2025/01/25
【Rifleman's Corner】“ファクトリー・ライフル” Factory Rifles
“ファクトリー・ライフル”
Factory Rifles
Turk Takano
Gun Professionals 2012年8月号に掲載

日本ライフルマンの所有銃
日本国内で所有されているライフルの大半は、ファクトリー・ライフルではないかと思う。ファクトリー・ライフル(またはプロダクション・モデル)とはレミントン、サコー等のメーカー量産モデルを指す。カスタム・バレル、カスタム・トリガーつきではなくプレーン工場モデルのことだ。これはアメリカでも同じだ。
アメリカの場合、多くのライフル射撃クラブが腐心しているのが、射撃人口増加プランだ。クラブ主催者側としては、誰もが所持しているライフルで気軽に参加できるファクトリー・ライフル・クラスを設け、ライフル射撃人口の拡大を図ろうとするケースが多い。ハンター人口は何百万と存在するのだが、ほとんどは猟期時の射撃人(テンポラリー・シューター、年間20発も撃たない)で、NRA(全米ライフル射撃協会)にも所属せずというのがほとんどだ。私事になるが、筆者はもう何十年も前からNRAライフメンバー(生涯会員)だ。

誰もが気軽に…これは結構なアイデアなのだが、それも最初のうちだけだ。勝ちたいという貪欲シューターが見えないところで手を加えたり、あれもこれもOKにしようとルール変更に走る。数年もすると高価なカスタム・ライフルでなければ優勝が難しい環境をつくってしまう。ライフル所持者のほとんどは高所得者ではない。
その結果、ファクトリー・ライフル所持者の多くは競技を去り、競技人口は一向に増えないという悪循環に陥る。そのいい例が米国のハンター・クラス・ベンチレスト・ライフル競技種目だ。昔はファクトリー・ライフルで始めた種目だったが途中、大きく方向転換してしまった。
1960年代の前半、筆者は当時、東京にあったイースタン・ライフル・クラブに所属、ここで故築地恵氏と一緒だった。横田基地の米空軍射撃クラブとイースタン・クラブは基地内で日米SB親善試合などを開催していた。今では全く考えられないことだが、昔はのどかで日米共に余裕があった。基地内の射場ドラム缶は.223の空ケースがいっぱいだった。米空軍軍曹に持って帰っていいかと聞いたら“ 好きなだけ持っていっていいよ”…. 223レミントンは当時、珍しかった。

ほぼ同時期、陸自習志野第一空挺団などでも、演習場内にあった野外300mレンジで民間との親善ライフル競技会を支援開催していた。ライフル所持の有名人が参加するなど盛り上がった大会だった。今ではこんなことは夢のような話かもしれない。
当時、海外情報に明るかった築地氏が持たらしたグラス・ベディングの話は、アキュラシーに関する情報に飢えていた日本のライフルマンの間で、大いに沸いたものだ。ハンティング・ライフルと競技ライフルには比較にならない集弾性能の違いがあると信じられていた時代でもある。ハンティング・ライフルがフリー・ライフルのアキュラシーを脅かす現在とは隔世の感がある。
筆者が始めてライフル・カートリッジのリローディングはじめたのはFNマウザー.30-06を所持してまもなくだった。道具はライマン製310ツールである。今日じゃリローディング・ツールのカルト的な存在となっている。今でも通用するツールだが、第一線ではほとんど使われていない。

レミントンM700
日本でもっとも人気のあるファクトリー・ライフルはレミントン、サコーあたりではないかと思う。ファクトリー・モデルでのアキュラシーでM700がトップだった時代が長く続いた。日本はどうか知らないが、米国ではサベージがゲーム・チェンジャーとなって久しい。サベージ(Savage:サヴェージ)は安かろう悪かろうのイメージが強く、日本ではあまり普及していないそうだ。しかしながらアクションの安全性では業界一という事実は意外と知られていない。そしてタイトなグルーピングを生む。安くて高性能なら、アメリカでは人気が出て当然だ。

購入そして実射
ガンショップ・スタッフが購入者の前で分解とかアクション・スクリュウをチェックすることはまずない。購入者の希望があれば、お抱えガンスミスがスコープのマウンティングを行う。高価なモデルなら無料だ。スコープそしてマウンティング・システムをライフルと同時購入するなら、マウンティングはもちろん、コリメーターによるゼロイン調整(おおよそ)工賃は無料となる。
何十万円の大枚をはたいて銃を購入するとなれば、あれやこれやと迷うに違いない。スペック表による比較もその一つだ。ノブタ狩りに購入した銃のはずでも、タイトなグルーピングを望む購入者もいるに違いない。ビッグゲーム・ライフルのグルーピングに.500MOAを求めるハンターもいる。銃の性能がそうであってもこのクラスの銃を撃ってのグループとなると…容易じゃない。ややもすると漫画チックだが、この世界は希望要求も千差万別だ。
ファクトリー・ライフルを手にしたらアクション・スクリュウの緩みをチェックする。ボルトを外しボアをチェックする。慣例としてパッチをとおす。もしパッチに油脂錆が付いたらクリーニングロッドを使い、ブロンズブラシでゴシゴシ…先の記事でリポートした要領でクリーニングを行う。

ハンティング・ライフルに限定すればアイアン・サイト付というのは過去のものとなった。20年ぐらい前まではバックアップに使える簡易サイトが付いていた。スコープが極端に安くなった昨今、品質、性能さえ選ばなければ最低50ドルからある。スコープ、ベース、スコープ・リングはしっかりしたものを使うことをお勧めしたい。
重量を気にするシューターならアルミ・アーロイ製という選択もある。過去のリポートでも触れたが、アルミ系は温度差による収縮が大きく狙い点が狂うと心配する方もいる。温度差による最大の心配は気温の差からくるロングレンジにおけるバリステックであってベース、リングの収縮から来るものは微々たるものでしかない。スコープ・リングのマウンティングの方法はこれまで何回か詳細にリポートしたので、ここでは誌面の関係もあり簡単に説明したい。
スコープのマウンティングで重要なのはアライニングである。某誌で連載されていた筆者リポートのライフルマンズ・コーナーを読まれていた読者には今更、説明するまでもないのだがアクション自体がストレートでないものがある。そんな馬鹿なと・・・思う読者がいるかもしれない。
一昔前は時としてとんでもないのがあった。ただし今はないという意味ではない。レシーバーフェイス(前面)が中心軸に対し90度のストレートでなくバレルをフィッテイングしたときバレルのマズルが若干あさっての方向をさす問題だ。もちろん時としてバレル自体の極端な曲がりもある。ストレートなバレルは無いとおもったらいい。すべて多少なり曲がっている。

曲がり最悪の場合、スコープ調整最大量ぎりぎりということも起こりうる。ライフル・スコープのエレベーション、ウィンデージ調整量はメーカーによって差はあるが一般論としてズームを含め高倍率になるほど最大調整量は小さくなる。レシーバーとバレルのアライニングが悪いとスコープ調整時、ウィンデージまたはエレベーション・ダイヤルを限界近くまで回すことになりかねない。エレクター・チューブがスコープ光軸中心から大幅にずれるとレンズ解像力が悪くなる。
もちろん20、30MOAアングル・ベース付ならこの分も配慮しなければならない。過去のリポートでも述べたがスコープの最大調整量のセンターを上げエレベーション調整量に余裕を持たせるのが20、30MOAアングルベースなのだ。ということからアングル・ベース付となると近距離の100では若干解像力が劣るということも場合によってはありえる。これもスコープによりけりで、あくまでもケースバイケースだ。口径.308を例とすれば通常、700までならフラット・ベースでいけるはずだ。しかしそれ以上の1,000になると20MOAのアングル・ベースが必要だ。1,200を超えたら30MOAベースといった具合だ。
