2025/02/12
S&W M&P15A 5.56mm かつてのAR-15オリジナルが蘇ったような軽量カービン
S&W
M&P15A 5.56mm
Turk Takano
Gun Professionals Vol.3 (2012年6月号)に掲載
このところ軽快なARスポーターがクローズアップされてきた。その中でもS&W M&P15系は市場で注目されているモデルだ。この10年、イラク、アフガン戦争はAR系市販モデルのスタイルに影響を与えた。毎日のように流される映像に登場する小火器はM4系であることが多かった。最近は米軍引き上げもあるだろうが、ニュース性を失ったのかイラク、アフガンからの報道量は大幅に減った。ミリタリー・スタイルに準じたようなモデルがメーカーから次々と投入されたのも、二ユース映像と無関係ではない。
1950年代末、登場したAR-15はミリタリー小火器のこれまでの概念を覆したといっていいだろう。小口径高速カートリッジ採用のアルミと、ファイバーグラスを多用した軽量AR-15はミリタリー・ウエポン界に衝撃を与えた。AR-10,AR-15についての歴史の流れは、これまでたくさんのリポーターによって書かれ、忠臣蔵の再来を思わせるものがある。毎年、どこかの雑誌で大特集されるという意味だが…(笑)

読者にとってARストーリーは耳タコもいいところではないかと思う。誕生から60年になろうとする今、更なる進化を遂げ、頭が痛くなる数の派生モデルが2ダースを超えるメーカーから誕生している。
何々メーカーの新しいモデルがM4の後釜として米軍が採用するかもしれない…という話は絶えず雑誌を賑わせているが、米軍に真剣な様子は伺えない。米軍はベトナム戦争の最中、小火器を全面更新した過去をもつことを考えれば、あながち可能性がないわけではない。結論を言えばM4にそれほどの切羽詰った更新理由はないとも言える。またイラク、アフガン戦争はワインディングダウンの現状にあり、同時に国防予算の削減という台所事情もある。M4はアフガンで力不足を露呈したが、あらゆる軍事オペレーション環境に対応できる唯一の口径など存在しない。もし、それを求めているのであればドリーマー(夢見る人)と言えよう。
米軍からテストのための少数限定モデルの納入を求められたメーカーは採用される可能性を秘めたような情報を意図的に雑誌社やリポーターにリークする。早速、セミ・オート・バージョンをコマーシャル市場に流す体制を整える。雑誌も表紙を噂のモデルで飾り、リポーターは採用の可能性について書きまくり世間、市場を煽る。メーカーの知名度が上がり、また雑誌が売れれば出版会社が潤い、これまたOKというやつだ。しばらくしたらそれも忘れられ、また新たなモデルが噂に上がる。この何年、同じようなパターンの繰り返しである。ウンザリ気味は筆者だけであるまい。
ARはシンプルな軽量ライフルからクワード・レールをつけ各種機器を満載、モデルによっては40mmグレネード・ランチャー付とマルチロール戦闘能力をそろえたウエポンに変貌を遂げた。まるでチンドン屋だ。増加する重量は兵士にとっても負担となる。

英語圏に"jack of all trades and master of none"という言葉がある。“何でも一応、こなせるが熟練したものは何もなし”という意味だ。使用する場所によっては、特化されたモデルで対処するしかない。先にも触れたが登場時、軽いということで大歓迎を受けたARだが、全装備装着すると、M1ガーランドをはるかに超える重さのショルダー・ウエポンとなった。
一方、LE、スポーツ用ならそんな仰々しいスタイルは必要ない。もっとも“軍用スタイルに忠実でなければ嫌だ”派はどこの国にも存在する。それもあってミリタリー・モデル モドキが溢れているというわけだ。しかしこれら軍用モデルらしきものも、このところ販売は頭打ちになっている。競合メーカーが多くなったこともその一つだ。パイの大きさは決まっている。パイに群がるメーカーが多くなれば、各社の取り分(利益)は小さくなる。
この5年、リュングマン(ダイレクト・インピンジメント・ガス・システム)と比較、ガス・ピストンの優位性を煽るリポートも多数、掲載された。多くのメーカーはガス・ピストンを備えたAR系をも加え市場に送り込んだ。リュングマンの欠点が再び強調され、ガス・ピストンの優位性が巷を誘導し販売数に結び付けようとした。またアダムスなどはリュングマンをガス・ピストン化するガス・ピストン・キットを発売、それなりの成功を収めた。これは筆者も所持し、テストしたことがあった。しかし、スポーツ用として考えたとき、何千発クリーニングなしで撃てると言われてもピンとこない。筆者に言わせれば“それがどうした!”ということになる。
軍用としてさえ兵士の携行弾数は200-300発でしかない。ガス・ピストン優位性も今や薄れてきた。ガス・ピストン・システムにもいろいろありで、購買層に対しての説得力を失ってきたという意味だ。


一時期、ガス・ピストンARが市場にかなり食い込むのではないかと期待もされたが、リュングマンを脅かすほどの影響力は今もってない。超大手のユーザーである米軍がリュングマンをそのまま採用して早45年、世間がなんと言おうが、この部分が半世紀近く基本的に変わらないとなればそれなりの信頼性があるはずだ。例えば米連邦議員の子息子女でアフガン、イラクに将兵として遠征した数は少なくない。将来、‘政治家になろうと思ったら、軍歴を持ち、国のためにご奉公したという証はプラスにはなってもマイナスにはならない。少なくとも米国じゃそういうことになっている。
既に米国に徴兵制はなく、今では志願選抜である。一方、日本議員の子息、子女が自衛官としてイラクやソマリア海域の海賊討伐、南スーダンに派遣された話は聞いたこともない。もっとも日本の政治家にも軍歴上がりの方は存在する。しかし日本の場合、軍歴はマイナスにはなってもプラスにはなっていないようだ。これが無国籍政治家を生む土壌でもあるのだが・・・・もしM4とかウエポンに深刻な問題があれば、必ず米議会で公聴会が開かれるはずであろう。そんな話もベトナム以来まったく聞かない。HUMVEEがロードサイド爆弾に対し抵抗力なしの話は公聴会でも取り上げられ、大きく報道されたことがあった。以後、改良されたことは言うまでもない。
