2025/01/25
S&W Performance Center Model 640 Carry Comp エリート・タクティカルスナビー
エリート・タクティカル・スナビー
Model 640
Carry Comp
S&W Performance Center
Text & Photos by Toshi
Gun Professionals 2012年11月に号掲載
Jフレーム
ここんところ、どーもパッとしない鈍銃ばかりを気まぐれで購入してはリポートしてきた。8月号のマウザーHScスーパー然り、10月号のAMT ON DUTY然りだ。が、今月は久し振りにワクワクだ。S&Wパフォーマンスセンター謹製のModel 640カスタム、Carry Compを入手しちゃったのである。
大々好きなJフレーム、しかも限定高級カスタム品。胸が高鳴るぜ。
パフォーマンスセンターの銃は、Gun誌時代に2度リポートしている。Model 945とModel 945コンパクトだ。基本、高価なカスタム銃ということでどちらも借り物。自分のようなしみったれマニアにはなかなかこの手の上等品はご縁が無いワケで。
発見は、行きつけのガンショップのショーケースの中だ。
極めてクールで、しかも華やかな印象。洗練された空気を纏い、エリートっぽさに溢れている。Jフレのような地味一方の、主役を張ることの少ない陰に隠れた護身用小型リボルバーが、懇切丁寧にカスタムされている様を眺めるのは実に楽しく喜ばしい。お値段は595ドルだった。
銃のみで、箱とか取説はなし。限定カスタムなら付属品も一式揃ってこそという面はあるが、この際、贅沢は言ってられない。店頭でコイツを見かけた瞬間から、思い描いていた事が一つある。「グリップをどうしよう」コレだ。
オリジナルのスムース・ローズウッド(サービスサイズ)はシューティングには全く不向き。且つ、もう少しボリュームというかタクティカルな取っ掛かりが欲しい。そこで、自分が所持するJフレ用の各種グリップを掻き集め、見渡してみた。我ながら相当の数がある。果たして幾つあったでしょうか?
1番…156個。
2番…35個。
3番…81個。
正解は3番の81個だ。結構な数だ。
エッ? ウソじゃないってばよ! 念の為、証拠写真を載せておく。

ちなみに、1番は所持するKフレ用グリップの総数で、2番はNフレ用の総数だ。S&Wのリボルバーだけでこの有様。他機種用を合わせると、いったいどんだけのグリップを持っているのやら。
ま、それはともかくとして、この銃に似合うのは、絶対にオーバーサイズだろう。
第一候補はホーグの美麗なワンピース木グリ、と心は傾いたが、グリップピンを短い物に換えなきゃなんないのが面倒に思えて(スミマセン)とりあえずパス。タクティカル系なら、やはり樹脂製或いはラバーが主流か。本音としては、クリムゾン辺りのレーザーサイト付きグリップが好ましいが、ご予算が好ましくないのと、真っ黒なあの色がどーもねえ。
ラバーでは、ホーグのバンタムも優れているが、現在名実ともに最高なのはCraig SpegalデザインのアンクルマイクスBoot Gripだろう。手持ちも数個ある。しかし、色がねえ。派手な銃に相応しく、パーッと明るめにいきたいではないかと。
迷いに迷って、最終的に割りと古めな、自分の過去のリポートにもしばしば登場しているROGERSのプラ製“COMBAT GRIP”に落ちつく流れとなった。
81個も持っているのに、この一種ありきたりとも見える凡チョイス…いっそFitsの超骨董プラのほうが意外性があったかも。
この辺が自分の限界だ。新しいっぽくするつもりが気持ちは後ろ向き。ああ、コレで良かったのだろうかと、今も激しく迷っています。

Model 640
グリップの話は程々にしてだ。この銃のベースはModel 640だ。ステンレスのセンチニアルだ。センチニアルといえば、1952年、S&W社創立100周年を記念して発表されたハンマーレスの“変り種”Jフレ・リボルバーである。
それは、同社が1887年に開発した. 38セイフティハンマーレスリボルバーのコンセプト=安全第一主義(銃の暴発事故の多くはハンマーとの絡みで起こる。ならばハンマーを内蔵してしまえという考え方)をJフレに活かしたものではあったが、当時としてはグリップセフティまで付いた少々過度の安全性とDAオンリーという部分がイマイチ敬遠されたらしく、3年遅れて登場の姉妹品ボディガードに押されて74年にいったんカタログ落ちしてしまう。


その後、材質(鉄、ステンレス、アルミ合金)、口径(38spl +P+。後に9mmパラ、357Mag)、銃身長等、様々なバリエーションを引っ提げて見事復活を果たしたのが90年の事。
復活後は、世のコンシールドウエポン・ブームにもぶつかり、その完璧に近いスナッグ・レジスタンス性が護身銃として高く評価されて以前よりも人気が出たのみならず、今日ではセンチニアルを“ベストなJフレ”と呼ぶ専門家もいるほどに定番化した。
なお、復活版ではグリップセフティが省略されており(コスト削減と過度のセフティ機構は邪魔との判断と推測)、コレは個人的にグリップ交換の便が良くなってどっちかといえば歓迎だったりする。
そんな、遅咲きの復活“変り種”Jフレの中の一個であるModel 640を、パフォーマンスセンターが小粋にカスタマイズしたのがこのCarry Compなのだ。


