アメリカのガン・ショップ&シューティング・レンジ
Los Angeles Gun Club
By Yasunari Akita
Gun Professionals 2012年8月号に掲載

アメリカ合衆国は銃器愛好家たちにとって夢のような場所だ。一部の特殊モデルを除けばハンドガンからライフル、ショットガンまで殆どの種類の銃器(ファイヤーアームズ)が自由に所持できるからだ。フルオートやサイレンサー(サウンドサプレッサー)であっても規制が緩やかな州なら手続きに手間はかかっても一般市民のコレクションが許されている。
これまで何年も取材を行なってきて、アメリカ各地のガンショップを沢山見てきたが、取材出来るチャンスは限られていた。保安上の理由から写真撮影を極度に嫌う店側の考えもあるからだ。それでも理解を示し、撮影と雑誌掲載を受け入れてくれる場所も少なくなかったが、通常の記事の中では誌面が限定されてしまうので、なかなか詳しくお伝えすることができなかった。
この度の企画では、アメリカのショップや射撃場(シューティングレンジ)の様子をより深く見ていただき、銃砲店で働く人たちの姿、仕事現場ならではの裏話や、店頭で販売されている珍しい中古銃などを含めて紹介していきたい。そしてローカルの店舗だけでなく、時には地元を離れ旅先で出会うショップも覗いてみたいと思う。
まず第一弾は、取材でなんども協力して頂いているLos Angeles Gun Clubをご覧頂きたい。
Los Angeles Gun Club
1375 East 6th Street, Los Angeles, CA90021 Tel(l: 213)612-0931
営業時間は月曜日から木曜日が午後3時から11時まで、金曜日から日曜日は午前11時から午後11時までとなっている。独立記念日と正月の前、6月28日~7月4日、12月26日~1月1日は休みだが、それ以外はほぼ年中無休で営業している。
LAダウンタウンの6番ストリート沿いにあるLAガン・クラブ。89年にオープンして以来、LAで最も身近に通えるインドアシューティングレンジ(室内射撃場)として栄えている。
ショーケースに並んだレンタルガン達。落下テストをパスしたハンドガンしか売買できないカリフォルニア州なので他州ほど新しいハンドガンが揃っているわけではないが、メジャーなモデルをレンタルしている(レンタル代は1挺につき、5~10ドル程度)
LAという土地柄、映画やTVに出演した有名人たちもやってくる。数年前に日本の人気タレント、所ジョージさんもここで射撃を楽しんだ。
数多くの映画作品で名悪役として活躍し、2年前には初主演映画「マチューテ」をリリースしたダニー・トレホも訪れている
訓練のために撃ちに来るセキュリティから観光客、地元LA っ子たちも多い。自殺願望者を避けるため、カリフォルニアでは射撃は二人以上で来場する事と決められている。ハンドガンは21歳以上、ライフルは18歳以上から撃てる。
撃つ前にターゲットを選ぼう。最近人気なのがゾンビターゲット(一枚85セント)
今回初めて射撃を経験するというカップルに指導するのは創業時から働いているベテランのアロンゾ(右)さん。ここではNRAのインストラクターの資格を持つ店員さん達がお客さん達に銃の取り扱いと安全な射撃の仕方についてレクチャーする。
壁の的に銃口を向けて狙い方の練習。LAの女の子たちが軽いノリで射撃を楽しみに来る事も多い。この10年で女の子のお客さんが倍増したそうな。
十四年式など古いものあるが、こちらは展示のみ。でも銃を持って写真を撮りたいというリクエストには応じてくれる。ここでは銃の販売は行なわないが、ある程度使ったレンタルガンを販売することもある。
店員の一人、ダニー・チー・クワン(Danny Chee Kwan)はヒストリーチャンネルの番組、TOP SHOT(日本では射撃王)のシーズン4に出演した人だ。
弾は新品とリロード専門会社が作ったファクトリーリロード弾(新品より少し安く主にレンタルガン用)がある。弾頭はFMJ(フル・メタル・ジャケット)弾に限定され、ホローポイント弾やスチールコア弾頭は禁止。ウィンチェスターやレミントンの有名ブランドもあれば、ロシアの使い捨てスチールケースのウルフなど様々。人気の9mm×19だと大体一箱50発入りで14ドルくらい。
土地によって法律の内容はさらに細分化され、州法にプラス、その市独自のルールが加わる。ロサンゼルス市ではレンジで弾を購入する際IDを見せて個人情報を記録し指紋もとられる。
カウンターの向こうのベンチでは銃の清掃、修理などが行なわれる。競技用のSIG X-Fiveはタイトなので毎回掃除しないとジャムが続出してしまう。
基本的に銃の掃除はお客さんが銃を返却するごとに行なう。忙しい時はフィーディングランプなど重要個所だけを部分的に掃除する。リボルバーは汚れても作動不良は少ないが、シリンダーがススだらけになってきたらちゃんと掃除する。
銃のフレームに与えられたこの番号は? インベントリー(在庫)ナンバーで小さな番号ほど古い銃だという。
クリーニングが終わった銃は直ぐにショーケースに戻す。こうしている間にどんどんお客さんがやってくるのだ。
大人気のベレッタM92FSは何挺もレンタルしている。
レンタルガンだけでなくお客さんが銃を持ちこんで撃つ事も当然できる。店員さんも色んな銃にお目にかかれるが、金ピカにメッキされたAKとかスゴイのも出てくる場合もある。
カリフォルニア州では2000年にアサルト・ウエポン規制が行われ、軍用銃を土台にしたセンターファイアのセミオートライフルの大半が禁止されたので、長い間その手のライフルをレンタルすることも出来なくなった。しかし数年前に考案されたブレットボタンによって事実上合法化され、再び所持やレンタルが可能になった。写真のように、弾頭の先端か何か細いものをマガジンリリース・ボタンに差し込んで押すことでマガジンを抜くことが出来る。指では直接押せないので法が規制対象とするマガジンの着脱機が備わっていないという解釈が成り立つのだ。
AK用ではリリースレバーが覆われていて穴に弾を突っ込んでレバーを回転させてマガジンを抜く。