で、継続使用停止して新しいライフルを採用することが発表されていた。
すでにフランスには、軍用アサルトライフルを開発量産できるメーカーも国営造兵廠もないため、海外メーカーの製品を集めてトライアルが実施された。かつてのフランスは強大な陸軍国であり、世界最先端であったミニエー銃やシャスポーなどを量産するなど、それ以前の時代から連綿と続いてきたフランス軍の自国製銃器使用の歴史が途絶えることが、この時に確定したわけだ。
最終的にトライアルに残ったのは、ヘッケラー&コッホHK416、FNハースタルSCAR-L、ベレッタARX160、SIG SAUER MCX、HSプロダクツVHS-2だった。その中でH&KのHK416は、内務省の対テロ部隊RAIDやGIGNが以前から採用し、フランス軍の特殊部隊COS(Commandement des Opérations Spéciales)がトライアルを兼ねて導入しているという実績から、H&Kが最有力とされていた。結果的に下馬評通りHK416が選ばれたが、次点はクロアチアのVHS-2だった。そのトライアルモデルはVHS-F2と呼ばれるフランス仕様だ。ということは、フランスとしてはブルパップライフルそのものを否定していたわけではないということになる。
フランス軍が採用したHK416Fは、HK416A5とほぼ同じ仕様で、HK416F-Sが14.5インチバレルのスタンダードモデル、HK416F-Cは11インチバレルのコンパクトモデルとなっている。但し、フランス軍における導入数はHK416F-Cの方が多い。HK416F-SにはHK269F(40×46mm)グレネードランチャーが装着可能だ。
HK416Fは2022年初めの段階ですでに59,340挺がフランス軍に納入済みとなっている。フランスは2028年までに陸海空軍合わせて12万9千挺を導入する予定だ。ちなみにフランス軍は西ヨーロッパでは最大の規模を誇っている。
またフランス軍は2020年1月、マークスマンライフルとしてFN SCAR-H PRを採用し、従来のFR-F2の後継に充てることを決定した。SCAR-H PRは7.62×51mmのSCAR-Hをベースにヘヴィーバレルを装備したDMR仕様で、PRはPrecision Rifle(プレシジョンライフル:高精度ライフル)の略だ。装着するスコープはSchmidt & Bender(シュミット&ベンダー)PMII 1-8×24mmで、こちらは2,620挺の納入が予定されている。


ロシア軍 AK-12
ミハエル・カラシニコフが設計し、かつてのソビエト軍が採用、ワルシャワパクト軍のスタンダードライフルとして採用されたAKライフルの第5世代に当たるAK-12が、長期に及ぶフィールドテストの結果、2018年1月にロシア軍のスタンダードライフルとして採用された。この時の計画では、AK-12は2021年末までに112,500挺を納入することと定められた。
AK-12の開発は、かつてはイズマッシュ(イジェフスク造兵廠)と呼ばれ、現在は、Kalashnikov Group(カラシニコフグループ)と総称されるロシアの兵器産業でおこなわれた。そのその軍用小火器製造開発部門はKalashnikov Concern(カラシニコフ コンサーン)と呼ばれている。
AK-74を発展改良型であるAK-74Mをベースに、改良が施されたAK-100、AK-200、およびAK-400の更なる改良型がAK-12だ。開発責任者はSergey Urzhumtse、基本的な構造は従来型カラシニコフライフルと同じロングストロークガスピストンを採用しているが、エルゴノミクスデザインを取り入れると共に、射撃精度を向上させるためバレルをフリーフローティング化している。さらにアッパーレシーバーの剛性を高める改良を施し、ピカティニーレイルを配置、様々な周辺機器の装着も可能としている。
使用弾はソビエト時代に開発され、ワルシャワパクト軍の新たな標準弾と定められた5.45×39mmを引き続き採用しているが、80年代後半に東側社会主義国が政治的に崩壊していった結果、5.45mm弾の普及は頓挫し、現在使用しているのはロシアの他、ごく一部の国にすぎない。同モデルの7.62×39mm仕様がAK-15で、5.56×45mm仕様はAK-19だ。
2018年の納入開始後、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延で量産の遅れが懸念されたが、2021年末までの調達挺数は計画通り納入されたことが伝えられている。そしてロシア軍はAK-12を手に2022年にウクライナに侵攻した。
戦争遂行中のロシアに対し、カラシニコフコンサーンはAK-12を大幅増産し、これは現在も続いている。2023年にはAK-12の改良型が作られた。それまで装備されていた2点バースト機能を無くし、操作系のアンビ化を進めるなど、実戦投入から得られたデータを元に改良を施したものだと思われる。
現在の国際情勢から、ロシアの小火器に関する詳細な情報はロシア国外ではほとんど入手できなくなっているが、2024年にはロシア内務省、およびナショナルガードもAK-12を装備したことが伝えられており、ロシア国内では急速にその普及配備が進んでいると思われる。

Photo by 床井雅美/神保照史
中国人民解放軍 191式自动步枪 QBZ-191
中華人民共和国(中国)がブルパップライフルの95式自动步枪(英語名QBZ-95)を装備したことを西側諸国が最初に確認したのは、1997年7月1日の香港返還記念式典でのことだ。香港に足を踏み入れた人民解放軍の手には新型の95式が握られていた。この銃はショートストロークガスピストンのロテイティングボルトで作動するブルパップライフルで、中国独自の5.8×42mm弾を使用する以外、特筆すべき特長はない。
しかし、2003年にコンベンショナルライフル型の03式自动步枪(英語名QBZ-03)が登場したことで、人民解放軍内には95式に多くの不満があると推測された。但し、新たな03式は限定的な使用に留まった。また2010年になると、95式を改良した95-1式自动步枪が登場したが、これもその後、使用が拡大することはなかった。
2019年10月1日の建国70周年記念式典で、人民解放軍は新たな191式自动步枪(QBZ-191)を公開した。このモデルはコンベンショナルライフル型で14.5インチバレルの標準型と、10.5インチバレルのカービン型があり、カービンは192式自动步枪と呼ばれる。その他、191式を発展させて4-15倍の低倍率スコープを搭載したDMRライフルも存在する。
191式自动步枪はロテイティングボルトのショートストロークガスピストンで、レシーバートップにフルレングスのピカティニーレイルが配置され、3倍の光学照準器QMK152を標準装備する。レシーバーはアッパー、ロアともにアルミ合金製で、4段階調整可能なテレスコピックストックやハンドガードはポリマー樹脂製だ。コッキングハンドルは右側面にあり、左右入れ替えはできない。全体のデザイン、および機能は、現代のアサルトライフルとして標準的なものだ。
191式自动步枪とそのバリエーションは、中国の“单兵综合作战系统”(統合兵士戦闘システム)に対応して開発されたライフルで、将来的には既存の95式、03式との完全な置き換えを想定している。
残念ながら191式自动步枪の掲載できる画像は現時点で手元にないため、ここには掲載できない。また中国が公開している画像を見ても、取り立てて興味深い形状ではなく、面白味に掛けるものだ。