2025/01/25
FN FAL 世界の戦場を駆けた小銃【続 撃たずに語るな!】
続 撃たずに語るな
“世界の戦場を駆けた小銃FAL”
by Captain nakai
Gun Professionals Vol.2 (2012年5月号)に掲載
FALと20世紀の戦場
1978年、フォークランド諸島を巡るイギリスとアルゼンチン両国の紛争は、ベトナム以来の近代戦を象徴する戦争として世界中のメディアが注目した戦いとなった。当時、学生であった自分もアルゼンチン軍の攻撃機が放った対艦ミサイル・エグゾセにより破壊されたイギリス軍駆逐艦のニュース映像を見て、度肝を抜かれた記憶がある。
既に海上戦闘においては、誘導ミサイルによるロングレンジからの攻撃が戦局を左右する時代になっていたのだ。
この紛争で、もう一つ注目すべき点は、両国は同じ西側陣営であったため、戦いを決するフォークランドの地上戦では、FALが両軍の主力小銃となったことである。イギリス軍のL1A1もアルゼンチン軍のFM( ファブリカ・ミリタール Fabrica
Militar)/FALは本家ベルギーで開発・製造されたFN/FALをライセンス生産したものであるからだ。

フォークランド紛争と同時期に公開された映画ワイルド・ギース(The Wild Geese 1978年)では、アフリカの要人救出作戦で活躍した実在のマイク・ホアー率いる傭兵達も、FALとUZIを主力銃として使用していたことが記憶に残る。
1953年にベルギーで開発されたFALはアフリカ諸国の独立戦争(紛争)をはじめ、インド・パキスタン戦争、ベトナム戦争、中東戦争、コントラ戦争、そして湾岸戦争などで、自由諸国のアサルト・ライフルの代表として20世紀後半の世界の戦場を駆け抜けた。

米国のFAL
第2次大戦後、FN(Fabrique Nationale)社は旧ワルシャワ条約機構のAK47に対抗すべく7.92×33mmクルツや.280のフルオート射撃が容易な小口径弾を使用した軍用ライフルの開発中であった。
しかし、冷戦下の1950年代には既に、米国を中核とするNATO(北大西洋条約機構)により、ライフル弾は7.62×51mmへ完全統一され、新型ライフルも同口径の採用を余儀なくされる。
FN社は、フルオート時のコントロールが容易な小口径軍用ライフルの必要性を認識し、開発を進めていた点では、先見の明があったと言える。その約10年後には米国でAR15が登場するからだ…。
1953年にNATO弾(7.62×51mm)を採用したFAL(Fusil Automatique Léger = 英訳Light Automatic Rifle)が登場すると、その性能が高く評価され、その後、世界中の自由主義陣営を中心とする70カ国に以上に推定100万丁以上が輸出され、多くの同盟国でライセンス生産も行わる大ベスセラーとなる。

FN/FALはモデルT48として、1950年代の米国の制式軍用ライフルのトライアルへも参加するが、米軍は自国のM14を制式採用した。
現在、米国内のガンショップでも殆どがブラジル製(IMBEL社製)や米国製(DSA社製等)のFALしか見ることは無い。その理由の一つに、FN/FALは既に1988年に製造が打ち切られ,更に米国では1993年にAWB規制法案(Federal Assault Weapons Ban)の対象銃となり、以来、FN/FALを国内に輸入することが出来なくなったからだ。既に輸入されたFALは米国内ではコレクターズ・アイテムとなりレンジで見る機会も激減してしまった。
今回、紹介するFALはデザート・シューティング・ツアーが所持するライフルで1993年以前に米国へ輸入されたAWB規制前を意味するプレ・バン(Pre Ban)モデルである。米国向けの正式名称はFN/L.A.R(. Light Automatic Rifle)で、このモデルは1981年から83年にかけてFN社で製造された、フルオート機構を除去したスポーツ・モデルである。しかし、そのスタイルはオリジナルのFALの姿を色濃く残している。
このFALはラスベガスへ来れば誰でもレンタル可能で、銃の操作や実射まで自由に扱うことが出来る。しかし、現在のレンタル・ライフルの人気は、M4やFNSCAR、HK416など5.56×45mmの最新銃が中心で、FALを含む前世紀のアサルト・ライフルのレンタルはM1A(M14)を除き、実にマイナーになってしまった。中には往年のライフル・ファンもいるが、日本人シューターの好む銃も、現在の世界情勢とほとんど同じというのが現状である。